サイレントラブ

静かで美しく綺麗な映画でした。純度が高く心が洗われる作品です。

生気を感じない、世の中から色が消えていそうな目をした主人公が、ヒロインと出会いだんだんと目に色が入ってくることで、言葉を発することはないのに相手への感情がとても伝わってきて印象的でした。自分の手は汚れているから触れないと躊躇してみたり、一生懸命拭いて汚れを落とそうとしているところも不器用ながら、相手にまっすぐ向かう主人公「蒼」の心にどんどんひかれました。最後にかけて色んな感情が溢れていきます。しかし感情が溢れていくなかでもヒロインを庇い、自分が罪を負うことで自分にはない夢を叶えてもらいたい。北村にお願いするきっかけにもなった理由が最後まで一貫しててかっこよかったです。そして、庇うときにヒロインの頬をなぞるときのあの愛しそうな目が忘れられません。

身体的に不自由がある男女の恋愛を描きながら、厳しい現実を突きつけてくる物語でした。ただの純愛物語だけでは終わらないのも、この作品の面白いところです。