親孝行のつもりで母親を温泉旅行に連れてきた三姉妹。長女・弥生（江口のりこ）は美人姉妹といわれる妹たちにコンプレックスを持ち、次女・愛美（内田慈）は優等生の長女と比べられてきたせいで自分の能力を発揮できなかったと心の底で恨んでいる。そんな二人を冷めた目で観察する三女・清美（古川琴音）。三姉妹に共通しているのは、「母親みたいな人生を送りたくない」ということ。母親の誕生日をお祝いしようと、三姉妹は夕食の席で花やケーキを準備していた。母親へのプレゼントとして長女の弥生は高価なストールを、次女の愛美は得意の歌を用意し、三女・清美は姉たちにも内緒にしていた彼氏・タカヒロ（青山フォール勝ち）との結婚をサプライズで発表すべくタカヒロ本人を紹介するつもりだったが――。

橋口亮輔監督が9年ぶりに放つ長編監督作「お母さんが一緒」は、2015年にペヤンヌマキ主宰の演劇ユニットで発表された舞台を原作とした家族ドラマ。親孝行のつもりで温泉旅行に母親を連れてきた3姉妹が、温泉宿の一室で繰り広げる壮絶なバトルを描きます。橋口監督が脚色し、江口のりこ、内田慈、古川琴音、青山フォール勝ち（ネルソンズ）ら個性派キャストが出演。家族という一番身近な他人だからこそ抱く不満や苛立ちを、毒気を含ませつつ温かく綴った傑作です。