Netflixシリーズ『ソウルメイト』はベルリン、ソウル、東京の3都市を舞台に、2人の青年の10年間を描いたオリジナル作品です。
W主演を務めた磯村勇斗さんに、作品の魅力や海外での撮影現場の裏話について伺いました。
Netflixにて5月14日(木)に世界独占配信です。
Netflixシリーズ『ソウルメイト』作品紹介
意図せず親友の人生を壊してしまったことをきっかけに、すべてを捨てて日本を去った鳴滝琉。見知らぬ国の教会で命を落としそうになったところを韓国人のボクサー、ファン・ヨハンに救われる。
それぞれに深い傷を抱く二人。次第に、互いの孤独な魂が邂逅していく。一生に一度、巡り会えた相手。<共に生きたい>そう願うほど、二人を結ぶ糸は残酷に絡まっていく。
ベルリン、ソウル、東京—。3都市を舞台に、生涯忘れ得ない痛みと苦しみ、そして喜びを刻みつけた時間。
10年の歳月に渡り、二人の青年が歩んだ魂と愛の物語。
Netflixシリーズ『ソウルメイト』公式サイトより引用
「琉とヨハンに流れる時間を大切にしたかった」対話を積み重ねたお芝居

ー今回演じられた鳴滝琉(なるたきりゅう)というキャラクターは、どのような人物ですか。
磯村勇斗さん(以下、磯村):琉は小さい頃からずっとアイスホッケーひと筋でやってきましたが、とある出来事から仲間を失い、すべてを捨てて自分からも逃げていくというところから、この物語がはじまっていきます。
彼には「逃げてしまう弱さ」がありますが、ある意味「逃げる」というのは相当な覚悟や勇気がないとできない行為だと思います。
弱いのに、逃げる勇気はあるところが真逆ながらも彼の特徴で。弱さを隠さないほど自分に正直な人物だというのはすごく感じました。
ー確かに琉のようにすべてを捨てて逃げるというのも勇気が必要ですね。そこが琉の魅力なのでしょうか。
磯村:こう言ってしまったら失礼ですが、正直彼に魅力というものはないのかもしれません。
もし彼が、自分自身や物事にしっかりと向き合える強さを持っているような魅力的な人物であれば、すべてを捨てて逃げ出し、その先でヨハンに出会って、という展開にはなっていなかったはずです。
琉はヨハンと出会っていなければそのまま消えてしまったのではないかと思うほどの人物で、自分ではどうしようもできなくなっていた琉の前にヨハンが現れ、そこからヨハンに救われていくので、ヨハンと出会ってからは“琉の半分はヨハン”だと思います。

ー今回は、橋爪駿輝監督のオリジナル作品です。最初に台本を読んだ時の感想を教えてください。
磯村:最初に台本を読んだ時、琉とヨハン2人の10年間をものすごく丁寧に描いているなと思いました。2人の空気感や監督の言葉の選び方が素敵だなと思いながら読んでいました。
ー原作が無い分、現場で監督とディスカッションすることも多かったのではないでしょうか。
磯村:はい。毎シーンごとに監督と話し合いをしていたと思います。
「このシーンでの琉の立ち回りはどうか」「このセリフはどう表現したらいいのか」というところをすごく丁寧に話し合っていきました。
物語を順番通りに撮影をしていく“順撮り”ではなく、東京、ソウル、ベルリンでそれぞれのパートを撮っていたので、その前後のシーンの繋がりを想像しながら進めていきました。
ー丁寧な話し合いの積み重ねでワンシーンずつ撮影されていったのですね。
磯村:たくさん話し合いをさせていただいたので、時には衝突することもありました。
お互い納得できない部分や譲れない時があり、クリエイティブの面で話し合いが必要な瞬間というのはありました。
とは言え、それを続けていると撮影のリズムが遅くなってしまうので、撮影の前日に監督と話し合っておき、撮影当日は決めたお芝居をするというやり方に変えました。そういう意味でも、監督とは本当に二人三脚で琉を一緒に作っていきました。

ー撮影中に大変だったことや難しかったことはありますか。
磯村:「どれくらい感情を出したらいいのか」ということは毎回それぞれのシーンで考えていて、なんかもう全部大変でした(笑)。
琉とヨハンに流れる時間を大切にしたかったですし、ひとりで抱えている時もどこまで表現するのかというのは、監督と特に話し合いながら向き合い続けていました。
希望が感じられるような明るいシーンもありましたが、基本はズンと重く沈んだ感じのシーンが多かったので、その表現が大変でした。
ー磯村さんが琉役を演じるにあたり、一番最初に準備されたことや考えたことは何でしたか。
磯村:最初はアイスホッケーです。そこをベースとして作っていかないとはじまらないと思ったので、いかにアイスホッケーにのめり込めるかということを準備段階からずっと考えていました。
最初はアイスホッケーの靴を履いて氷の上を滑ることもできなかったので、そこも1から全部練習しました。アイスリンクを使える時間は限られていたので、使える日は朝から行き気合を入れて練習しましたし、リンクが使えない時は陸でトレーニングをしました。
他の仕事もやりながら、家に帰った後も下半身を鍛えたり、下駄を履いてバランスを取る練習をしたりの毎日だったので、「アイスホッケーに身を捧げている琉」の土台を作っていくことができました。
4ヶ月半の期間に3つの都市で撮影。一心同体となったW主演の相方

ーヨハン役のオク・テギョンさんは長期間に及んで一緒に撮影をされたと思いますが、テギョンさんとの関係性はどうですか。
磯村:常に仲が良かったです。撮影の休憩中もよく喋っていました。
「日本ではこういう撮影の仕方だけど、韓国ではどう?」など、韓国と日本それぞれの食べ物や植物についての話もしました。
一緒に笑い合ったりする時間を積み重ねていったので、自然と僕たちも琉とヨハンのような“ソウルメイト”になっていった感じがします。
ーロケ地は3か国、それぞれの都市で行われましたが、撮影現場の雰囲気は違っていましたか。
磯村:東京パートは日本人クルーで撮影し、そこから何十人かと一緒にソウルパートに移り、ソウルではソウルの撮影チームが、ベルリンではベルリンのチームが、というような形で合流していったので、現場の雰囲気はそれぞれで違いました。
ソウルのクルーはアツい人たちが多かった印象です。もちろんどの現場のどの方も、根っこにある強い気持ちは変わらないのですが、ソウルのスタッフさんたちの「なんとしても良いものを作るぞ」というガツガツ感は前面に出ているなと感じました。
ベルリンでの撮影は、ドイツが労働に関して厳しかったので、決められたルールの中でどう撮影していくかということに頭を使う必要がありましたし、日本人にとってはなかなか慣れない作業が多かったので、監督やプロデューサーの方々は大変だったと思います。
ベルリンはソウルと比べると、かなり落ち着いている人たちが多いチームだった印象があります。そこで波長が合ったのか、日本のスタッフさんたちとすごく仲良くなっていましたし、みんなでご飯を食べたりお酒を飲んだり、最終的には本当に家族のようなチームになっていました。

ー特に印象的だった撮影現場でのエピソードはありますか。
磯村:これがたくさんありすぎて(笑)。
撮影期間の4ヶ月半のうち半分は海外での撮影だったので、色々なエピソードがあります。
ーひとつ選ぶとしたら、どんなエピソードですか。
磯村:韓国で撮影中に食べた料理がすごく美味しかったです。
朝にヨハンとヨハンの妹・スアと一緒にご飯を食べるシーンがあり、実際に食べていたら本当に美味しくて、ずっと食べちゃってたという(笑)。
海鮮カルグクスという料理らしいのですが、小麦を練ったものやアサリが入っている煮込みスープで、韓国では家庭的な食べ物だと聞きました。日本には馴染みのない感じの料理で、すごく美味しかったです。
ー特に印象に残っているシーンはそこですか。
磯村:ドラマとして印象に残っているシーンなら、これも果てしなくたくさんあります(笑)。
那須で撮影したシーンも大変でした。この作品は全体的に、それぞれが思い悩んでいるシーンやそこをお互いが支え合っていくシーンが多く、人と人との関係性や空気感が描写されています。
それで言うと、ベルリンで撮影していた場面もすごく思い出深いです。
ベルリンは琉とヨハンが出会った場所ですし、一緒に行ったレストランでご飯を食べている場面や川を見ているところは、同じ場所にいるのに2人の視点の描かれ方が全然違いました。
同じ景色を見ているのに感じ方が違うというところに琉の苦しい部分が表現されていると感じましたし、お芝居をしていて自然と涙が流れてくる時もありました。そこまで気持ちが引き出されるほど、テギョンさんの体作りや役作りがすごかったですし、ベルリンでのシーンはどれも忘れられないです。

ー完成した映像を見て、何を思われましたか。感想を教えてください。
磯村:琉とヨハンを描くストーリーの中に、2人に関わる人物も多く登場するので、きっとこの作品を見てくださる方はこの作品を自分の近くに置いて見てくれるんじゃないかなと思います。
人生、時には残酷なこともあって。それを自分の中でどう受け取って立ち直っていくか、というようなところがあると思います。ですが、無理に立ち直る必要もないと思うのですが、そうだとしても「絶対に誰かがそばにいてくれた」ということが、この作品で丁寧に描かれていると感じました。
ー公開を待つ方へ、メッセージをお願いします。
磯村:人間の中に流れる感情のグラデーションが美しく描かれている作品なので、自分にとってのソウルメイトや大切な人、自分を支えてくれる人を想うきっかけになったら嬉しいです。
琉とヨハンの人生の物語を、ゆったり見てほしいです。
「後悔を減らせるように」挑戦を恐れないマインドの秘訣

ー撮影スケジュールがハードな時のリフレッシュはどうされていますか。
磯村:寝ることです。それが一番心と頭がスッキリする気がします。
ー今後挑戦したいことはありますか。
磯村:俳優業をしているのですが、自分で地元で映画祭を開催したりなど俳優業以外のお仕事に携わることも増えてきたので、常に視野を広く持ち興味のあることにはどんどん行動に移しやっていきたいなと思います。
それは役者のお仕事でもそうでなくてもいいのですが、元気なうちに色々と経験しておいた方が今後の人生が豊かになるだろうと思うので、そこは恐れずに行動力を持っていきたいです。
ー磯村さんはチャレンジ精神が強いタイプですか。
磯村:そうかもしれないです。やはり刺激が欲しいので、常に動いていたいと思います。
ー自分から挑戦していくのは体力が必要ですが、そこまで積極的に向かっていける理由は何かあるのでしょうか。
磯村:極端なことを言ってしまえば、僕たちは明日急に死んでしまうかもしれない可能性のなかで生きているのだと思っていて。
もしそんな瞬間が来たとしたら、きっと「あれをやっておけばよかった」と思うと思います。僕はなぜか来世は人間にはなっていないような気がしていて、アリなどになっているかもしれません。
なので「今やりたい」と思うことはできるうちに行動していきたい。どう生きたとしても、何かしらの後悔は残してしまうかもしれませんが、その後悔をなるべく少なくできるように、今後もチャレンジすることを続けていきたいです。

1992年生まれ、静岡県出身。
テレビドラマ『仮面ライダーゴースト』(2015-2016)で頭角を現し、その後NHK連続テレビ小説『ひよっこ』(2017)で脚光を浴びる。
代表作は、映画『ヤクザと家族 The Family』や『劇場版 きのう何食べた?』(2021)、映画『月』(2023)など。
近年の出演作に、ドラマ『不適切にもほどがある!』や『クジャクのダンス、誰が見た?』、『僕達はまだその星の校則を知らない』など。
俳優業だけでなく、しずおか映画祭の企画・プロデュースを務めるなど、活動の幅を広げている。
●公式X @hayato_isomura
●公式Instagram @hayato_isomura
撮影:髙橋耀太
