映画『恋愛終婚』W主演、秋月三佳・濱正悟対談。“結婚に恋愛は必要?”2人が出した答えは

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結婚に悩み、苦闘する個性豊かなキャラクターが織りなす婚活ラブコメディー『恋愛終婚(レンアイオワコン)』。岡元雄作監督が実際の婚活で経験したリアルな教訓も盛り込んだこの映画は、20~30代女性中心に圧倒的な支持を集めています。今回は、主役を演じた秋月三佳さんと濱正悟さんのおふたりに、撮影の裏話や結婚に対する思いについてお話を伺いました。

映画『恋愛終婚(レンアイオワコン)』作品紹介

三十路手前で焦って婚活する遥は、婚活パーティーで同僚の一輝とばったり会う。プロフィールを偽り遊び目的で参加していた嘘つきの一輝は、結婚できない理由は恋愛を元にしているからだとバカにする。失敗続きの遥は、一輝の言う通りに恋愛を捨てて婚活に挑むことになるが…。

パパ活で家を買おうとする美月や、ママの為に婚活をする武志、女心が全く分からないクソまじめな悠人、恋愛上手な女子高生の乃愛、結婚式を挙げたい広海と挙げたくない匠の同性カップルなど、恋愛を捨てて幸せを掴もうとする8人が、皮肉にも恋愛には向いていない相手に恋をしてしまう。

果たして、恋愛せずに結婚して幸せになれるのかー。同性愛の結婚や、友情結婚、歳の差婚など様々な愛の形を描いた恋愛コメディ群像劇。

10月18日(金)「イオンシネマみなとみらい」他全国のイオンシネマにて公開

映画『恋愛終婚』公式サイトより引用 

恋愛終婚
三十路手前で焦って婚活をする遥(秋月三佳)が嘘つきで遊び人の同僚の一輝(濱正悟)に「結婚したければ恋愛するな。恋愛なんてオワコン(終わったコンテンツ)だ。」と言...

同い年ならではの安心感。「話しが弾んで、すぐに打ち解けて撮影に入れた」

―「結婚に恋愛は必要か?」をテーマにした映画『恋愛終婚』。いろいろな恋愛や結婚の形が描き出されていますが、どのカップルも結婚までの道のりが山あり谷あり(笑)。最後までドキドキしっぱなしでした。2021年に撮影が終わって、ようやく公開ですね。

秋月三佳さん(以下、秋月):いよいよ見てもらえるんだなって感じです。いい作品に仕上がったので、なおのこと、「やっと公開だ」という気持ちが大きいです。

濱正悟さん(以下、濱):クラウドファンディングでも支えていただいた映画なので、公開が決まってやっぱり嬉しいですね。

―映画のオファーを受けたときの気持ちは覚えていらっしゃいますか。

秋月:とにかく、遥のキャラクターが可愛らしくて、脚本を読んで勇気をもらえました。自分と遥は価値観が違うんですが、遥を応援する気持ちで演じたいなと思ってオファーをお受けしました。

恋愛コメディーはすごく好きな映画のジャンルで、今までたくさん見ているんです。私にラブコメ映画の主役が務まるかなと緊張はしつつも、憧れの方が大きかったので、楽しんで毎日演じることができました。

濱:僕もオファーを受けたときには、「僕でいいんですか」と嬉しい気持ちでした。今回、主演ですし、それこそ身を引き締めなければと思いました。

―濱さんが演じられたのは、遥に婚活を指南する一輝の役。長いセリフが多いのに、「よどみなく勢いをつけて言い切れちゃう濱さん、すごい!」と思いました。

濱:とにかく理詰めで遥に言い聞かせる役なので、早口のほうが一輝っぽいのかな、と思ってやっていました。完成した作品を見せていただいたんですけれど、「よく俺できたな、良く言えてるな」と思いました (笑)。

―映画の中では先輩・後輩という関係性ですが、実は秋月さんと濱さんは同い年とか。

濱:同年齢ということで、変に気を遣わずにやれたのはすごくよかったです。

世代的に、聞いていた音楽や見ていたドラマも同じだから、話していても盛り上がれて楽でした。

同僚として何年か一緒に働いているという前提で物語がスタートするので、打ち解けた感じから入れたのはよかったと思います。

秋月:映画の撮影のときは私も濱さんも27歳だったんです。私自身、結婚適齢期で結婚をテーマにした作品に出られたのも、同じ年齢の濱さんと作品を作れたのも、すごく運がいいなって思いました。

濱:確かに!

―お互いの第一印象って覚えていますか?

濱:秋月さんに初めてお会いしたのは台本の読み合わせのときだったかな。とにかく話しやすくて、秋月さんのイメージは、その時から今も全然変わりませんね。

秋月:きっと濱さん、周りの人にも褒められていると思いますけど、とにかく声が素敵ですよね(笑)。濱さんの声を聞くだけで、しっかりサポートされているような安心感があるんですよ。初めてお会いした時も「相手役が濱さんなら安心」っていう気持ちだった気がします。

濱:それはよかったです(笑)。

撮影が進む中、女子力を上げる秋月に濱は…?

―役作りはどのようにされていたんでしょう。

濱:会話劇が多かったので、終始セリフに追われていたような感じがしますね。僕の演じた一輝は、内面的には今ひとつな部分もあるんですが、表面的にはかっこつけているので、スタイリッシュさがある程度あったほうがいいのかなと思って。

遥が「どうしたら結婚できますか」と迫りたくなるくらい、一輝の言葉に説得力があったほうがいいかと思っていたんですが、実際に役作りとなると、脚本を読んで、読んで、読んで、落とし込みまくるしかなかったですね。

あとは、言葉なしの表情だけで表現する場面。解釈を見ている方の想像力にゆだねることになるので、どう演じれば一輝の心情が伝わるかも結構考えました。

秋月:遥は、一輝の婚活レクチャーを受けて、どんどん「結婚」という目標に向かって、女性としての魅力を磨いていきます。映画の中では、衣装もメイクも、遥の精神的な成長に従ってどんどん垢ぬけて変わっていくんです。

そんな遥に影響されてか、私自身、撮影が進むにつれて、朝起きて鏡を見て「痩せなきゃダメかな」「メイクはこうしたほうがいいかな」なんて考えるようになっていってましたね(笑)。

―私も、話が進むにつれて遥がどんどん可愛くなっていくなと思っていました。

濱: 日々撮影を経ていろいろな共演者とお芝居で会話しながら、相手のことを深く知ったり、感じたりしていくわけです。物語の後半になると、みんなの表情が最初と全然違ったものになるのは当然なんですが、その中で秋月さんが一番変わったんじゃないですか。

秋月:「愛は人を変える」んでしょうね。

濱:はい!名言きました(笑)。

―ちなみに、お2人が好きなシーンは。

濱:いっぱいあるなあ…。

会社の先輩が退社するシーンや、夕日の中、遥と一輝が手をつなぐシーン。

カメラを長回しでワンカットで撮影するシーンがいくつかあるんですよ。なんとか成功させたい中、いろいろな人の動きがうまくいって、表情もきちんと撮れて、セリフも完璧。すべてがうまくいったシーンは、本当にしびれました。

秋月:私は後半で、一輝のお兄さんの挙式会場の廊下で遥と一輝が自分の気持ちを言い合うシーンが一番好きですね。一輝のレクチャーで婚活をしてきたけれど、結局それはどうだったのか、一輝に自分の思いをぶつけるシーン。撮影できる時間が短かったので、集中して撮影に臨んだのがすごく印象に残っています。

濱:確かにね。あそこはすごい“ナマ感”があった。

「愛にも結婚にも、きっといろんなパターンがあっていい」

―今回の撮影で、結婚に対する考え方は変わりましたか。

濱:一輝だけじゃなくて誰もが、“価値観”にとらわれている部分があると思うんですが、結局結婚する相手を選ぶ際は、理性じゃなくて、感情が優先されるのかなと。相手に影響されて、自分の価値観も変化していきますし。

例えば、出会ってから結婚までの時間が長いか短いかを気にしている人もいると思うし、マッチングアプリで出会って相手のことをあまり知らないとか、周りの理解がないとか…。

誰しも自分の恋愛に「これでいいのか」という不安を感じることがあると思うんですが、実はあまり考えすぎないほうがいいんじゃないかと。

愛だったり、愛じゃなかったり、“愛のようなもの”だったり…。いろんなパターンがあっていいし、僕もそういうものを尊重していきたいなと思いました。

あと、一輝は兄と関係がうまくいっていないのですが、お互いに会話しないから分かりあえていないだけなんですよね。近い関係性の相手とは、対話を多く重ねていくべきだなと思いました。

秋月:私も、相手の話をきちんと聞くのは結構大事だなと思います。

私が遥を尊敬している部分は、本当に恋愛に前向きなところ。そして遥は、一輝の辛口なアドバイスを素直に受け止める。イラつきつつも、一方で自分の女性としての人生がプラスになるのを実感していくんです。

私自身は、落ち込んでいる時に誰かが優しい言葉をかけてくれると、すぐに「この人いいな」と思ってしまいがちなので、一時の気持ちに流されず、どんな意見もちゃんと受け止める遥の生き方は見習いたいなと思いました。

―映画では、遥と一輝に次から次へといろいろな問題が持ち上がりますよね。でも、どうにかして2人は乗り越えていくという。

濱:リアルの厳しさに立ち向かっていこうとする希望ですよね。何らかの障害があったとしても、結婚するにはどうにかしないといけないですもんね。

秋月:今の時代、結婚出来るカップルって、実は珍しいんじゃないかとも思うんですよね。

だって、結婚するって相当な覚悟が必要。だから、結婚しなくてもいいという人が増えているわけで。

ベストパートナーを見つけるのはかなり難しいことなんですよ。片方は「子どもはいらない」、もう片方は「え、子どもいらないんだ、私は欲しかったけど」。そんなケースもあるし、話し合いが絶対に必要になってきますよね。

例えば家族の問題は、結婚するとなると絶対に避けて通れない部分。「家族は関係ない。結婚は私たち2人の問題」って、思えるときと思えないときがあると思うので、そういう問題をどうにかクリアできるカップルはラッキーなのかもしれません。

今の時代は、仕事を優先したい人、家族を優先にしたい人…本当にいろんな価値観があるから、結ばれるだけでハッピーなんだと思う。

“相手を愛してさえいれば、うまくいくのかも”という希望がある映画

―さて。今年も残すところあと数か月です。お2人にとっての2024年はいかがでしたか?

秋月:今年は平和な1年でしたね。

濱:いつもは平和じゃないんですか(笑)?

秋月:毎年平和です(笑)。でも、今年は自分の中で、より平和を強めた1年になりました。このあとの数か月も、もっと平和にしたいです。濱さんは?

濱:平和でしたね(笑)。

春にスケジュールが落ち着いたので、自分一人でずっと考えたり、久々に友達と会う時間があったりして、いろいろ見つめ直せた。結構よかったな…って。

30歳という節目の年で、自分の中で何かが変わるのかなとか、環境が変わるのかなとか思ったんですが、実際何も変わらなかった。それこそ平和で今まで通りな感じ。

節目があるとすれば、それが来るべき時に来るべくして来るだろうから、今まで通り、やっぱり自分はありのままの自分でいようと…、2,3周回って、そういうところに落ち着いた2024年でしたね。

―ありがとうございます。お2人それぞれ、これからやってみたい役などがあったら教えてください。

秋月:私は、お医者さんと弁護士が自分に合う役なんじゃないかなと思っていて、年齢を重ねてからでもやりたいですね。離婚弁護士の役とか、やってみたいです。

濱:秋月さんは善なオーラが出ているから、逆にその雰囲気で悪な役とかだったら面白そうだなと思います。

僕は、比較的ダークな作品、悪役が好きなんで、それを極めたいですかね。

人間、生きている中で”悪の部分“ってあまり出す機会がないじゃないですか。誰もが、自分の中の破天荒さは押し殺して、「ホントはこう思ってるけど、言わないでおこう」っていうのはあると思うんですが、役者はそれを堂々と出せる。

でも、好感度は上げていきたいですけどね(笑)。

―濱さんの悪役、定評がありますよね(笑)。最後にお2人から、映画『恋愛終婚』の見どころをぜひ教えてください。

秋月:映画には、個性的なキャラクターがたくさん出てきます。最初はみんなダメダメだったり、ふさぎ込んでいたり、どうしたらいいかわからないと恋愛を諦めている人もいて…。でも、結局結婚は、相手ありきでなんとかなるんだという勇気がもらえる映画だと思うんですよね。

監督の婚活の実体験がベースにあるのも、説得力がある理由のひとつ。

結婚って人生の大きな節目ですが、“相手を愛してさえいれば、うまくいくのかも”という希望がある映画かなと思います。

濱:登場人物がみんな不器用で、自分の気持ちをうまく表現できない、素直になれない人が多いので、きっと共感できる部分も多いんじゃないかなと思います。ラブコメなので会話劇を楽しんでほしいですし、この群像劇の登場人物が絶妙に絡み合いながら集結する場面もあるので、楽しんで見ていただきたいです。

秋月三佳(あきづき みか)プロフィール

1994年生まれ、東京都出身。2010年俳優デビュー。

多くの映画やドラマで活躍する一方、近年では短編映画『熱海モンスター』(21)で主演・脚本・監督を務めた。

主な出演作は、映画『青の帰り道』、『漫画誕生』、『遠くを見てみた』、『さよならグッド・バイ』、『エスパーX探偵社 〜さよならのさがしもの〜』、ドラマ『それでも結婚したいと、 ヤツらが言った。』(テレビ東京系)、『愛してるって、言いたい』(FOD)など。ヒロインで出演する映画『SEVEN YAKUZA』(畠山勇樹監督)が来年公開予定。

●秋月三佳 Instagram @mikatime_____

濱正悟(はま しょうご)プロフィール

1994年8月22日生まれ、東京都出身。

2015年ドラマ『下町ロケット』で俳優デビュー。NHKよるドラ『恋せぬふたり』カズくん役、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、『何かおかしい』(テレビ東京系)、連続テレビ小説『舞いあがれ!』などに出演。9/17放送スタートのドラマ『毒恋~毒もすぎれば恋となる~』(TBS)にW主演で出演中。

●濱正悟 X @unpre_

●濱正悟Instagram @hamastagram822

●映画『恋愛終婚』公式X @renaiowakon

●映画『恋愛終婚』公式Instagram @renaiowakon

映画『恋愛終婚』公式サイト

濱正悟さん:
ヘアメイク/佐々木麻里子
スタイリスト/徳永貴士(SOT) 

秋月三佳さん:
ヘアメイク/白銀一太
スタイリスト/末吉久美子

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