排水溝の奥にある水路で暮らす家族がいる。しばらく前に地上に出た弟が、久しぶりに戻ってきた。相変わらず祖父と愛犬と共に暮らす兄は、弟を誘って魚釣りに出かける。兄に先導されて久々に歩く下水道は、新しい道ができたり、さま変わりしていた。

「水路の兄弟」は、地面の下、下水道で暮らす家族の日常を描いた作品です。普段目にすることのない下水道の風景と、そこで生きる家族の不思議で温かな生活が描かれています。家族の絆や生活の営みが、下水道という特異な環境の中でどのように展開するのか、視覚的にも心情的にも新鮮な驚きと感動を与えてくれます。『水曜日が消えた』の吉野耕平監督が手掛けたこの作品は、PFFアワード2002に入選しています。