日々を淡々と過ごしていた社会人・杉並葉一。だがある日、大学時代に制作した自主映画を久しぶりに見たことで、映画制作への情熱を思い出す。かつて好意を抱いていた高木綾子と、就職せずに自主映画を続けている盟友・辻雄大と久しぶりに再会するが…。

「手遅れの葉一」は、夢を思い出した青年と、夢を追い続けていた友人たちとの間で生じる感情のずれや複雑さを描いた作品です。自分の道を進んでいる人々や、夢を忘れずにいる仲間たちに対する憧憬や嫉妬が織り交ぜられ、その中で仲間同士が結ばれる場面を見て引け目を感じる描写は、胸苦しさを引き立てます。この作品は、人間の複雑な心情を巧みに描き出し、観る者に深い共感を呼び起こします。