最新テレビシリーズ『ウルトラマンアーク』(テレビ東京系)で、ひと癖あるクールなエリート・石堂シュウを演じている金田昇さん。数々のドラマに出演を重ね、今回、日本のみならずアジア圏で人気が急騰しているウルトラマンシリーズ作品に出演が決定。主役のバディという大きな役に挑んでいる彼の思い、強さと優しさが同居する素顔に迫りました。
『ウルトラマンアーク』作品紹介
7月6日に始まった『ウルトラマンアーク』(テレビ東京系)は、11言語対応で世界同時期放送、配信中。はるかかなたの銀河系から地球へ降り立った光の使者が、豊かな想像力を持つ主人公ユウマと一体化を果たし、新ウルトラヒーロー・ウルトラマンアークの巨大な姿となり、迫りくる危機から人と地球の未来を守る物語。金田さんが演じる石堂シュウは、ユウマが所属する怪獣防災科学調査所“SKIP”に、地球防衛隊・宇宙科学局から派遣された特別調査員です。
ウルトラマンに夢中だった少年時代。今度は子どもたちから“見られる”立場に
―ウルトラマンシリーズの出演おめでとうございます。ウルトラマンは、男の子にとっては憧れの存在だと思うのですが、その番組に出演が決まって、まずどう思われましたか。
金田さん(以下、金田):オーディション後に「決まりました」という報告を受けたときは、実感はなかったのですが、監督さんや共演者の皆さんとお会いしたり、本読みをしたりと進んでいく中で、自分が出演するんだという実感がどんどんわいてきました。
『ウルトラマン』は長い歴史を持つシリーズで、そんな大きな存在に自分が関わるんだという責任の重さも感じますし、しっかりとぶつかっていこうと撮影に臨んでいます。
―金田さんご自身は、少年時代にウルトラマンは見ていたのですか?
金田:見ていたというより、いつも流れていたといったほうがいいかもしれない(笑)。3歳違いの兄と弟がいる3兄弟の真ん中なのですが、兄が見ている時期もあれば、僕、弟が見ている時期もあったので、常にテレビにウルトラマンが流れている環境でした。
父も、さらに昔の『ウルトラマン』世代なので、家では最新のシリーズが、車では昔のシリーズのDVDが流れていて、常にウルトラマンが身近な存在でしたね。僕がオンタイムで見ていたのは『ウルトラマンコスモス』です。ウルトラマンや怪獣の人形でよく遊んでいました。
―じゃあ、今回の出演はご家族も…。
金田:報告したら、親もすごく喜んでくれました。ただ僕は、あまのじゃくなところがあるので、自分自身も喜んでいるのを悟られたくなくて、「そうだよ」と、そのときはクールに流しましたが…。
家族はみんな、僕のことをいつも応援してくれているので、今回の出演で、その気持ちに少しは応えられたかなと思いました。
―クールな石堂シュウは、金田さんにぴったりだと思いました。
金田:オーディションでは、もともと主人公のユウマ役を受けていたんです。でも、同時に石堂シュウのオーディションも行われていたようで、「主役を受けに来てくれているけど、金田くん、石堂シュウという役はどうですか」という風にお話しいただいて…。
頭の片隅には「シュウ役のほうが、自分に合っているかも」という気持ちもあったので、「もちろんやらせていただきます」とお受けしました。
後から監督に、どうして僕を起用してくれたのか聞いたのですが、「ユウマ役の戸塚有輝くんと金田くんの並びを想像したとき、すごくいいバディ感が想像できたから、これはと思ってお願いした」と言われました。
好きなものにテンションが爆上がりするのは、シュウと似ているかも
―石堂シュウはクールな役どころですが、金田さんご自身もクールなんですか?
金田:いや、僕は全然クールではないですね(笑)。だからクールなお芝居は難しいですよ。
でも、僕自身は、ちょっと変わっている面もあって、自分の好きなものの話になると、いきなりテンションが上がったりする。シュウもまさにそんな感じなので、その部分は素の僕にマッチしているなと思います。
―シュウはめちゃくちゃコーヒーが好きなんですよね。
金田:そうなんです。物語全体を通してシリアスなシュウが、唯一バチッと崩れるのが、大好きなコーヒーの話になったとき。
あの場面は、監督から「クールで冷静沈着で、ちょっと近寄りがたいシュウのイメージを壊してほしい」と言われているので、それこそ全力で壊しに行こうと思ってます。僕もいつもあんな感じのテンションなので、そこはもう、思い切って演じられていますね。
―金田さんはコーヒーはお好きなんですか。
金田:実はコーヒーは苦手で…飲めないんですよ(笑)。
―え!じゃあ、どうやって“コーヒーが好き”っていう演技をしているのでしょうか。
金田:その瞬間は、それこそ自分が好きなものをイメージしています。例えば僕、パスタがすごく好きだし、音楽を聴くのも好き。
だから、コーヒーのシーンでは、“音楽を流しながらシャワーを浴びている時の自分”を想定しながら演じています。「これがダメと言われたらやり直せばいい!」という感覚で演じるのですが、意外とOKをいただけるので、それこそ、“とにかく思いっきり楽しくやろう”という気持ちで。
撮影前は好きなパスタもおあずけ。ダイエットをして撮影に臨んだ
―シュウ役の役作りについても教えてください。
金田:実は、役作りのために、撮影前にダイエットをしました。もともと太っていたわけではないですし、「もう少し痩せて」と言われたわけではないんですが、シュウの役に合わせて体型を絞っていこうと自分で考えて。撮影前の2ヵ月間で、結局6~7キロは体重を落としたかな。
―そんなにすぐに痩せられるものですか!?
金田:体重って、増やすのは簡単でも、痩せるのって難しいですね…(笑)。不健康にやせてもダメだなと思ったので、そのときは食べるものをグラム単位で全部量って食べていました。
一人暮らしなので、自分でご飯、鶏むね肉を料理して食べて、プロテイン飲んで、筋トレを行って…。痩せようと思ったら大好きなパスタも食べられないですし、その間、外食にはほとんど行かなかったですね。いやあ、厳しかったです(笑)。
ただ撮影に入ってからは、体調崩すとよくないので、普通の食生活に切り替えました。日中も撮影で動いている分、カロリーも消費しているので、そこはしっかりお弁当を食べて調整しています。
―シュウの衣装はスーツが基本ですが、びしっと決まっていてかっこいいです。
金田:なかなか着慣れなかったですね(笑)。スーツって普段、あまり着る機会がなかったから、ネクタイもうまく結べなかった。
最初、衣装さんに「ちゃんと覚えてね」とネクタイの結び方を教わったものの、自分でやると下手くそで。「すみません、ちょっとわかんなくなっちゃいました」と、最初のうちは何度もお願いしてしまいました。
―共演の皆さんとのエピソードがあれば、ぜひ教えてください。
金田:有輝(飛世ユウマ役の戸塚有輝さん)は、ユウマと考え方が似ている部分があって、自分の考えが決まったら、ぶれずに一直線に突き進むタイプなんですよね。そこがすごくいいなって思いますね。
僕も有輝も、おたがいあまり話すタイプではないんですが、テンションが同じというか、波長が合うというか、同い年ということもあって仲良くやっています。ワーッと盛り上がる時は盛り上がって、テンション低めのときは同じくらい低い、みたいな(笑)。
あとは、子役の子たちがもう、とにかく元気!ウルトラマンの撮影という意識があるのかわからないですが、撮影スタート!ってなるギリギリまで「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」とおしゃべりしてくるので、現場の雰囲気もそれにつられて元気に、和やかになっていくというか…、本当に楽しいです。
でもお芝居になると、みんなしっかり演じるんですよ。子役の子どもたちと話しながら、自分は今、この年代の子が見る番組を作っているんだなとしみじみ感じますね。
―辻本貴則監督は、怪獣愛、ミニチュア愛がすごいとお聞きしたのですが。
金田:そうですね。今回、監督やスタッフの皆さんの、特撮への熱がすごくこもっているなと感じました。背景、それこそ木の1本1本に至るまで愛を感じるんです。スタッフの方々がこれぐらい真剣に作り上げている作品だから、演じる僕らもこだわりを持って、真剣に作品に向き合わないと、と思っています。
―石堂シュウを演じるうえで苦労した部分はどんなことでしょう。
金田:目線、ですかね。大きい怪獣やウルトラマンを見上げているシーンは、実際にそこにウルトラマンがいる体で常に上を見上げなくてはならないので、最初は戸惑いました。
家族や友人からの応援が嬉しい。目指すのは“変わりのきかない俳優”
―そもそも、金田さんが俳優になろうと思ったきっかけは何だったのですか?
金田:20歳になる年に、芸能界には今しか挑戦できないのではないかと思って、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストに応募したんです。佐藤健さんや小栗旬さんに憧れていました。
―俳優になってよかったと思うときは。
金田:周りが喜んでくれることですかね。自分が何かに出演したときに、親や友達から「見たよ」「決まってよかったね」と言ってくれることが、僕の中では一番のモチベーションになっているというか…。
自分が頑張ることで周りが喜んでくれて、僕自身も嬉しい気持ちになる。ただ、僕としては自分が「これに出演するよ」と事前に報告するのではなくて、なにげなくテレビを見ていたら僕が出てきた、くらいに常にテレビや画面で見られるくらいメジャーな存在になるのが今の目標ですね。
―実際にこうして大きな役をつかめるようになって、これから先、どんな俳優になりたいと思っていますか。
金田:“変わりのきかない俳優”。この人が出演できないなら別の人にしよう、じゃなく、“この人に頼めなかったら作品が成り立たない”と決め打ちでオファーしてもらえるような、オリジナリティのある俳優になりたいです。
―最後に、子どもたちにこの『ウルトラマンアーク』をどのように見てほしいですか。
金田:『ウルトラマンアーク』は、物語全体を通して“想像力を解き放て”というのがキャッチフレーズになっているんですが、この想像力には、ウルトラマンアークがユウマの想像で形作られているという以外にも、“相手の気持ちを想像する”、“人の身になって相手を思いやる”というメッセージも込められているんです。
そして“人を信じてみる”ということも、番組の大きなテーマ。この作品を見て、信じること、人を思いやることの大切さを感じてもらえたらと思っています。
金田昇(かねたしょう)プロフィール
2000年1月9日生まれ、北海道出身。2019年に開催された第32回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストのファイナリストに選ばれたのちに俳優デビュー。映画『ビリーバーズ』(2022年)、ドラマ『どうする家康』(NHK・大河ドラマ)など数々の作品を経て、『ウルトラマンアーク』の石堂シュウ役に抜擢。趣味はパスタ作り(家では週5日でパスタ)。特技は空手6年(初段)、バスケ6年、スキー(小学1年生で1級取得)、ピアノ。
X 金田 昇 (Kaneta Sho)(@Sho_Kaneta)さん / X
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取材・文:小澤彩