ドラマ『素晴らしき哉、先生!』に出演する矢吹奈子。オーディションで射止めたギャルっぽい女子高生役。人見知りを返上して“萌子らしさ”を追求する日々

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人間味あふれる2年目教師の奮闘を描く新ドラマ『素晴らしき哉、先生!』が8月からスタートします。生田絵梨花さん演じる2年目教師を待ち構えるのは、37人の生徒役。

1300人もの応募者の中からオーディションで選ばれたひとりが矢吹奈子さんです。見た目はギャルっぽいのに、芯は強くてはっきりとものを言う吉良萌子役を演じることになった矢吹さんに、萌子の役作りや撮影現場でのエピソードなどを伺いました。

ドラマ『素晴らしき哉(かな)、先生!』作品紹介

『素晴らしき哉(かな)、先生!』(ABCテレビ・テレビ朝日系)・8/18スタート・日曜22時)

笹岡りお(生田絵梨花)は、夢と希望を胸に教育現場に飛び込んだZ世代の高校教師。しかし、その過酷さは想像を絶し、2年目にして退職を考えるほどストレスフルな毎日を送っている。

「自由」を拡大解釈し奔放に振る舞う生徒たち、学校に過度な期待を寄せる保護者や近隣住民、トラブル処理を若手に押し付けてくる年配教師…。

りおはそんな毎日の愚痴をSNSの裏アカウントに吐き出したり、優しい彼氏に聞いてもらったり、「先生だって人間だ!」と適度に発散しながら持ち前の元気と明るさでどうにかバランスを保っている。

しかし、その我慢もとうとう限界に到達。退職を決意するが、同じタイミングでクラス担任に急きょ欠員が発生し、穴埋めのお鉢が、なぜかりおに回ってきてしまう。初めての担任で3年生を任されることとなったりおの教師生活は、さらなる茨の道に突入!はたしてりおの運命は…。

ドラマ『素晴らしき哉、先生!』公式サイトより引用 

素晴らしき哉、先生!
笹岡りお(生田絵梨花)は、夢と希望を胸に教育現場に飛び込んだZ世代の高校教師。しかし、その過酷さは想像を絶し、2年目にして退職を考えるほどストレスフルな毎日を送...

オーディションで射止めた萌子役は、見た目はギャルっぽいけど正義感あふれた子

―今回の女子高生役は、オファーではなくオーディションで決まったそうですね。ドラマで主人公を演じられることもある矢吹さんでさえ、オーディションで選ばれたんだとびっくりしました。

矢吹奈子さん(以下、矢吹):実はそうなんです。

女子生徒4役をすべて覚えて、どの役を指示されても演じ分けられるようにしてオーディションに臨みました。結果的には4人すべてを演じることになるわけなのですが…(笑)。

女子生徒1人1人の役の設定は簡単に教えていただいていたので、頭の中でそれぞれのしゃべり方やキャラクターを勝手に想像してイメージを膨らませて。どの役に決まってもいいように、しっかり準備しておいたのがよかったかもしれません。

受かって嬉しかったのと同時に、自分のいただいた役がギャルっぽい生徒だと聞かされて、ちょっと意外でした(笑)。

―演じることになった萌子はどんな生徒なんでしょうか。

矢吹:私の演じる“萌子”は、見た目やしゃべり方はギャルっぽい子。でも、ちゃんと自分の考えを持っているし、いつも正論を言うし、仲間思いなところがある子だなと感じているので、「ギャルさの中にも芯がある感じ」を表現できたらいいなと思いながら演じています。

萌子のいるクラスは全員仲良しで、萌子も1軍というより1.5軍くらいな立ち位置の生徒。普段はみんなと仲がいいけど、ひとたび萌子が仕切りだしたらみんなが言うことを聞く、みたいな感じですね。

萌子は、昭和平成のギャルというより「マジ?」「ガチで?」を多用するような今どきの女の子なので、彼女らしさをどう出せるか研究中です。

―萌子のためにギャルっぽさの研究をするって面白いですね(笑)。

矢吹:私の妹が割と「ガチで?」みたいな言葉を使うんですよ。

「なるほど、こういうときにそう使うんだ」と思って、ちょっと妹に寄せて話すようにしていたんですが、教室でみんながそんな言葉を使うことに気づいてからは、みんなの言い方を研究して真似してみたり。

今は結構自然に「マジで?」「ガチで?」が使えるようになってきています。私っぽくないな、と思いながら、勝手に口から出ちゃってますね(笑)。

―萌子と矢吹さん、似ている部分はありますか?

矢吹:萌子と私が似ているなと思うのは、「正しいことは正しいとはっきり言いたくなる」ところです。

文化祭のシーンで、出し物を何にするか決めようとクラスで話し合うとき、みんな押し黙っている中、ひとりの生徒がある意見を出すんです。

でもみんな、それを聞いてブーブー文句を言う。その時に萌子が「意見を出したやつに文句言うな!」って叫ぶというシーンがあって。私も萌子と同じ気持ちでした!

人の意見は、自分がやりたくないことだったかもしれないけれど、じゃあ自分だって意見を言えばいいじゃん。自分だってやりたいことを主張すればいいじゃん…。萌子の気持ちにすごく共感できたので、そこは自然と「萌子っぽく」演じられた気がします。

でも、私は実際に萌子みたいにズバズバ言えるタイプではないし、人見知りでもあるので、そこは役と私が違う部分かもしれません。

撮影現場はリアルな学校みたい。ゆっくり過ごせなかった学生時代を追体験している感じ

―矢吹さんは今までも女子高生を演じることが多かったと思うのですが、今回の萌子役に関しては、どのように役作りをされているんでしょう。

矢吹:ギャルチームは私を含めて4人いるので、顔合わせの後にみんなに時間を作って集まってもらって、まずお互いの名前の呼び方を決めて、距離感を縮めました。

いつもの自分の地でいっちゃうと、めっちゃ人見知りが出てしまうので、撮影中もそうでないときも、萌子を見習って普段からいろいろな人に頑張って話しかけるように努力しています。

―矢吹さんが人見知りだなんて意外です(笑)。

矢吹:そう言われることが多いんですが、実は結構緊張して自分からは話しかけられないタイプなんですよ(笑)。

―インスタではキャストの皆さん、すごく仲良さそうだなと感じました。撮影現場はどんな感じなんでしょう。

矢吹:まさに本当の学校みたいです。私は学生時代もアイドル活動で忙しかったので、めちゃくちゃ青春というものを味わっていなかったんですが、ここで学生らしさを追体験させてもらっている気がします。

宅間監督はリアリティを追求する方で、撮影中にも「実際のところ、今の時代の学生生活ってどんな感じなの?」と聞かれることもしばしば。

「現代の学生は、ノートにメモなんてする?」って聞かれて「スマホにメモするかな」と答えると、その瞬間に小道具の筆記用具をスマホに変更する、みたいなことがよくあります。

撮影現場はアドリブも大歓迎という雰囲気で、「台本のセリフを順番に読むんじゃなくて、自分のフィーリングで言っちゃっていいよ。前の人のセリフも待たなくていいよ」って指示されたほど。

自分のセリフの順番じゃないのに、思わずそのときの感情に任せて話し始めちゃったり、セリフがない子も気にせずガヤを入れてきたりするので、お芝居している感覚が少しずつなくなっていく、不思議な感覚(笑)。

ほんと、今までに経験したことのない感じです。

―それは新鮮かも!しかもクラスメイトはオーディションを勝ち抜いた実力者ばかりですもんね(笑)。

矢吹:そう。家で台本を読んでいるとき、なんとなくイメージで他の子のセリフも読むじゃないですか。

でも撮影現場に行ってみると、その人が自分の想像していたお芝居とは違う言い方をしたり、動作表現を加えていたりして、こういう表現の仕方があるんだと気付かされることもあって。

私自身は、今まであまり演技のレッスンを受けてこなかったので、数人で一緒に受けるオーディション自体すごく楽しめたんですが、撮影現場に入ったら30人以上の同世代の子がいる。みんなの演技を見ているとすごく勉強になるし、本当にいい刺激をもらってます。

―先生役を演じられている生田さんの印象も聞かせてください。

矢吹:生田さんは、もともとアイドルとしての先輩。撮影が始まっても、いつもニコニコしている優しい印象は全然変わりません。

そうそう、教室での撮影で、こんなことも。

教室のシーン、実はすごく暑い中で撮影をしているんです。カメラを回しているときに異音が入ってはいけないので、エアコンはつけられない。なのに窓から光は入ってくるから、それはもう暑くて大変で。

そんなとき、待機している私たち生徒に、生田さんが「暑いでしょ」って言って、熱中症対策のラムネを配ってくれたんです。

「あ~、生徒を思いやってラムネを配布してくれるなんて、生田さん、めっちゃ先生だ!」なんて感じてしまいました(笑)。

落ち込んだときには、とことんまで沈みきってから、涙で全部洗い流してます

―矢吹さんは、“いつも笑顔で明るい人”というイメージなんですが、ドラマ撮影だけではなく、本当にお忙しい日々ですよね。多忙でも笑顔でいられる秘訣って何かありますか。

矢吹:笑顔の秘訣?なんだろう…(笑)。いつも笑顔でいようと意識しているわけではないんですけど…。

嫌なことがあったときは、とことんまで落ち込みきって消化するようにしていますね。

小さいことなら寝て忘れればいいと思うんですけど、ときにはまあまあ深く落ち込むときもあります。そんなときにしているのは“涙活(るいかつ)”ですね!

―涙活、ですか?

矢吹:泣けるドラマや映画の泣ける作品を探して、見ながらひたすら泣くと、落ち込んでいた気持ちも涙と一緒にすべて流れていってスッキリするんです。

涙活のおすすめは、韓国ドラマの『7番房の奇跡』。これ、本当に泣ける作品なので、ぜひ一度見てみてください。

―矢吹さんでも落ち込むことがあるなんて、ちょっと親近感がわきました。

矢吹:落ち込むこと、普通にありますよ(笑)。でも私は、落ち込むのは自分の部屋の中だけにしようと決めていて。

自分の辛いことを誰かに話したら、その人も辛くなって、苦しみが2倍になっちゃうっていう風に私は考えちゃうんです。

今、家族と一緒に住んでいるんですが、落ち込むことがあったとしても、辛い気持ちはできるだけ自分の部屋で消化して、リビングでは家族と明るく過ごすように心がけています。

―ちょっとしたこだわりと心遣い、すごく素敵ですね。ちなみに連続ドラマの撮影は忙しくて大変だと思いますが、どうやってリラックスしていますか。

矢吹:えー、なんだろうな。私のリラックス法は、音楽を聴くことだと思います。

撮影の休憩時間には誰かと話していることが多いんですが、例えば現場への移動中とか、一人のときは基本的にずっと音楽を聴いています。聴くのは比較的明るめの曲が多いかもしれないです。

音楽って不思議。聴くとテンションが変わるし、昔好きだった曲を聴くと、その曲を聴いていたときの記憶が一気に蘇ってくる。

だから、以前出演した作品で悲しいシーンを撮影する前には、辛いときに聞いていた曲を引っ張り出して聴いて、悲しい気持ちになるよう自分を切り替えたりもしていました。

―アイドルを卒業され、女優としての活動が本格化している矢吹さんですが、女優という仕事の楽しさを教えてください。

矢吹:自分じゃない人生を演じられるのが、女優という仕事の面白いところだと思っています。「自分だったらこんなこと言えない」「自分だったらこんな風に誰かに怒りをぶつけられない」ということも、役に入れば難なくできてしまう。

今も、自分とギャップがある萌子という人物を演じているのがすごく楽しいです。

―今後、矢吹さんが挑戦してみたい役はありますか。

矢吹:今まで結構明るくて陽気なキャラクターが来ることが多いので、いつかそれとは正反対の、暗めの役をやってみたい願望はありますね。

内向的なタイプを演じる自分は想像できないですが、自分と違うからこそ、いつか演じてみたいキャラクターです。

あとは、韓国で活動していたこともあるので、韓国のドラマに出てみたい気持ちもすごくあります。韓国語は日常会話ができる程度なので、韓国人の役をこなすのは難しいかなとも思うんですが、日本人留学生役とかがあれば、ぜひ出てみたいな。

最近結構、日本のドラマに韓国の俳優さんが出られたり、その逆もあったりするので、いつか韓国の作品に出演できたら嬉しいです。

―最後にぜひ、ドラマを楽しみにされている方にメッセージをお願いします。

矢吹:今回のドラマには、先生の大変さが描かれているので、きっと先生をしている方の心に刺さるだろうなと感じています。

いつも頑張っている先生だって、ときには学校を辞めたくなるときがあるし、心の中に悩みを抱えてる。きっと先生だけじゃなくて、どんな職業の人にもいえることかもしれません。

『素晴らしき哉、先生!』は、まさに辛い気持ちに「わかるよ」と寄り添うような、みんなの心の支えになるドラマになっています。

夏休み後半から放送がスタートするので、このドラマを見てくださる学生の皆さんにとっても、休み明けの学校生活がもっと楽しみになってくれたらいいなと願っています。

矢吹奈子(やぶき なこ)プロフィール

2001年6月18日生まれ、東京都出身。2013年8月、HKT48第3期生オーディションに合格し、翌年4月よりチームHとして活動を開始。2018年に韓国で開催されたオーディション番組『PRODUCE48』に参加し、「IZ*ONE」のメンバーに選ばれデビュー。専任活動を開始。2021年4月に、2年6か月の活動期間を終了。その後HKT48として2年5か月ぶりに活動再開。俳優業を本格的にスタートし、連続ドラマにも多数出演。2023年4月に行われた卒業コンサートでHKT48を卒業。現在は俳優業を中心にバラエティ番組等でも活躍中。ドラマ『恋愛のすゝめ』(TBS系)、『18歳、新妻、不倫します。』(ABCテレビ)、『癒やしのお隣さんには秘密がある』(日本テレビ)ほか出演多数。

●X 矢吹奈子 @nako_yabuki_75
●Instagram @75_yabuki
●TikTok @nako_75_

ドラマ『素晴らしき哉、先生!』公式サイト
●ドラマ『素晴らしき哉、先生!』公式X @subakana_sensei
●ドラマ『素晴らしき哉、先生!』公式Instagram @subakana_sensei

取材・文:小澤彩

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