千年の愉楽

紀州の路地に生を受け、女たちに圧倒的な愉楽を与えながら、命の火を燃やし尽くした「中本」の血統の男たち。彼らの誕生から死までを見つめ続けた路地の産婆・オリュウノオバ。年老いて、いまわの際をさまようオリュウの胸に、美しい男たちの物語が甦る。

「千年の愉楽」は、反骨の映画作家・若松孝二が中上健次の代表作を映画化した人間ドラマです。2012年に急逝した若松孝二監督の遺作であり、盟友である中上健次の原作と向き合い、昭和の薫りが色濃く残る集落を舞台に作り上げました。この作品は、匂い立つような命の讃歌とも言える作品で、人間の生きる喜びや苦しみを描いています。