気の弱い浪人・民門伊右衛門は、妻・お岩と共に貧しい暮らしをしていた。ある時、彼は牢上がりの悪党・直助にそそのかされ、お岩の毒殺に加担してしまう。良心の呵責に苦しむ伊右衛門。やがて彼は、少しずつ常軌を逸した行動を取るようになっていく。

「新釈 四谷怪談」は、鶴屋南北の歌舞伎狂言を木下惠介監督が新解釈で映画化した作品です。怪談やお化けものではなく、人間の欲望、心の弱さ、愛憎を描いた人情物語となっています。上原謙、田中絹代らの演技により、善悪の葛藤や苦悩が渦巻くドラマが展開され、観る者を引き込みます。時代劇の枠を超えた深い人間ドラマが描かれており、その新たな解釈と演技陣の熱演は必見です。