映画『早乙女カナコの場合は』出演の中村蒼が語る、10年にわたる恋と人生を描いた注目作の魅力

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映画『早乙女カナコの場合は』は、名前の通り主人公・早乙女カナコの10年間を描いた作品です。

カナコの内定就職先の先輩でカナコを一途に想い続ける吉沢洋一役を演じた中村蒼さんにインタビューしました。

“とにかく優しい人”を演じたと言う中村さん。映画の魅力を語っていただきました。

映画『早乙女カナコの場合は』作品紹介

大学進学と同時に友達と二人暮らしを始めた早乙女カナコ。

入学式で演劇サークル「チャリングクロス」で脚本家を目指す長津田と出会い、そのまま付き合うことに。

就職活動を終え、念願の大手出版社に就職が決まる。長津田とも3年の付き合いになるが、このところ口げんかが絶えない。長津田は、口ばかりで脚本を最後まで書かず、卒業もする気はなさそう。サークルに入ってきた女子大の1年生・麻衣子と浮気疑惑さえある。そんなとき、カナコは内定先の先輩・吉沢から告白される。

編集者になる夢を追うカナコは、長津田の生き方とだんだんとすれ違っていく。大学入学から10年ーそれぞれが抱える葛藤、迷い、そして二人の恋の行方はー

映画『早乙女カナコの場合は』公式サイトより引用。

早乙女カナコの場合は
大学進学と同時に友達と二人暮らしを始めた早乙女カナコ。入学式で演劇サークル「チャリングクロス」で脚本家を目指す長津田と出会い、そのまま付き合うことに。就職活動を終え、念願の大手出版社に就職が...

3月14日(金)新宿ピカデリーほか全国公開

(C)2015 柚木麻子/祥伝社 (C)2025「早乙女カナコの場合は」製作委員会

配給:日活/KDDI

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夢、恋愛、生き方、人間関係。“人生の10年間”を描いた映画

ー映画『早乙女カナコの場合は』はどのような作品でしょうか。

中村蒼さん(以下、中村):10年間にわたって人を想い続けるラブストーリーで、物語は学生の時代から始まっていきます。

甘酸っぱさもありつつ、お互いを傷つけ合ってしまう苦い感じもあり、人の心情がすごくリアルに描かれている作品だと思います。

ー中村さんが演じられた吉沢洋一はどのような人物でしたか。

中村:洋一は主人公の早乙女カナコが社会人になった時の、良き先輩として現れてカナコに熱烈なアプローチをするという人物ですが、彼はとにかく優しい人です。

その一方で、僕は「度を過ぎた優しさ」って全然優しくないとも思っているので、ある種の男らしさや決断力がない一面もあると感じていました。実際に洋一本人も「学生時代全然モテなかった」と言っていますが、それはそういうところが要因だったのかなと思います。

ー“とにかく優しい人”を演じ上げた役作りも伺いたいです。

中村:矢崎仁司監督からは「とにかく優しく、もっと優しく」ということを常に言われていたような気がします。

ー矢崎監督とのエピソードなどはありますか。

中村:具体的なお芝居のアドバイスというよりも、「ちょっと違う」とか「もっといいものがあるはずだ」というような感じだったので最初は少し戸惑いもしました。ですが、とても強い信念を持っていらっしゃる監督です。

あまり多くを語る方ではなかったと思いますが、おそらく監督自身の中には「ここはこういう風にやりたい」という確かなゴール地点があるんだろうなと感じていました。

ーこの映画への出演が決まった際のお気持ちを教えてください。

中村:すごく嬉しかったです。会社の上司役や主人公たちよりも一つ上の世代で恋愛をしているような役を演じられる年齢になったんだなというのを、今回の役を通して改めて思いました。

ーこの映画を通して印象的なシーンはどこでしたか。

中村:お墓を通りながら会話しているシーンが印象深いです。

お墓で歩いているところで最初は「亡くなった人たちも愛し合っていた」という話をしていましたが、最後には「亡くなった人にも別れがあったはずだ」というやり取りをするシーンが対照的で、同じ場所で真逆のことを話しているのが印象的でした。

「人間関係に注目してみてほしい」リアルに描かれた心情に共感。

ー今回の映画は色々な人物の人生が描かれていると感じましたが、共演者の方とのエピソードはありますか。

中村:早乙女カナコ役の橋本愛さんと、カナコの上司・慶野亜依子役の臼田あさ美さんとは以前に共演したこともありました。「洋一が優しすぎるんじゃないか」「洋一は何を考えているかもちょっとわかんなくて」みたいなことを話していました。

女性から見ても「すごく優しい」が洋一の第一印象になるみたいです。でも彼は「クリスマスイブには『ダイ・ハード』を見よう」と誘っているシーンもあり、「そこは意外と真ん中を行くんだな」と感じて、彼にはそういう少し面白い要素もあるんだと思いました(笑)。

ーそうなんですね。映画に登場する人物で、共感できたキャラクターはいましたか。

中村:山田杏奈さんが演じられた麻衣子に共感しました。

大学に入ってから、少し無理をしてでも素の自分を隠して周りに合わせようとしていましたが、結局うまくいかず本来の自分に戻るというところに、人間味を感じました。

大学に限らず、日常生活の中で「こういう風になりたい」と憧れる場面は多いと思いますが、僕は元々の自分に正直に生きる人たちの方に共感します。

ー中川大志さんの演じられた長津田啓示さんの印象などを教えてください。

中村:長津田さんは大学で留年を繰り返し、周りに一緒にいた仲間もみんな卒業していって孤立していく感じがありつつも、最終的にはしっかり働いて、やるべきことをやって結果を出しているところがカッコいいと思いました。

ー今回の映画では、カナコと長津田さん以外での人間関係にも焦点が当てられていたように思いました。

中村:そうですね。確かに、お互いに嫉妬したりマウントを取り合ったりするのは男性よりも女性の方に多いイメージがあります。ですが、今回は対立するのではなく、お互いにエールを送り合うカナコ・麻衣子・亜依子の3人の人間関係にも注目して見てほしいです。

ラブストーリーが中心になっていますが、映画内で描かれている女性同士の関係性なども見どころだと思います。

ーこの映画の魅力や注目ポイントについて教えてください。

中村:大人になった方たちは「学生時代に憧れの先輩がいた」とか、思い出しながら共感できるシーンが多いと思います。

10年間のラブストーリーですが、その10年間で人が成長していく姿や、逆に10年前の自分を思い出して恥ずかしくなったりとか、人の心情がリアルに描かれていることも魅力です。

大学を卒業して就職したカナコや就職してしばらく経っている洋一、五年計画を立てるがうまくいかない亜依子、それぞれの人物がそれぞれの世代で等身大に描かれているので、年代問わず多くの方に見てもらえたら嬉しいです。

俳優・中村蒼の10年後「とにかく今のお仕事を続けていきたい」

ーここで少しプライベートのことも伺いたいです。最近なにかハマっていることはありますか。

中村:家で植物を育てています。朝一日一回、ベランダに出て水を上げているというだけでも「よし、今日も一日」という新鮮な気持ちになります。

前日の疲れをそのタイミングで一気に切り離して、また新たに一日を頑張ろうという気持ちになれる瞬間なんです。

ー何の植物を育てているんですか?

中村:食べられる植物ではなく、普通の植物です。でもひとつだけ苺があって、それは時期が来ると実もできます。

ー最後に、今回の映画が10年間の物語ということに関係しまして、中村さんの今後10年間の展望を教えてください。

中村:10年後…。想像がつきませんが、とにかく今のお仕事を続けていきたいです。

それと同時に、僕はお仕事以外で何かに没頭する性格ではないので、俳優のお仕事と同じくらい好きなものを見つけられたらいいなという気持ちもありますが、人としてもっと豊かになって10年後を迎えたいと思います。

中村蒼(なかむらあおい)プロフィール

1991年生まれ、福岡県出身。

2007年、『恋空』でスクリーンデビュー。翌年、『ひゃくはち』では映画初主演を務めている。主な出演作品には、『東京難民』、『空飛ぶタイヤ』、『もみの家』、『沈黙の艦隊』、『アイミタガイ』、『室町無頼』がある。9月26日(金)には『沈黙の艦隊 北極海大海戦』が公開予定。

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撮影:髙橋耀太

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