2026年度前期の連続テレビ小説『風、薫る』で大家直美役を演じられている上坂樹里さんにインタビューしました。
「直美と母」という作品のひとつのテーマが結末を迎えた第17週。視聴者注目のストーリーを演じ上げた舞台裏を伺いました。
また、『風、薫る』の放送が折り返し地点を迎えている今だからこそ、作品の魅力や朝ドラの現場について、語っていただきました。
連続テレビ小説『風、薫る』作品紹介
主人公はそれぞれ生きづらさを抱えた二人の女性。当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込み、傷ついた人々を守るために奔走し、時に強き者と戦う——…
連続テレビ小説『風、薫る』公式サイトより引用
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放送開始から約4ヶ月…「今でも実感して嬉しくなります」

ー『風、薫る』の放送が折り返し地点を過ぎたところではありますが、改めて朝ドラに出演すると決まった時のお気持ちを教えてください。
上坂樹里さん(以下、上坂):私は“主人公として朝ドラに出演する”ということを、このお仕事を始めてからずっと1番の夢として掲げていたので、今振り返ってもこの役が決まった時の嬉しさは忘れられません。
ー放送開始から約4ヶ月ほど経ちますが、ずっと夢だった朝ドラに出演しているという実感はありますか。
上坂:朝ドラが放送されている8時から8時15分までは、ちょうどスタジオでメイクなどの撮影準備をしている時間帯と重なっています。
ちょうど今撮影の準備をしている作品がリアルタイムで放送されているという、朝ドラならではのすごく不思議な感覚があって、『風、薫る』の放送を見るたびに「朝ドラに出ているんだ」と今でも実感して嬉しくなります。
ー上坂さんが演じられている大家直美という人物は、親に捨てられ教会で育ったというバックボーンがありますが、このキャラクターを演じるうえでどんな役作りをされましたか。
上坂:英語や所作、看護の講義や稽古を受けています。その中でも、直美として一番意識しているのは所作です。
りんと比べると一番よくわかるのですが、例えばご飯を食べている時に、食べる順番が決められていても直美はあえてその順番を崩してみたり、看護服を着ていても足を組んだり。
着物を着ていても大股気味にずんずん進んでいく直美の姿は、結構意識的に見せようと思っていました。
直美の成長とともに、そこをどう変化させるべきか悩みましたが、所作を正しくしすぎると直美の個性がなくなってしまう、そのバランスは所作の先生や監督と確かめながら撮影していきました。
ー今まで撮影を重ねられた中で、役への印象が変わったところや、逆に変わらなかったところはありますか。
上坂:直美の強さとたくましさはずっと変わらない魅力だと思いますが、それを“誰のために使うか”というのは変わりました。
ドラマ初期の直美は、自分が生きていくためにずる賢く嘘をついて、自分のためにやれることは全部やってという感じでしたが、りんと出会って看護学校で仲間と出会って、患者さんと出会ったことで、「人のために」という気持ちが芽生えました。
特にそれを象徴しているのが、第15週にりんに向かって言い放った「看護婦やめな」というセリフです。以前の直美だったらあそこまで人のために行動できていなかったですし、そもそもあのセリフを言うほど人から影響を受けることもなかったんじゃないかなと感じていて。その後も、直美がこんなに人のために泣いて、人を思って行動に移したのは、自分が持っている武器や強さを使う相手が変化したからだと思います。
ー役への理解が深いですね。やはり長期間同じ役を演じるというのは朝ドラならではですか。
上坂:そうですね。準備も含めて約1年間ひとつの役を演じるのは初めてのことで、台本に書かれている以上に直美の変化や直美自体を理解できるようになりましたし、一番近い距離で直美を見守っていると思います。
例えば台本にト書きで「涙を流す」とあったら、今までの作品では「どう見せようか」と意識的に考えていたのが、今は意識せずとも自然にスイッチが入って、直美としてその場に生きることができている感覚があるので、これこそ、役とともに生きている感覚なのかなと感じています。
直美が母と向き合う第17週。役者本人が感じていたこととは

ー撮影現場で監督とお芝居についてどんなことをお話されましたか。
上坂:監督からのお話ですごく印象に残っているのは、「直美を演じているのは上坂さんだから、撮影本番で上坂さんから出てきたものが正解」と言っていただいたことです。
その時に「自分が一番直美を理解してあげないといけないんだ」と直美を演じる責任感を改めて感じました。
監督は私たちを信頼して任せてくれることも多いですが、どう演じたらいいか分からない時はしっかりと相談に乗ってくださるので本当にありがたいです。
特に第17週の撮影は、今まで直美が向き合えていなかった母や自分が生まれる前の話です。自分の家族、母親という存在が急に目の前に現れて直美自身もどうしたらいいのか分からなくなっていて、それを演じる私もとても悩みました。
そこは丁寧に時間をかけて、監督と確認し合いながらひとつひとつ撮影していきました。
ー確かに第17週は直美にとって大きな転機となる展開でした。改めてこの第17週のストーリーを振り返ってみてどうですか。
上坂:今までの直美と大きく違ったのは、「看護婦としてそこにいられるかどうか」というところです。直美は意識して、「今は看護してる時間」「今は休みの日で家にいる時間」と切り替えるようにしていました。
でも、文さんが自分の母と気付いてからは、今まではちゃんと看護婦として線を引いて看護できていたのに、大家直美としての感情がどうしても混ざってしまって、複雑な自分の気持ちをうまくコントロールできなくなってしまいます。
でも今の直美の周りには、りんをはじめとする仲間がいてくれて、肯定もしてくれるし間違えている時は間違えていると言ってくれる。そういう人がいてくれたからこそ、直美は初めて母という存在とちゃんと向き合うことができました。
直美のこれまでの経験や歩いてきた人生が、この第17週にあらわれていると思います。
ー直美の重要回が続いた1週間でしたが、今後の『風、薫る』の見どころを語ってください。
上坂:第17週を経て、直美はまた新しい環境で看護というものに向き合っていきます。
今まで長屋のトヨさんだったり、お金がなくて病院に行けず十分な看護を受けられなかった人たちを、直美はこれまでたくさん見てきました。「What is nursing?看護とは何か」と胸に問い続けている看護婦のひとりとして、直美は“今の自分”をいかした本当の看護に向けて新しく一歩踏み出していきます。
その中で、新潟にいるりんの存在の大切さを知りますし、物語も新しいステップに進んでいくと思うので、今後も毎朝注目していただけたらと思っています。
ーこのドラマを語るうえでは、一ノ瀬りんを演じられた見上愛さんの存在も欠かせません。長い期間共演されていますが、見上さんの印象の変化などはありましたか。
上坂:最初から今もずっと、見上さんはすごくフラットな感じで現場にいてくれています。
私が暗いシーンの撮影をした後に落ち込んだ空気感を引きずっていると、見上さんが「お腹空いたね。これ食べる?」とひとこと声をかけてくださいます。
何気ないそのひとことで肩の力が抜けるので本当にありがたいですし、朝から夜まで現場で一緒にいるので、隣で共有しあえるという見上さんの存在そのものがとても心強いです!
ー朝ドラは話題になることも多いですが、これまでの放送を重ねて周りからの反応はどうですか。
上坂:友達や家族からはよく感想をもらっていて、例えば第15週では「なんでりんに看護婦やめろって言っちゃったの」とか、寛太と再会した時は「あれどうなったの」みたいに、純粋に作品を楽しんでもらえていて嬉しいです。
ほかにも本当に色々な世代の方からメッセージをいただくので、朝ドラは色々な人から愛されているんだなと思いました。
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