株式会社ワイヤレスゲート・CEOに聞いた通信事業の展望。「今後は世界で売れる商品を―」

株式会社ワイヤレスゲートの代表取締役CEO・成田徹(なりた・とおる)さんにインタビューしました。

「ワイヤレスゲートWi-Fi」で産声をあげた通信事業は、今や世界を視野に入れたeSIM事業へと広がっています。

通信事業の独自の強みや今後の展望を、代表取締役CEOの成田さん自ら語っていただきました。

目次

Wi-FiからWiMAX、そしてeSIMへ。独自の強みを活かした事業展開

ーワイヤレスゲートさんが提供する通信サービスの全体像や事業展開を教えていただけますか。

成田徹さん(以下、成田):通信サービス事業は「ワイヤレスゲートWi-Fi」という公衆無線LANから始まりました。

ひと昔前は、カフェなどの外出先で使えるWi-Fiは、NTTドコモさん、KDDIさん、ソフトバンクさんそれぞれのオフロード通信用オリジナルWi-Fiだったので、Wi-Fiを利用するには、それぞれのサービスに個別契約が必要となり、利用する手間がかかっていました。

弊社の創業者がこれを課題と捉えて、「ひとつのIDでどこのWi-Fiも使えたらいいのに」と考えたことがきっかけで、ワイヤレスゲートWi-Fiというサービスが立ち上がりました。

ワイヤレスゲートは通信事業に強みのある会社ですので、ワイヤレスゲートWi-Fiを展開しながら、WiMAXサービスのMVNO事業にも着手し、そこから一気に成長することができました。

ー通信回線を手掛ける会社や販売する会社が、今は多様化していると思います。他のサービスとの差別化ポイントはありますか。

成田:ワイヤレスゲートWi-Fiでは、スマホ保険がついたサービスを提供しています。

私たちはいわゆるMVNOと呼ばれる事業形態で、KDDIさんの通信回線を借りて独自の料金プランで通信サービスを提供しています。

そのため、WiMAXの通信回線自体では他のプロバイダと差別化はできないのですが、私たちの強みであるWi-Fi無線の技術を活かして、WiMAXとWi-Fiをセットにした売り方等差別化をしてサービス展開をしています。

ー今一番力を入れている通信事業についても教えてください。

成田:売上はまだWi-Fiサービスの方が主力ですが、最近はeSIM事業に力を入れています。

最新のiPhoneにはもう物理SIMカードは入れられなくなりましたし、eSIM事業はこれから成長していきます。eSIMを切り替えて使う時代が来ると思っているので、ここはしっかりチャレンジしていきたいです。

通信キャリアさんから回線を借りて販売するサービスだけではなく、eSIMのようなオリジナルなものも提供していき、今後は世界で売れる商品を見据えて挑戦していきたいという思いがあります。

ワイヤレスゲートの手掛けるeSIMサービス

ー確かに新たにeSIM事業をスタートする会社さんも最近は多い印象です。

成田:そうですね。今の日本の通信市場のほとんどは、NTTドコモさん、KDDIさん、ソフトバンクさんの3つのキャリアが抑えていますが、eSIMはその“隙間”のような需要を攻めていけると考えています。

実は、eSIMは海外からも仕入れることができるため、「日本の通信キャリアではなく、カナダの回線を売ります」というようなことも可能です。

eSIMという選択肢は通信市場の新しい風になるのではないかと思います。

リアルな声をメーカーに届け、お客様と通信キャリアの架け橋に

ーさきほどWi-FiとWiMAXをセットにして販売しているとのことでしたが、このサービスの立ち上げについて教えてください。

成田:今となってはWiMAXサービスはデータ通信量が無制限のプランがメインですが、立ち上げた当初はデータ通信量制限をどうするかに苦労したことも多かったです。

私たちは通信キャリアさんから借りた回線をお客様に直接販売している立場にいるので、通信サービスを利用していただいたお客様の声をまとめて、キャリア側にサービスの変更を検討してもらえるよう伝えたこともあります。

キャリア側とお客様側の間に入ってどんどんサービスを作り込んでいきました。

ー「お客様の声」はどうやって集めたのでしょうか。

成田:お客様サポートセンターや販売店が中心です。基本的には年中無休の365日やっているので、多くのお客様の声をいただきました。

解約理由などのご意見や利用に関しての課題など、お客様目線でのご意見を集めて、メーカー・キャリア側にフィードバックをしました。そういう取り組みは今もずっと継続しています。

ー印象的だったユーザーからのご意見はありますか。

成田:今のWiMAXサービスは、au回線の4GLTE、5GとWiMAXの3つネットワークが使えるので、ほとんどのエリアをカバーできるようになりましたが、サービス開始最初は「対応エリアが狭い」「通信速度が遅い」といったお声もありました。

そういった生のご意見を通信キャリアさん側へ伝えたことをきっかけに、改善点を検討していただくなど、より良いサービスの発展へ繋がっていくと思っています。

ー現在の利用実態として、どのようなユーザー層が中心なのでしょうか。

成田:ホームルーターは一人暮らしをされているお客様や単身赴任をされているお客様に、自宅用として置いていただくことが多いです。

出張の多いビジネスマンや外出先でネットを使いたいお客様には、持ち運びができるモバイル型の端末が人気です。

端末による年齢層の違いはそこまでなく、幅広く使っていただけている印象です。

モバイル型ルーター(左:黒い端末)とホームルーター(右:白い端末) 

ー登録が増える時期や人気の端末などはあったりするのでしょうか。

成田:引っ越しと同時にWi-Fiを契約したりなどが多いようで、新生活のタイミングですごく売れるんです。

持ち運び可能なモバイル型端末を、クレードルという専用スタンドにセットすると、据え置き型のルーターとしても利用できる端末があるのですが、それが人気です。

モバイル型と据え置き型の両方のタイプに対応できるため、迷ったらこの端末をおすすめしています。

「常に寄り添いながら」と語る、店舗販売へのこだわり

ーeSIMの登場など、市場全体を見てもニーズの変化が感じられますが、今の通信市場全体をどう捉えていますか。

成田:新しいプランやサービスの登場が早いと感じています。

WiMAXという商材自体の変化はそう多くはないのですが、お客様との接客トークや売り方はしっかり対応できるよう変えていかなくてはなりません。

スマホの機種なり通信プランなり、色々な新サービスが登場する中で、「こういう使い方はどうですか」と、常にお客様に寄り添いながら私たちの商品をご理解いただくための変化は、積極的に取り入れていきたいと思っています。

この考え方は会社の教育方針でもありますし、コールセンターやヨドバシカメラさんの実店舗などで研修も行っています。

ーヨドバシカメラさんの店舗というのはどういった繋がりがあるのでしょうか。

成田:実は、我々ワイヤレスゲートの筆頭株主がヨドバシカメラさんなんです。

その関係があるので、ヨドバシカメラさんの店舗との連携は密にやっていて、実際の店舗での販売力は私たちの強みのひとつになっています。

ー今はネットでなんでも契約できるような時代ですが、それでも店頭での販売にこだわるのは、どういった思いがあるのでしょうか。

成田:なんでもネット上で買えて、実際にネットでかなり売れている通信サービスもありますが、やはり文字だけでは伝わりにくい機能の説明や使い方など、リアルな情報を知りたいお客様は今も多くいらっしゃいます。

通信サービスの売買ではありますが、結局最後は人と人の話し合いで買っていただく。「実際にお店に行ってよかった」と思っていただけたら、契約を続けてくれたりリピートしてくれたりということもあります。

ネット上での販売力も必要ですが、まだ“リアルの良さ”は消えていないと思います。

ーSNSでのプロモーションも大事だけど、お客様と対面したセールトークなど重視されているのですね。

成田:そうですね。私たちもネットのプロモーションは一応やっていますが、ネットでは同業他社全てがライバルになってしまいます。

多くの人にサービス情報を届けやすくなる分、自社の広告が埋もれやすくもなってしまって。

そこがネットのプロモーションの難しい点ではありますが、それはそれでやりながら、リアルの方でもしっかりアピールしていきたい。その使い分けやバランスが大事だと思います。

ー目の前のお客様を大切にしている思いが伝わりました。その考えに至った経緯はありますか。

成田:私たちが提供しているサービスは、結局のところサブスクリプションのビジネスです。

サブスクビジネスなら「どれだけユーザー数を増やせるか」だけではなく、「どれだけ長く使ってもらえるか」がすごく重要になります。

たくさんの人が訪れる量販店では売れ行きがよかったとしても、解約するお客様も多くいらっしゃいます。そこをどう改善していくかがずっと課題で、社員全員で力を入れています。

ー具体的な対処法や施策はありますか。

成田:2~3年が経ってWi-Fi端末が古くなってきたら、こちらから機種変更できるご案内をする、といった施策はやっています。

ーちなみに、解約理由として多いのはどのようなご意見でしょうか。

成田:「使わなくなった」が解約の中で多い理由ですが、これはよく考えると「解約に至るほどの何かがあって使わなくなった」という原因が潜んでいます。

そこを聞き出すことができれば次のご提案ができるのですが、そこまで電話で深掘りするのはなかなか大変な部分があります。今は解約するタイミングも理由も多様化してきているので、対応が難しいと感じる場面は多いです。

店舗を回る「ラウンダー」とは。ワイヤレスゲートの販売力

ー以前私たちは株式会社FREEDiVEさんへ取材をしましたが、FREEDiVEさんはワイヤレスゲートさんの完全子会社と聞きました。

成田:そうです。もともと事業面ではかなり似たようなことをやっている会社同士ではあったのですが、取り組んでいる事業のエリアは違っていました。

通信事業の会社というところは共通ですが、取り組んでいる事業の範囲は被っていなくて、そこにご縁を感じました。

FREEDiVEさんとならシナジー効果を生み出せると思ったので、こうして合流したという経緯があります。

私たちは店舗でのリアル販売面に強いのですが、FREEDiVEさんはアフィリエイト広告やネットでの販売に強みがあったので、これからはグループ全体として両面での販売力を強化していけると思っています。

ネット上でのサービスの販売を彼らに協力していただいたり、仕入れは私たちと一括で行ったりなど、新商品もこれから彼らと一緒に作っていきたいと考えています。

ー今後、通信サービス事業全体として強化していきたいところはありますか。

成田:「WiMAX」はひとつのブランドになっている通信サービスなので、「通信容量無制限だから使い放題」という強みはしっかりとお客様に訴求していきたいです。

そこをベースに、eSIMのような以前の私たちにはなかった取り組みでお客様にアプローチしていくことも継続していきます。

ーワイヤレスゲートさんの、Wi-Fiサービスにおける今後の展開はどうでしょうか。

成田:単純に価格の安さで商品を探すお客様は多くいらっしゃるので、そのニーズに合わせた商品もいずれは作っていきたいとは思っていますが、現状としては、安さにこだわるお客様をどうすれば私たちのサービスに引き込めるか、というところが課題だと思っています。

無制限で安定した回線というスペック面や、金額の安さだけではないサービスの価値を、どうやって追加できるかというのは今後チャレンジしていくところです。

ーそういった今後の方針に向かって、行っていきたい取り組みはありますか。

成田:「ワイヤレスゲート」という会社の知名度を高めていくために、投資家様向けのIR活動などもしっかり行っていきます。あとは、eSIMなど新サービスを知っていただくための広報活動もやっていきたいです。

また、先ほど少しお話しましたが、ヨドバシカメラさんの店舗と連携しているということに関係し、ワイヤレスゲートはヨドバシカメラの店舗に仕入れる商品をピックアップする商社的な動きもしてます。

店舗での販売を大切にしているからこそ、ここはもっと大きな規模で取り組んでいきたいです。

ー商社的な役割というのも、他の通信会社さんにはあまりない観点ですね。

成田:そうですね。

ワイヤレスゲートのものではない商品をヨドバシカメラさんに持っていくのは、結構体力が必要なことなので、今まであまり本格的には取り組めていなかったのですが、お客様が求めているものをしっかり提供していきたいという思いが強いです。

ー店舗での販売に強みがあるというのは事業展開にも大きく貢献するところだと思います。

成田:ただ商品をお店に仕入れるだけではなく、「ラウンダー」というメンバーが実際のヨドバシカメラさんの店舗を回って、お店の売り場をメンテナンスしています。

売り場の棚にはたくさんの商品が並んでいるため、ライバル商品に埋もれてしまいやすいです。そこのチェックをメーカー側が自ら確認しています。

商品棚を整理することは当たり前のように思われますが、日々メンテナンスを実施するのは簡単ではありません。

お店に自社商品を置いてもらうだけではなく、商品をちゃんとお客さんの手に取っていただく。この段階までしっかりとサポートできるよう、ラウンダーは定期的にお店を回っています。

店舗網を持っていて、実店舗でメンテナンスも行っていく。これはお店での販売を重要視している私たちだからこそ、継続できている強みです。

ーネットでなんでも販売できる現代だからこそ、来店された目の前のお客様ひとりひとりを尊重する姿勢が伺えました。本日は貴重なお時間をありがとうございます。

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この記事の監修者

ユーウォッチを運営する株式会社GEARの代表です。通信(Wi-Fi・光回線)からVODまで幅広い分野に精通し、ユーザー目線で分かりやすく正確な情報発信を心がけています。

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