江戸っ子繁昌記

長屋暮らしの魚屋の勝五郎は酒好きで怠け癖がある男だった。そんなある日、女房に泣きつかれて芝浜へ仕入れに行くことに。その道すがら、勝五郎は100両もの大金を拾ってしまう。その金で早速長屋に住む人々に大盤振る舞いするが、酔っ払って眠ってしまい…。

「江戸っ子繁昌記」は、マキノ雅弘監督による異色の娯楽時代劇で、武家社会と庶民の暮らしを見事に描いています。主演の中村錦之助は、影のある旗本と江戸っ子気質の魚屋という相反する二役を演じ、その演技力が光ります。物語は、落語「芝浜」と怪談「番町皿屋敷」を基にした成沢昌茂の脚本により展開され、その秀逸さが際立っています。この作品は、時代背景とキャラクターの深みを巧みに描き出し、観る者を江戸時代の世界へと引き込みます。