深夜1時を過ぎた漫画喫茶。1人個室で漫画を読みふける結璃の携帯に、「番号非通知」の文字が浮かび上がる（「立ち読み」）。田舎の古びたガソリンスタンド。ふと気づくと、汚れたつなぎを着ている男がスパナを握りしめて立っていて…（「エンスト」）。

「東京伝説 恐怖の人間地獄」は、平山夢明のベストセラー小説を映画化したホラーオムニバスです。この作品の特徴は、幽霊や超常現象による恐怖ではなく、人間の狂気がもたらす怖さを描いている点です。各エピソードでは、何気ない日常に突如として入り込む“一線を越えてしまった者たち”の狂気に観客は戦慄します。この世で最も怖いのは人間自身というテーマを、巧みなストーリーテリングで描き出しています。