去年マリエンバートで

凝った装飾の施された、石作りの豪華なホテルで富裕層たちがパーティに興じていた。ある男性客は、夫と滞在中の夫人に「去年マリエンバートで会いましたね」と話しかけるが、夫人は思い出せない。だが男の話を聞くうち、夫人は記憶を取り戻していく…。

「去年マリエンバートで」は、男と女の不思議な交流を幻想的に描いた芸術映画の傑作です。アラン・ロブ＝グリエの脚本を、『夜と霧』のアラン・レネが映画化しました。物語は、男と女が豪華なマンションで出会い、過去の記憶を巡りながら複雑な関係を築いていく様子を描いています。ヒロイン役のデルフィーヌ・セイリグがまとう、ココ・シャネルデザインの衣装が映画に華やかさと深みを添えています。視覚的な美しさとともに、人間の心理や記憶の不確かさを巧みに描き出した作品です。