パリの灯は遠く

1942年3月、ドイツ占領下のパリ。美術商のロベール・クラインは、国外へ脱出するユダヤ人が手放す美術品を安く買い叩いて利益を上げていた。そんなある日、自分と同姓同名のユダヤ人がいることを知ったクラインは、姿なきもうひとりの自分にとらわれていく。

「パリの灯は遠く」は、アラン・ドロン主演のサスペンス映画です。『暗殺者のメロディ』のジョセフ・ロージー監督と再び組んだこの作品では、同姓同名の男に翻弄され、次第に同化していく彼の姿が描かれます。ドロンが挑んだ難役は、彼の一世一代の名演と評されています。もう一人の自分が誘う不条理な世界を舞台に、観る者を深いサスペンスへと引き込みます。