モバイルWiFiレンタル業界初の「30日間お試しモニター(リリース初期は30日間お試し全額返金保証の名称)」を実装し、WEB販路で人気を集める「MUGEN WiFi」。
MUGEN WiFiを運営する株式会社FREEDiVEのDigital Communication事業本部 事業戦略・マーケティング統括(マネージャー)の富塚大海(とみづかおうみ)さんに、サービスの理念やリリースから約6年半が経過した“これまで”と“これから”を伺いました。
お客様の声を聞き取り続ける。サービスの起点はカスタマーサポート

ー「MUGEN WiFi」というサービスは、何を重視して企画されたのでしょうか。
富塚大海さん(以下、富塚):これは今も徹底していることですが、重視するのは「お客様の声を徹底的に分析すること(Customer Scienceの徹底)」それだけです。
正直なところ、現状における弊社の規模感では、名高い大手キャリア各社と同じことをやろうとしても、投下できる予算や人員など、キャパシティの観点で負けてしまいます。この現状を見据えた中でどうするかを考えたところ、“お客様が需要を的確に抑えた唯一無二のプロダクト”を作り上げるしかありませんでした。
事業立ち上げ当初、弊社代表の今井が最初に取り組んだのは、徹底的なユーザー調査。口コミ分野において有力なSNSであるTwitter(現X)を使用して、モバイルWi-Fi(通信回線)を求めるユーザーが何を欲していて、同時に何を課題視しているのかをひたすら洗い出していくことでした。
実際に調査を行ったところ「Wi-Fi買うのが怖い」「買っても繋がらなかったらどうする」「ずっと使うわけじゃないからレンタルがいい」などの声が多く、それであればお試し制度を作るのはどうか?競合他社でもやっている会社様はまだいない。ここだ。と見つけ出した戦術が、現在にも続く「30日間お試しモニター」制度でした。
現在は多くのサービスにおいてお試し制度が実装され、比較的オーソドックスなサービス内容にもなりましたが、当時はかなりセンセーショナルな制度だったのではと感じています。
ー市場調査や業界の分析を細かく行ったからこそ、お試し期間があるサービスという需要を発見したのですね。
富塚:そうですね。当時も今も、どんな改善を行うにしてもベースにあるのは常に「顧客の未来を科学する」Customer Scienceの考え方が起点になっていたと思います。
過去にはサービスサイトを変えたりもしましたが、これも闇雲にデザインだけを変更していくのではなく、Google Analyticsというユーザー動向の分析サービスを利用して、お客様の実際の行動履歴から仮説抽出を行ったうえで改善をかけていくことに力を入れました。
「どこでサイトを離れたのか」「この広告から来た人が次このページに行く確率が高い」ということをチェックしていき、そのデータをもとに「サイトを訪れてくれた方が見てすぐにわかる」サービスサイトを目指していきました。
ーカスタマーサポートに関して、問い合わせに対してすぐに対応してくれたという口コミも目にしました。サービスの提供を始めてから、印象的だったユーザーからの意見はありますか。
富塚:最初は「繋がらない」というご意見を多くいただきました。
私自身が2019年11月にカスタマーサポートのアルバイトとして入社した人間なのですが、最初に違和感を覚えたのは「繋がらない」という問い合わせが多かったことです。
当時のMUGEN WiFiは新品の端末を提供していたのですが、適切な生産工程・品質検査を経て入荷された端末が壊れている可能性はとても低いです。
お客様のことを考えるからこそ、Wi-Fiが繋がらないというお客様の言葉をそのまま信じるべきではないと考え、対象のお客様とコンタクトを取っていく中で見つけた原因は、回線の切り替えボタンを一回押せば済むことであったり、電源をつけ直したら上手く行ったり、ずっと置いている途中で充電が切れてしまっていたりなど…。Wi-Fiが繋がらないのではなく、製品操作マニュアルが不十分なことが課題の根幹にありました。
サービサーである私たちにとっての当たり前(基礎知識)は、お客様にとっては当たり前ではない。これは、実体験から得られた一番の学びでした。
ーユーザーファーストの姿勢の根底にはそういった経験があったのですね。
富塚:カスタマーサポートをしていたからこその学びは他にもあります。
サービスリリース当初、私の勤務時間の8割ほどを1人のお客様に使った経験があります。サービスに対する疑問や悩み、わだかまりを率直に教えていただけたお客様だったのですが、こうしたお客様は、世間一般では「クレーマー」なんて呼ばれてしまうのでしょうか?
解釈の難しいところではありますが「クレーマーなんていない」「クレーマーを生み出すのは、いつだって私たちサービサーである」というのが、私の考えです。
そのお客様と相対させていただいたときも、そのお客様の声を深堀りし、分析し、体系化していった結果、社内のマニュアルは改善し、同様のお問合せが減っていきました。
お客様と対立するのではなく、よき理解者となるべく、深堀り、研究し、寄り添う。こういったところからもCustomer Scienceの考え方は生まれています。
最終的にそのお客様からは「こんなに対応してくれる担当はじめて」「神CS」と言っていただき、貴重な粗品を送ってきていただけました。会社の規定もありお品物を直接受け取ることはできなかったのですが、お客様とわかりあえたというのがわかり、その気持ちが最高のプレゼントでした。
この経験からメンバーによく言っているのは、「お客様の話は最後まで聞く」ということ。ユーザーからの意見に向き合い続けることはチームで徹底している姿勢です。
賛否両論の反響と、完全子会社化で見えたさらなる可能性

ーWi-Fi業界で画期的だった「30日間お試しモニター」のお話がありましたが、MUGEN WiFiの提供をはじめてからの反響はどうでしたか。
富塚:当時に限らず今もですが、賛否はずっとあります。「お試し期間、ありがたいです」などポジティブなご意見をいただきながら、前進できている自信はあります。
ただ、それと同時に「0円で使えるかと思ったら、結局返却手数料で1100円取られた。詐欺会社」と言われてしまうこともありました。
MUGEN WiFiを始めて数年経った頃、一時期新規獲得数が落ち込んでしまったことがあったのですが、その原因を色々な仮説を立てながら※ブランドリフト調査を行ったところ、「口コミが悪い」ということが書いてあって。
そこからはGoogleマイビジネスや各種情報掲示板系サイトの口コミも巡回するようにし、弊社でのお客様アンケート分析と平行して、お客様の声に対する改善実行を強化するようになりました。
そうすると、悪い先入観やネガティブなイメージが段々と払拭されてきましたし、改めて振り返ると、良いこともそうではないことも全部お客様の反応を見ながら対応してきた会社と事業だなと改めて思います。
ー30日間のお試しというのは、その期間が終了したら解約されてしまう可能性が高いうえに、コストもかかるキャンペーンだと思います。それでも提供を続ける理由はなんでしょうか。
富塚:単純に、MUGEN WiFiがお客様に選ばれるサービスになってほしいですし、その過程を通じて、FREEDiVEが提供する他のサービスも、お客様に信頼していただける仕組みを作りたいと考えているからです。
とは言え、仕入れ原価が発生している以上、原価より安い価格で端末を提供することは、ビジネスとして成り立ちません。今後は弊社の親会社にあたるワイヤレスゲート社をはじめとする関係各社と連携し、このバランスを考えていくことを想定しています。
今後はもっと新しい切り口に挑戦していきたいと考えているところです。
リリースから約6年半。ユーザーに寄り添うMUGEN WiFiの軌跡

ーはじめてのWi-Fi事業ということで、「どう知名度を高めるか」が課題の1つだったのではないかと思いますが、プロモーションはどうされたのでしょうか。
富塚:最初は弊社代表の今井が自ら営業フロントに立ち、各種広告媒体社との折衝やプロモーション企画の調査・立案・推進・効果検証まで、多岐にわたる動きをしていました。
大規模なプロモーションを打てば打つほど格好良いという考え方は今も昔もよくあると思いますが、事業利益とのバランスを見ると、成果としては実際そうでもなかったりします。製品(プロダクト)自体の改善を伴わないその場限りの突発的なプロモーションは衝動買い需要のお客様を一気に抱え込むことになります。
そうすると、急なサービス解約の増加や料金の未払い発生などといったトラブルが発生することが多く、弊社でも実際にそういった事例が発生してしまったこともあります。
また、タレントや芸能人の方を起用したCMを作るというのは一般的な方法なので、私たちもその宣伝方法をやってみたこともあります。
でも、その時はあまり良い効果を得られず、逆に申し込み率が下がってしまいました。
その結果を受けて実感したのは「タレントを起用して大規模なプロモーションを打つ」というのは、お客さんが望んでいることではないということ。むしろ、大金を使ってCMを作るぐらいなら、月額料金を下げた方が建設的であるということです。
はじめてのWi-Fi事業であるMUGEN WiFiでこれに気がつけたのは、今後展開していくサービスにおいても意味のある経験になりました。
ーMUGEN WiFiリリース当初のターゲット層はどのようなイメージでしたか。
富塚:MUGEN WiFiには30日間のお試し期間があるので、リリース当初は「ポケット型Wi-Fiを使ってみたいけど、いきなりお金を出して買うのは不安…」という方を特筆すべきお客様として設定していました。
興味はあるものの、いきなり購入することにためらいがあった多くの方々に、30日間のお試しモニターがマッチしたことで、そこからバーッと人気が伸びました。
W-iFiの需要がわかってきた頃に次の段階として考えたのは、「現行他の会社様のWi-Fiサービスを契約しているが、しっくりこない…」そんなお客様にMUGEN WiFiに乗り換えてきてもらえないかということでした。
このサービス中期くらいは、乗り換え希望のお客様にMUGEN WiFiを知っていただくこと目標にしていましたが、現在は業界の状況も変わってきて、安さで勝つ、広告で勝つ、キャンペーンで勝つというフェーズではなくなっているように思います。
今は「どれだけお客様に長く使ってもらえるか」という※LTVの観点をすごく重要視しています。
※LTV:顧客生涯価値。契約開始から解約までの期間にどれだけの利益をもたらしてくれるかを表す、既存顧客の継続に着目した指数。
ーなるほど。LTVの観点から打ち出した施策はありますか。
富塚:FREEDiVEが提供するサービスの中でも、MUGEN WiFiは独自な進化を遂げていまして、「MUGEN PREMIUM CLUB」というものを始めました。
これは、MUGEN WiFiを注文後に公式LINEを登録していただくと、自動で始まるクラブ特典です。
継続するごとにどんどんランクが上がっていき、もし6か月継続していただいたら、初期事務手数料と同等の金額である3,300円が、月額から自動で控除されます。
「新しいプロモーションを打って新規顧客をバンバン取ろう」という古いカルチャーに固執するよりも、MUGEN WiFiを長く使ってくれるお客様にちゃんと還元していきたい。その思いで始めた施策で、今はMUGEN WiFi契約後のお客様が対象ですが、収益シミュレーションが立ってきたため、今後はこれを強化していきます。
ーMUGEN WiFiは他のサービスと比較しても、料金プランが豊富にあるところも特徴だと思います。
富塚:そうですね。端末の違いで言えば3つのプランがあって、さらに口座振替プランをあわせた4プランの準備があります。
シンプルで格安路線の「節約プラン」、5G回線に繋がる「高速通信プラン」、ホームルーターとしても利用できる「無制限プラン」があります。
| 月額(税込) | 容量 | 契約期間 | 対応エリア | 特徴 | |
| 節約プラン | 3,300円 | 100GB | 2年 | Softbank・au・docomo ・楽天 | 安さ重視 |
| 通信高速プラン | 4,950円 | 100GB | 2年 | Softbank・docomo ・楽天 | 業界初の5G回線対応 |
| 無制限プラン | 4,950円 | 無制限 | 2年 | au | ホームルーターあり |
| 口座振替プラン | 3,880円 | 100GB | 2年 | Softbank・au・docomo ・楽天 | クレジットカード不要 |
高速通信プランで使っている端末は、他ではあまり取り扱われていないもので、ディズニーのシンデレラ城の前でもつながったという社内レポートが上がっているくらい、繋がりやすさで言えばダントツです。
さらに、プレミアムクラブ会員限定で、3か月に1度自由にプランを乗り換えて良いことにしています。
ープランを変更できるというのは他サービスにはない独自の魅力ですね。
富塚:今までだったら例えば、使ってみて合わないWi-Fiがあったら高い解約金を払って新たに他社さんに乗り換える、というのが当たり前でした。
でもそれが、MUGEN WiFiの中でプランを横断することで完結するというのは独自の強みだと思っています。
