サービス開始からおよそ3年という短期間で、「圧倒的なコスパの良さ」が根強く支持されるほどまでに急成長を遂げたDMM TV。
ハイクオリティなオリジナルコンテンツが注目を集め、今や代表的なVODサービスのひとつになりました。
今回は、そのようなサービスの立ち上げから携わってきた、DMM TVの第一人者とも言える、DMMプレミアム本部 経営企画部 部長・浅川佳延さんに取材しました。
VOD市場におけるDMM TVの現在地やDMM TV独自の魅力を伺いました。
21万作品が月額550円。圧倒的なコスパの良さが光るDMM TV
ーDMM TVという動画配信サービスの概要について、教えてください。
浅川:「DMMプレミアム」という月額550円(※1)のサブスクリプションサービスに登録することで利用できる総合動画配信サービスです。
2022年の12月から始まったサービスで、私はこの事業の立ち上げから関わってきました。
ーDMM TVというVODサービスを作ったきっかけは、何だったのでしょうか。
浅川:DMM TVがスタートする前 、DMMは1作品1話ずつお金を払うペーパービューのビジネスモデルで、小規模ながらも動画配信サービスを持っていました。
2015年頃から段々とVODサービスの数が増え、コロナ禍でVODサービスの注目度と人気が爆発しました。
ペーパービューだけのビジネスモデルだと時代の波に取り残されてしまうので、月額制の動画配信サービスを作ろうということになり、そこから「DMM TV」が立ち上がっていきました。
ー企画の立ち上げ段階で重視したDMM TVの方針は何だったのでしょうか。
浅川:企画段階でディスカッションをしていた方針は、DMMで「マルチエンタメ・プラットフォーム」を作るということです。
DMMは60以上の事業を展開していますが、注力領域の一つとして電子書籍サービスやスクラッチ、オンラインクレーンゲームやアニメ製作など、エンタメに関わる事業を多く行っています。
そのため、1つのアカウントで横断的にエンタメサービスが使えるようなプラットフォームの構築を目指すうえで、DMM TVがその入口になるんじゃないか、という意見にまとまりました。
DMM TVの映像作品をきっかけに原作漫画を読んだりグッズを買ったりなど、DMM TVは「マルチエンタメ・プラットフォーム」の中核を担ってくれていると思います。
ー「マルチエンタメ・プラットフォーム」を構築される上での具体的な施策について、教えていただきたいです。
浅川:細かく話すと、映像作品を見た人にレコメンドで別のジャンルや作品をおすすめしてDMM TV内を循環してもらうことと、ポップアップで連動する他のサービスのクーポンやお得情報を発信することを行っています。
DMM TVを起点として、DMMのさまざまなサービスへと送客を広げ、経済圏全体を活性化していくことは、私たちの重要なミッションの一つだと考えています。
ーDMM TVの強みとしては、先ほどお話していただいたような、他サービスと連携して利用できるところでしょうか。
浅川:そうですね。「他のDMMサービスと連動して楽しんでいただける」というのはまさに当初から思い描いていた理想形で、DMMならではの独自性もあると思います。
サービスの内容面で言えば、月額550円という価格にもこだわり続けています。
ー確かに月額550円で見放題を利用できる安さに驚きました。
浅川:各社が毎年のように値上げをしている中で、DMM TVは2022年12月から現在まで、一度も価格改定をしていません。
業界最安値の550円で、かつコンテンツ数も約21万作品(※2)というトップレベルの豊富さがあるので、その「圧倒的なコスパの良さ」は強みです。
そこが評価され、昨年のGMO顧客満足度ランキングで第一位、オリコン顧客満足度調査でも第二位をいただきました。またアプリ体験の面も評価いただき、「Google Play ベストオブ 2025」の「ベストアプリ2025」も受賞しました。
アニメの新作見放題作品数では3年連続業界1位(※3)を取っていますし、価格とコンテンツを中心としたサービスの品質にはかなりこだわっています。
ーそこまで「コスパの良さ」という長所を伸ばすことができた理由はなんだと思いますか。
浅川:DMM TVが“最後発のVODサービス”だからだと思います。
私たちがこの業界に参入してから、大手の新たなプラットフォーマーはまだ参入していません。
他社サービスが前例となって、うまく良いところをDMM TVで吸収できたので、立ち上げてからこの3年間で、私も驚くほどの速度でサービスが成長していったと感じています。
※1 App Store、Google Playからの登録は月額650円(税込)
※2 2026年4月時点
※3 国内定額制動画配信サービスで配信された新作アニメの見放題作品が対象。
調査期間:2023~2025年12月1日~19日/(株)コミュニケーション科学研究所調べ
チャレンジングな取り組みを支える観察眼と分析力
ーサービスが開始されてから現在までで、印象的だったユーザーの声や意見はありますか。
浅川:SNSで「価格の安さにすごく助かってます」というご意見をよく目にします。
あとは、「こういうニッチな作品を取り扱ってください」とか「こんな機能つけてほしい」というような声も。
SNSは常にモニタリングしていますし、不具合があるとユーザーのストレスになってしまうので、「バグが起きていないか」「仕様を変えるか」みたいなところは特に、システムの開発メンバーを含めて日頃からディスカッションをしています。
ー今までで取り組んだサービスのブラッシュアップなど、その具体例を教えてください。
浅川:途中で映像が止まってしまうなどの対策として通信面を強化するのはもちろん、作品のレコメンド機能をアップデートしたこともあります。
DMM TVだけでなく、DMMプレミアム会員がどうやったら他のサービスも使いやすくなるか、というところを考えて常にバージョンアップできるようにしています。
ーVOD市場の拡大や伸びは、近年緩やかになってきているのではないかと思いますが、現在のDMM TVのポジションについて、どう分析されていますか。
浅川:DMM TV単体では、現在「価格」と「コンテンツ」の2つの柱で高い評価をいただくことができていると思います。
さらに、アライアンスとして、スポーツ配信をされているDAZNさんやディズニープラスさん、pixivさんとセットプランを提供しています。
他社サービスと手を組むことで、DMM TVだけではカバーしきれないジャンルでも、それぞれに登録するよりお手頃な金額でサービスを利用できるようになりました。
セットプランという方法は他社サービスもやられてはいますが、私たちが先陣を切って外部と協力できている手ごたえがあります。
DMMプレミアム会員は他のDMMサービスを一緒にお得に使えるので、そういった会員特典も他社サービスとの差別化になっていますし、「ただの動画配信サービスではない」というのは、今のDMM TVの強みです。
ーDMM TVといえば、『ドンケツ』や『外道の歌』などのオリジナル作品も人気があります。実はU-WATCHでも出演者に取材したことがありますが、オリジナル作品の製作と配信に関して、重視していることはなんですか。
『ドンケツ』伊藤英明さんと綾小路 翔(氣志團)の記事はこちら↓
浅川:動画配信サービスは今や無数にありますが、オリジナル作品はそこでしか視聴できない。それ自体がサービスの魅力になると思います。
さらに、作品のクオリティの高さと、地上波では難しい作品を扱うチャレンジングさの両立を常に意識しながら、オリジナル作品を提供していけたらと思います。
オリジナルドラマを製作したことで、出演してくださった俳優のコアなファンの方がDMM TVに加入してくださることもありました。
ーオリジナル作品を宣伝していくSNSの手腕もすごいと思いました。SNSでの宣伝にもかなり力を入れられていますよね。
浅川:注力せざるを得ないと言いますか、SNSの活用は取り組むべき手法だと思います。
そこに注目して作られたのが、SNSを頻繁に使う若年層を私たちのプラットフォームに引き込みたいという気持ちで始めた「DMMショート」です。
もともとDMM全体のユーザーは30、40代の男性が多かったのですが、SNSで波及できる縦型の短尺動画を始めたことで、若年層にDMM TVや配信作品を宣伝することができました。
現在、ユーザーの比率は20代の男女も増えてきています。
ー縦型動画を取り入れるなど、的確に流行に乗ることができるという点で、市場を見極める力が鋭いですね。DMM流の分析の仕方のようなものがあるのでしょうか。
浅川:あまり詳しくは言えないのですが、流行を見つけてからそれをプラットフォームに反映させるまでに、数ヶ月はかかってしまいます。
そのタイムラグを短くするために、常に先を見通して海外のプラットフォームや市場の環境を参考にモニタリングしていますし、「これは流行りそうだな」というジャンルは常に調査し続けています。
一緒に働くメンバーも若い方はたくさんいますし、SNSを駆使して自社サービスに取り込むスピードの早さには自信があります。
まずはやってみる。ダメだったら軌道修正するという感じで、これはもはや“社風”に近いものがあると感じています。
急成長中のDMM TVが提供する、“他社ではできないエンタメ体験”
ー今後DMM TVで強化していきたいジャンルはありますか。
浅川:DMMはアニメの製作もやっているので、アニメは引き続きトップランナーとして牽引していきたいジャンルです。これは今後も変わりません。
あとはオリジナルドラマにも、もっと力を入れていきたいです。オリジナルドラマは、ありがたいことに、海外の賞にノミネートされたり、国内ドラマ満足度ランキングでも地上波ドラマを押さえて上位にランクインしたりと好評をいただいています。
シーズン2、シーズン3と長く楽しんでいただける作品をハイクオリティでお届けしていきたいと思います。
まだ詳細は言えませんが、これからもどんどん新しいドラマをリリースする予定です。今後も、今のDMM TVの強みをもっと伸ばしていこうと考えています。
ー2026年はDMM TVの強みをさらに伸ばす1年になるのですね。
浅川:そうですね。逆に、去年はチャレンジの1年でした。
「DMMショート」というショートドラマのジャンルを作ったり、ディズニープラスさんとのセットプランを作ったりなど、あとは「マルチアングル」というライブ配信でユーザーが複数のカメラを切り替えて見たいアングルで映像を見られる 機能も追加しました。
今年はそれらを生かして、DMM TVの強みを伸ばしていくフェーズだと思っています。
まずは日本国内のユーザー獲得に注力していきます。最後発のVODサービスなので、しっかりと日本市場でのポジションを確立していけるよう取り組んでいきます。
ーDMM TV全体の展望や長期的な目標を教えてください。
浅川:長期的に利用していただけるよう、コンテンツやサービスの質の高さは常に維持していかなくてはなりません。
私たちはDMM TVを始めてまだ3年ですし、「DMM TV」というブランドも、まだ確立の途上にあります。今は、まさに山を登っている途中だと感じています。
強みを継続的に伸ばしていきながら、「他社ではできないエンタメ体験」を目指したいです。
サービス開始当初から、「推しが見つかる。世界が変わる。」というキャッチコピーを掲げているので、好きな作品やキャラクター、俳優さんや声優さんと出会って、なおかつ原作漫画やグッズも楽しんでもらいたい。
それを一貫して体験できるのはDMM TVならではだと思いますし、それをDMM TVのブランドとしてしっかり築き上げていきたいと考えています。
ーまだ利用したことがない人へ向けて、DMM TVおすすめの楽しみ方や見てもらいたい作品ジャンルはどうですか。
浅川:新作アニメの配信数が業界トップなので、DMM TVを利用していただけるきっかけは、アニメだと思います。
オリジナル作品にもこだわりを持って力をいれていますし、2.5次元舞台作品も配信しているところがDMM TVの特徴の1つです。
「マルチエンタメ・プラットフォーム」として連動するDMMサービス全体を楽しんでいただけたらと思います。
浅川佳延(あさかわ よしのぶ)プロフィール
合同会社DMM.com
DMMプレミアム本部 経営企画部 部長
Yahoo!JAPANでM&Aに従事。LINEとの経営統合に参画。新規事業の創出を希望し、2021年6月にDMM.com入社。すぐにDMMプレミアム /DMM TV事業のプロジェクトを立ち上げ、PJ統括を担当。現在も DMM プレミアム /DMM TVにおける事業戦略策定、業務提携など事業全体推進を担当。
