2026年10月12日(月)から放送が始まるドラマ『十六夜膳房』で主演を務める中村蒼さんにインタビューしました。
今回中村さんが演じるのは、「黄泉の食堂」で“最後の一皿”を振る舞い、来世へと送り出す料理人・孟婆(もうば)という役。斬新な役の魅力や演じ方を伺いました。
俳優デビュー20周年を迎えた今、本作のテーマ“人生”について、深く語っていただきました。
ドラマ『十六夜膳房』作品紹介
十六夜とは、満月の次の日、わずかに欠け始めた月のこと。
人は亡くなると、『黄泉の食堂』へと導かれます。
そこには、孟婆と呼ばれる料理人がおり、死者は“人生で最も忘れられない料理”を注文します。
人生は十六夜のように、不完全。後悔や未練はつきものです。
孟婆は、その一皿で死者を癒やし、後悔や未練、しがらみから解放し、彼らを来世へ旅立たせます。
これは、どこか欠けた不完全な人生を、最後に料理で満たす物語。
ドラマ『十六夜膳房』公式サイトより引用
●公式X @dramadeep_ntv
中村蒼さんの前回インタビューは👇
物語は“黄泉”の世界。「自分の人生について振り返りたくなる作品」

ー出演が決まった時の率直な思いや、原作に対する感想を教えてください。
中村蒼さん(以下、中村):とても嬉しかったです。原作を日本語に訳していただいたものを読ませてもらいまして、「本当に人それぞれ色々な人生がある」と改めて感じました。
それと同時に、自分の今までの人生を思い返したり、「これからどういう人生になっていくんだろう」と考えたりもしました。自分の人生について振り返りたくなる作品です。
ー今回中村さんが演じられる役は「黄泉の食堂」の料理人・孟婆(もうば)。特殊なキャラクターで役作りが難しかったかと思いますが、撮影に向けてどんな準備をされましたか。
中村:最初に監督から、「この食堂に訪れる人は、誰かを亡くしていたり人生に絶望していたり、色々な感情を持ってやってくるから、孟婆は料理人として寄り添い、お客さんに新たな人生を歩みたいと思ってもらえるくらいの優しさで包んであげて欲しい」というような言葉をいただきました。
誰しも一回は、「人間って死んだらどうなるんだろう」と考えたことがあると思いますが、もしも自分が亡くなった時に、本当にこんな世界が実在していて、最後にこういう人と会話が出来たら幸せだろうなと、自分でもそう思えるような人物像をイメージしました。
ー孟婆の第一印象や魅力を教えてください。
中村:孟婆は、何かを喪失してしまった人や誰かを憎んでいる人、思いを伝えられなかった人たちに寄り添って、“最後の一皿”を作ります。
色々な後悔があった人生でも、最後には自分の人生を自分で肯定してあげられるよう、孟婆は導いていく。そういう温かいところが魅力だと思います。

ー中村さんご自身は孟婆との共通点、もしくは似ていないところはありますか。
中村:似ていないところとしては、絶望の淵に立っている人に「そうじゃない」と思わせるような包容力や優しさは、孟婆ならではだと思います。
孟婆はただ料理を作るだけではなく、「人の話を聞く」という役割もあって、僕は人の話を聞くことが好きなので、そういうところは少し似ていると感じました。
ーオリジナリティがあって素敵な雰囲気の作品ですが、撮影をするにあたって「こういうお芝居をしよう」というイメージはありますか。
中村:ファンタジーの作品だからこそ、お芝居に関して現場で色々トライしていけたらいいなと思います。
「黄泉の食堂」のスタッフ側の孟婆・白無常・閻魔王の3人でいる時は、食堂のお客さんと接している時とはまた少し違った空気が流れていて、面白いやりとりがあったりもするので、個性豊かなところも楽しんでいきたいです。

ー孟婆は料理人というキャラクターですので、料理シーンもお芝居のひとつのポイントだと思います。そこはいかがですか。
中村:料理に関しては、撮影が始まる前から特訓を続けています。
ー特にここが難しいというような、料理の動作や振る舞いはありますか。
中村:やっぱり包丁さばきは難しい。鍋やフライパンにも色々と種類があるので、どんな調理器具を使ってどんな料理を作るのか、それにちゃんと対応できるかどうか。刻一刻とXデーが迫ってきているような緊張感があります。
ー食の要素も見どころですが、本作の1番の柱はやはり「人を送り出す」というストーリーだと思います。特に印象的だったシーンやセリフはありますか。
中村:孟婆は、食堂にやってきたお客さんに合わせて寄り添っていきますが、いつも決まって言うセリフが1つあります。食堂から出ていくお客さんを見送る時に、「今日のお客様もとてもいい人生を生き抜かれました」と言いますが、このセリフがすごく印象的です。
称賛するような思いを込めて見送る一方、孟婆は自分自身が何者か分からないままずっと黄泉の世界に留まっていて、「自分はいつまでここにいるのか」「自分は何なんだろう」という戸惑いも抱えています。
このセリフには色々な気持ちが込められているように感じたので、印象深いです。
来世生まれ変わるなら?「シンプルな生き物になってみたい」

ー「黄泉の食堂」には、後悔や悩みを抱えた人がやってくるとのことでしたが、悩みに対する中村さんの解決方法を伺いたいです。
中村:僕はあまり人に相談しないタイプで、悩んでいると「結局自分でやるしかない」という考えになります。
迷った時は自問自答を繰り返して自己解決することが多いですが、新しいことに挑戦するというのは、すごく勇気が必要なことだと分かっているので、もしも相談されたら背中を押してあげられるような人になりたいです。
ー本作は“人生で忘れられない一皿”が1つのテーマになっていますが、中村さんにとって忘れられない思い出の味はありますか。
中村:僕が小学2年生くらいの頃、おばあちゃんの家に泊まっていた時に、なぜか明け方の4時くらいにあまりの空腹で目が覚めたことがありました。
寝室を出て台所に行ったら、おばあちゃんも早起きをしていて、お互いに「わっ」と驚いて(笑)。「お腹空いた」と話したら、シンプルなおにぎりとお味噌汁を作ってくれました。それがすごく美味しかった記憶があります。そもそもあんなにお腹が空いて起きたこともなかったですし、そういう思い出も込みで忘れられない味です。

ー心がほっこりする思い出話ですね。孟婆の料理で心残りがなくなったあと、来世に生まれ変わっていくという展開にちなんで、中村さんは来世生まれ変わるなら、何になりたいですか。
中村:生まれ変わるなら、そうですね…。人間じゃないものの方がいいかな。
ーそれはどうしてですか?
中村:改めて考えると、「人間ってめんどくさいな」と思うことばかりで。これだけ会話ができて便利なのに、こんなにも分かり合えていないのって人間くらいなんじゃないかと思うので、来世はシンプルな生き物になってみたいです。
あと単純に、ほかの生き物たちがどんなことを考えているのかがすごく気になります。実際生まれ変わったら、この気持ちも覚えていないですけどね(笑)。
ーほかの生き物が何を考えているかは、確かに気になります(笑)。ドラマ全体を通して、「ここが特に素敵だな」というような魅力はどこにあると感じられましたか。
中村:“食”と“人生”を振り返りたくなるところが魅力です。
どうしても忙しいと、食は作業の一部になってしまいますが、料理は記憶と結びついていると思います。「誰と食べたのか」「どこで食べたのか」「誰が作ってくれたのか」という一食一食の大切さに改めて気づかされるドラマです。
“最後に食べたい一皿”ということで、心を落ち着かせながら自分の人生についてもゆっくり振り返ることができる時間にもなるので、そこがすごく良いところだなと思います。
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