【増田有華インタビュー】俳優は天職 アイドル時代から走り続ける彼女の芯の強さに迫る

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2012年にアイドルグループ・AKB48を卒業し、現在は俳優として活躍している増田有華(ますだ ゆか)さんにインタビュー!

ドラマや舞台、映画に出演し、その体当たりな演技や歌唱力・演技力ともに定評がある増田さん。どのような芸能人生を歩んできたのか、その芯の強さはどこからきているのか、ここでしか聞けないお話をたっぷり赤裸々に語っていただきました。

芸能界デビュー、アイドルから俳優になるまでの経緯

ー10代の頃からアイドルとして活動されているので、かなり芸歴としては長いと思うのですが、芸能界に入った経緯を教えてください。

増田有華(以下、増田):親がオーディション本を買ってきて応募したのがきっかけです。

家が地方なのでオーディションのために東京へ遊び感覚で行く、いわば “刺激的なイベント行事” だと思っていました。

とにかく歌うことが大好きだったので、最初は俳優とかタレントとかはまったく目指していなくて。

歌を歌うためにオーディションも受けて、コンテストにもたくさん出て、その延長線上にアイドルがあったという感じです。

ー芸能の世界に入ってみてギャップはありましたか。

増田:アイドルになる前から芸能のお仕事はしていて、「芸能で生きていくんだろうな 」「この仕事をしていくんだろうな」っていう感覚があったので、なにも疑うことなくひたすら働いていましたね。

若い頃だったので「辛い」という感覚がわからなくて「芸能はそういうものなんだ」ってしんどいことに気づけないまま、あっという間に10代が終わっていました。

気づかなかったことが、今ではある意味幸せだったかもと思いますけど(笑)。

ー芸能界のお仕事はどういうところが楽しいですか。

増田:定時出社、定時退社の会社で働くとしたら、私はたぶん無理だと思っていて。

知らない場所で、知らない人との一期一会の繰り返しがすごく好きなので自分には合っているかなと思います。

ー俳優をやろうと思ったきっかけはあったのでしょうか。

増田:ええ…ないです(笑)。本当に気がついたら、俳優の道に進んでいました。

目の前の仕事や選択を、その日その日毎分毎秒やっていって、“たまたま今ここにいる”みたいな感じなんです。

ーあまり目標などは立てずにやっていくタイプなんでしょうかね?

増田:よく「10年、20年、50年後まで色々考えているよ」っていう人、沢山いると思うんですけど、私はその日暮らしというか、それがいいのかよくわからないけど、あまり目標を立てたりとかしないですね。

取材とかでよく「来年の目標は」とか聞かれるんですけど、「知らないよそんなの、明日どう生きてるかもわかんないのに」って思って(笑)。

一応答えてはいるのですが、私のことをよく知ってくれているファンの方には「取材ごとに言っている内容が全然違う」って言われます(苦笑)。

辛い時期を乗り越えて お芝居は“セラピー”

ー増田さんはすごくメンタルが強いイメージがあるのですが、落ち込むこともありましたか。

増田:メンタルが強いか弱いかで言ったら、強いとは思います。

 22歳でAKB48を卒業して、ソロになって3、4年後くらいまで、自分のことを客観的に増田有華という “商品” 、芸能人の一人として見ていたので「どう扱われても私は傷つかない 」みたいな感覚があって。

傷ついている自覚もなくそのまま放置していたから、25、26歳くらいで突然自意識が芽生えた瞬間にドーンって全部きて、「ちょっとやばいかも、このまま死んじゃうかも」みたいな、本当に黒い波に飲まれるような感覚を感じた時期がありました。

ーそれは大変でしたね…。

増田:それまで自分が傷ついているっていうことすらもわからないままずっと放置してきたので、どう対処したらいいか分からなかったんですけど、もともと書くことが好きだったので、自分が何が嫌で、何に傷ついているのかみたいなことをひたすら書き出して、自己分析をしました。

そこで「私は今、悲劇のヒロインになりたい時期なんだな」って気づいて、私と“増田有華” を切り離すということをしたら、とてもすがすがしくて。

その時期を経て、ようやく “人” としての増田有華になった感じでした。

ーなるほど、メンタルの維持と俳優のお仕事ってなにかつながったりしているのでしょうか。

増田:私にとってはお芝居がセラピーになっているかもしれません。

役作りをするうえで「これ今の私とリンクするな」とか、「あの時の私とリンクするな」と思うと自分自身が救われたり、号泣するくらい嫌なことがあっても「この経験もいつかこのまま役として活かせるときくるよ」って思ったりしたら、なんかケロっとしちゃうんです。

ーそれってやっぱり天職じゃないですか?

増田:自分では気づいていなかったんですけど、周りから「本当に俳優が天職だと思うよ」って言われて、最近はそうなのかもしれないなと…。

だって、私がもしOLだったら、会社で暴れ散らかしちゃうから(笑)。

ー増田さんにとって俳優ってどんな職業ですか?

増田:楽しいを通り越して人生が豊かになる仕事だなと思っています。

この仕事を自分のためじゃなくて、人のためにもやりたい、誰かに何かを届けたいって思い始めたときが「私って俳優が本当に好きなんだな」って実感した瞬間でした。

お芝居でご一緒したゲストさんや制作陣の方から「またお願いします」って言ってもらうことが増えたときに、「このまま続けていてもいい仕事なんだな」って自分の中で思って、そこからお芝居とちゃんと向き合おうと思いました。

俳優としての転機 お芝居の奥深さに魅せられて

ーお話を聞いていても、楽しさが伝わってきます。俳優としての転機は何かあったのでしょうか。

増田:それまで逃げていたというか、知らんぷりしていた自分の感情とも向き合わないと演じられない役があったりしたときに、役を通して自分と向き合うことができて、そこからお芝居に対する向き合い方も変わりました。

私がやらせていただいているお芝居が、ストレートプレイ(歌唱を含まない会話劇)といって、もう本当に誤魔化しがきかないというか、人間性がそのまま出てしまうお芝居なのですが、ストレートプレイを学んでいくなかで、すごく人生観も変わってきました。

ー具体的にいつ頃からですか?

増田:2014年の『カクタスフラワー』という舞台で、板垣恭一さんという演出の方とご一緒したときに、初めてちゃんとお芝居の面白さを教えてもらいました。

それまでは感覚でお芝居をしてきたんですけど、お芝居の根本がまだできていないんだ、もっと勉強しなきゃって思うきっかけになりました。

例えば、ブレス(息遣い)に対しても細かく指導してくださって、俳優ってアスリートなんだなって改めて思ったりして。

そこから、お芝居の深みを感じられる脚本で出たいなと思って、『実は素晴らしい家族と言うことを知ってほしい』(2022)という作品に出演させていただきました。

演出家の浜谷康幸さんに「増田は生まれたての赤ちゃんみたいだから好きにやっていいよ」と言ってもらって、「増田が寝ころんだらこういう芝居に変えよう」みたいな(笑)。

私のお砂場遊びを楽しく見守ってくれる現場が、大人になってもあるっていう喜びと、私にしかできないものを自由に作らせてくれる現場があることがすっごく楽しくて…!

初めてそこでアイドルではなく、“増田有華”として求められているのが嬉しいって思いました。

ー特に印象に残っている作品はありますか。

増田:最近だと、朝劇『朝日に願え』(春公演:2024年4月17日〜2024年4月28日)に参加したことが印象に残っています。

この作品は、公演期間が2024年4月から2025年3月と、1年間のロングラン公演で、キャパも30人くらいのバーでお客さんとの距離も近い場所で、初めての経験でした。

私、よく人がついてこれないくらいバーッて矢継ぎ早に話しちゃうときがあるんですけど、脚本・演出の谷碧仁さんが、人生で初めてそのコミュニケーションの取り方で話せる方だったんです(笑)。

谷さんって、定点カメラが5台くらいついているんじゃないかと思うくらい、視野がものすごく広くて、言ってることが全部重要なんですよ。

私、ノートにいつももらったダメ出しとかを書くんですけど、初めてノートをひとつの作品で一冊使い切りました。

それで結局、ノートに書いていたら間に合わないから、録音するっていう(笑)。

本当に出会えて良かった演出家さんですね。

ーお芝居への向き合い方が変わってから、お仕事のオファーも増えましたか。

増田:周りから褒めてもらえたり、「面白いことするね」とか逆に「なんか自由にやってみてよ」って言ってもらえたりすることが増えたかなと思います。

例えば焦るシーンがあったら「そうだ、焦るときは呼吸を一瞬浅くすればいいんだ」みたいなどの現場でも使えるメゾットも増えてきていて。私はお守りとも呼んでます。

今までは、その現場では上手くやれても、次の現場ではまたゼロからスタートみたいな感覚があって、そのたびに不安になっていたんですけど、ここ2、3年はそういうお守りを細々いろんな方からいただいて、集めてストックしていろんな現場でその中からチョイスして出すみたいなことが増えてきて、楽しいなと思っています。

気になるプライベートと、俳優・増田有華としての今後

ー今後やってみたい役はありますか?

増田:いっぱいあります!

ここ1、2年だけでも、教師だったり、整形した女性だったり、加害者の家族だったり、全然違う役をやらせていただいているんですけど、いただく役が普通じゃない役の方が多いんですよね(笑)。

逆にそれが自分の強みなのかなって最近自覚してきたので、もちろん普通のお芝居をするっていうのはすごく難しいことではあるんですけど、ちょっと色のついている役っていうのをもっと構築していきたいかなと思います。

話が変わるのですが、お肌がすごくお綺麗です。美容のためにやっていることなども少し教えていただけますか?

増田:ありがとうございます…!趣味と言っても過言ではないくらい、美容には一番お金をかけているかもしれないですね。

あとは食事!ちゃんと料理をし始めてからメンタルが整いましたし、毎朝必ずスムージーを飲むようにしてから、めちゃくちゃ身体の調子がいいんです。

積極的に摂っている食べ物としては、トマト、イチゴ、バナナ、ホウレンソウ、小松菜、オレンジ、キウイとか。

びっくりされるんですけど、キウイは皮ごと食べてます。皮に一番栄養があるんですよ!(笑)

「メンタルが落ち込んでるな」と思ったら、とにかく栄養のあるものを自分で作って、10時間くらい寝るっていうことをしたらケロっと忘れているので、自分の機嫌を取るためにも食事は質のいいものをとるようにはしています。

今後キウイは皮ごと食べます(笑)。では最後に、ファンの方へのメッセージをお願いします!

増田:お芝居が本当に好きなんだっていうのを、この1、2年を通じてすごく感じたので、見てくださっているファンの方々をがっかりさせないようにしていきたいです。

例えば、スケジュールが空いているからお仕事を入れるのではなくて、“私が心躍る作品に出る”ということで楽しんでいただきたいですし、想いを紡いでいきたいです。

あとは今まで頑張ってきた分、無理はしないように休むときは休んでいきたいなって思います。

ーメンタルの保ち方も、美容法もとても勉強になりました。今後のご活躍も楽しみにしています!

増田有華(ますだ ゆか)プロフィール

1991年生まれ、大阪府出身。2006年AKB48の2期生としてデビュー、2012年卒業。宮本亜門演出ミュージカル『ウィズ~オズの魔法使い~』主演ドロシー役で 一躍注目を集め、TVドラマ『リミット』(TX)、『野田ともうします』(NHK E)、KREVAの新しい音楽劇『最高はひとつじゃない』、オフブロードウェイミュージカル『bare』、Netflix作品『全裸監督2』など多方面で活躍中。2023年のTVドラマ『●●ちゃん』(ABC)では主演を演じて注目を集めた。

・X 増田有華(@yuka_masuda)
・Instagram 増田有華 Yuka Masuda🧄🫚 (@masuyuka_official)

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