儀式

親戚の輝道が死んだという奇妙な電報を受け取った満洲男は、輝道の恋人だった律子と共に南方の島へ向かう。その道中、満州男は、母と共に満州から引き揚げてきた昭和22年を皮切りに、偉大な祖父・一臣が支配する桜田一族の歪んだ人間模様を思い出していく。

「儀式」は、大島渚監督の力強い描写が光る作品です。戦後の日本人の姿をシニカルに描き出すため、ある名家の冠婚葬祭を舞台にしています。この名家は戦前からの家父長制度が残り、愛憎劇が繰り広げられます。非商業主義的な傑作を多く生み出したATGの創立10周年を記念して制作されたこの作品は、その力強さと意欲が詰まっています。