入船亭扇辰「三方一両損」～第66回扇辰・喬太郎の会　国立演芸場　2015年

左官の金太郎が3両入った財布を拾う。書きつけに大工の吉五郎の名があり、長屋まで届けに出向いた。ところが吉五郎は、一度落とした金だからもう自分のものじゃないと突っ返してくる。受け取れ受け取れないと揉みあいになり、ついには奉行所で裁く羽目に…。

「三方一両損」は、ベテラン落語家・入船亭扇辰が演じる大岡政談の一つで、威勢の良さが際立つ作品です。物語は、大金の落とし主と拾い主、そしてそれぞれの家主が絡む一悶着を、勢いよく描いています。啖呵の応酬が気持ち良く、大岡越前の仲裁による落としどころやその後のオチも楽しいポイントとなっています。扇辰の熟練の技が光る、見ごたえのある作品です。