劇場アニメ『パリに咲くエトワール』で声優初挑戦となった嵐莉菜さんにインタビューしました。
初めての「声」のお芝居に向き合った映画の裏話や共演者とのエピソードを伺いました。
劇場アニメ『パリに咲くエトワール』は 3月13日(金)公開です。
劇場アニメ『パリに咲くエトワール』作品紹介
20世紀初頭のパリ。
そこに日本からやってきたふたりの少女が暮らしていた。
一人は、夫を支えるよき妻となる将来を望まれながらも、画家を夢見るフジコ。
もう一人は、武家の家系に生まれ、ナギナタの名手ながらバレエに心惹かれる千鶴。
ある日、トラブルに巻き込まれたフジコを千鶴が偶然助けるが、それは幼い日に横浜で出会ったことがあるふたりの、運命的な再会だった。
千鶴の夢を知ったフジコは、同じアパルトマンに住む青年ルスランの母オルガが、ロシア出身の元バレリーナであることを知り、レッスンを依頼する。
東洋人であることで様々な壁にぶつかりながらも、ふたりは夢に向けて歩き出すが、ある日フジコの保護者である叔父さんが、失踪してしまう。
フジコと千鶴、ふたりはそれぞれの夢を掴むことができるのだろうか
劇場アニメ『パリに咲くエトワール』公式サイトより引用。
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声優初挑戦の鍵は、幼少期の「バレエ」の経験

ー嵐さんの声優初挑戦となった劇場アニメ『パリに咲くエトワール』。最初に台本を読んだ時の感想はどうでしたか。
嵐莉菜さん(以下、嵐):台本を読んだ時に、ドラマの台本とは違い、キャラクターの心情やその時の状況が細かく書かれていることに驚きました。
いただいた絵コンテ(絵に文字で説明を加えた資料)を見ながら台本を読むというのも新鮮で面白かったです。
「千鶴とフジコの2人がどうやって夢へと突き進むのか」とか、2人の友情がすごく素敵なストーリーで、早く演じてみたいなと思いました。
ー友情と夢に焦点が当たっている作品ですね。この映画のどんなところに魅力を感じましたか。
嵐:私の演じた千鶴も、當真あみちゃんが演じられたフジコも、2人とも自分の夢を叶えるために異国のパリに来ているから強い覚悟を持っています。
その2人のやり取りとか、2人を囲む周りの登場人物も素敵で魅力的に描かれているから、映画を見たらどのキャラクターも好きになってもらえると思います。
ストーリーも本当に素晴らしいから、キャラクターとストーリー性の両方に魅力を感じました!
ー千鶴との共通点や共感したところはありますか。
嵐:私も幼少期にバレエをやっていたというところは共通点です。しかも私が習っていたのも千鶴と同じロシアバレエで、そこにもシンパシーを感じました。
バレエって本当にたくさん練習しないと全く上達できないもので、実際に私も経験していたから、バレエの厳しさはよく分かっていました。
映画で描かれているシーン以外でも、きっと千鶴はすごく練習していたんだなって思いましたし、バレエの経験があったからこそ演じやすい部分はありました。
ーバレエの経験を役に投影できたのですね。
嵐:できました。私はバレエの先生が怖くてやめてしまったんですけど(笑)、それも千鶴に最初にバレエを教えてくれたオルガ先生との関係性を意識する上で役に立ったと思います。
初めて先生と話す時の緊張して固まっている感じとか、師匠から指導してもらう時の緊張感や焦り、一生懸命で力強い感じは自分の経験を思い出しながら演じました。
あの時の苦い経験が今に生かせたから、バレエをやめなきゃよかったなって思います(笑)。
インタビュー映像がきっかけでオーディションへ。「緊張で全身がガクガクだった」

ー普段出演されているようなドラマ作品との違いはありましたか。
嵐:普段のドラマなどのお芝居だったら表情や体の動きで表現を変えられるんですけど、声優は声しか表現する方法がないからすごく苦戦しました。
語尾が薄れないよう滑舌を良くするとか、今まで意識していなかったところに注目できたので、今回の経験を通して新たなお芝居の形とまではいかなくても、「学び」がたくさんありました。
ー今後のお芝居に生かせるような学びがあったのですね。
嵐:これからも役立つなと思う部分はたくさんあります。
特に、お芝居のモノローグ。もともとドラマの心の声みたいなものにちょっと苦手意識があって…。
声だけのお芝居はあまり得意じゃないなって思っていたんですけど、この作品を経験してから少し自信が持てるようになりました。
あれだけ発音に意識を向けたことは今までになかったので、確実に今後につながっていくと思います。
ー声優は未経験のなか、今回のお仕事が決まった経緯について教えてください。
嵐:この作品のオーディションのお話をいただいた時に、ナレーションのお仕事とかもしたことがなかったから、最初は「なんで私?」って驚きました。
でも谷口悟朗監督が、インタビュー映像を見てくださっていて。
それがきっかけでオーディションを受けましたが、そもそもそれ自体が私にとっては本当に予想外なことで(笑)。
「これを逃したらこんな機会二度とない」と直感的に感じましたし、声のお仕事に憧れがあったから絶対この役を演じたいと思って、YouTubeで滑舌が良くなる動画とかを見て練習しました。
ーレッスンを受けるとかではなく、YouTubeなんですか!
嵐:そうなんです。だからほとんど独学でした。
だからこそ自分の中でたくさん練習を重ねましたし、オーディションでその時の100点を出せるようやり切りました。
でも声優のオーディションは初めてだったから、こんなに震えたの初めてってくらい緊張で全身がガクガクだったのは今でも覚えています(笑)。
オーディションの台本を持つ手の震えも止まらなかったから、声に震えが伝わってしまってるんじゃないかって不安だったんですけど、後から聞いたらあまり気付かれなかったみたいで。
それくらいオーディションで全力を出せていたのも嬉しかったです。

ーオーディションを経て役を勝ち取り、出演が決まった時のお気持ちを教えてください。
嵐:「本当ですか!」って飛び跳ねるくらいうれしかったです!
結果が分かる日の朝に、マネージャーさんはもう結果を知っていたんですけど、私のその日のお仕事が終わるまで伝えないで待っていたんです。
私は「受かったかな、どうなんだろう」ってずっとソワソワしていたんですけど、なんとなくマネージャーさんから良い雰囲気が出ていて(笑)。
「悪いお知らせじゃないかも」ってなんとなく結果は察していたけど、ちゃんと聞くと嬉しさがこみ上げてきました。
初めてで何も分からずに挑戦したことだったから、選んでいただけたことや「千鶴をやりたい」という思いが叶ったことが本当にうれしかったです!
でもやっぱり、オーディションは大変だったし緊張しました(笑)。
ー実際に収録が始まって、谷口監督と話し合ったことや現場でのエピソードはありますか。
嵐:実際に声を撮る前に監督がいらっしゃって、薙刀の歴史やバレエについてたくさんお話をしていただいたことがありました。
その時の「武術とバレエは真逆で、武術は動きを隠しながら“小さめで大胆に”だけど、バレエは自分の体で全力で表現するから、どっちかが上手くなるとどっちかが下手になる」という言葉がすごく印象的でした。
「片方が上手くなると、もう片方は下手になる」という葛藤は作品の中にも入っているから、撮影中ずっと頭の中に残っていた言葉でした。

ー千鶴を演じるうえで、特に意識したことやお芝居が難しかったポイントはありますか。
嵐:千鶴の性格はもの静かで、あまり自分の気持ちを外に出さないような人物です。
でも薙刀の一家だから、普段の千鶴の姿と薙刀をしている千鶴の姿を分けて表現したくて。
薙刀をしている時はもっとお腹から声を出して、発声と声のトーンを変えることを意識しましたが、薙刀のシーンは難しかったです。
ー確かに薙刀をしている時の声を演じるというのは難しいことだと思います。
嵐:実際に経験がないとなかなか出せないような声で苦労していたんですけど、監督の指示でスタッフさんが木刀や薙刀をスタジオに用意してくださったんです。
「実際に経験してみると声の出し方が分かる」という監督のアドバイスを受けて、休憩時間に少し木刀を振ってみると、勢いよく振った時や止める時の力の入り方が分かりました。
そこから声の出し方が変わったなと実感できたので、印象的でした。
ー撮影現場で木刀を振れるくらい、撮影現場の雰囲気は明るいものだったのですね。
嵐:明るかったです!
最初からうまくお芝居が出来たわけではないし、悔しい思いをしたシーンもありました。
でも監督や周りのスタッフの方々が、本当に優しく明るく接してくださって。
休憩に入る時も、「温かいの飲む?」とか「これ食べる?」とか、ガチガチだった肩を優しく解きほぐしてくれたので、現場ですごく救われていました。
刺激を受けた共演シーンと収録現場の裏話

ー當真あみさんをはじめ、共演者の方と現場で一緒に収録するということはありましたか。
嵐:収録は基本ひとりひとり。一緒に収録というのは、門脇麦さんと早乙女太一さんと3人で録るのが1回くらいありました。
一緒に収録するのも、またすごく難しくて…。
普段のお芝居なら他の俳優さんがいてくださった方が、全体の流れが掴めてタイミングが合わせられるんです。
でも今回は、声を当てる映像が1人の時よりも早く切り替わっていくから、3人で息を合わせるのがすごく難しかったです。
あみちゃんに関しては、最初に私があみちゃんの収録現場を見学させていただきました。その時は『ちはやふる』の前だったからお互い人見知りをしていて、会話が本当に盛り上がらなくて(笑)。
今はすごく仲良くなったんですけど、だからこそ今思えば面白いくらいに「何話そう」ってお互いにそわそわしていたのも思い出です!

ーそうだったんですね。門脇さんや早乙女さんとは何か話されましたか。
嵐:いや、恐縮すぎて全然お話できなくて…。でも役についてとか、「ここってこういうシーンですよね」みたいなお話はできました。
声優って何テイクも撮るんですけど、門脇さんがテイクを重ねる度に「楽しい」っておっしゃっていたことがすごく印象的で。
私は不安で不安で、むしろちょっと落ち込むレベルだったのに、楽しんでやられている姿がすごくかっこよかったです。
実は門脇さんも声優は初めてとおっしゃっていたので、もう本当にすごいなって憧れました。
ー門脇さんも初めてだったんですか!
嵐:そうなんですよ。「こういう肝が座った人になりたい」って思いましたし、門脇さんと早乙女さんのお芝居を目の前で見ることができて、勉強になりました。
ー嵐さんのお気に入りのシーンやセリフを教えてください。
嵐:特に好きなのは、「エッフェル塔みたいに、背が高いのもいいなァって」ってフジコとエッフェル塔を見ながら言うシーンです。
パリに来るまでは背の高さにコンプレックスを感じていたんですけど、パリではそれが武器になりました。手足が長いからバレエも綺麗に見えるし、自分のコンプレックスを誇りに思い始めた姿がすごく印象的でした。
そこから千鶴の心が強くなっていく分岐点だと思うので、すごく好きなシーンとセリフです。
ーパリが舞台の映画だからこそ映える魅力的なシーンですね。
嵐:映画の中で「東洋人」というワードが登場しますし、そこに悩みを抱えているシーンもあります。
周りのバレエの子の目線が気になってしまうこともあったけど、最終的な千鶴の成長に勇気をもらえると思います。
ー映画の公開へ向けてメッセージをお願いします。
嵐:薙刀や武術、バレエをやっている方はもちろん、フジコと千鶴の2人のように夢を追いかけている方や、その途中でぶつかった壁に葛藤している方には特に見ていただきたい作品です。
2人の生き方を見て、自分だけの人生の在り方を考えさせてくれるきっかけになりますし、勇気をもらえると思います。
広い世代の方々に見ていただけたらうれしいです。
俳優とモデル。多彩に活躍する現在地と“これから”

ー次はプライベートなことにも少し伺いたいです。お仕事や撮影が続く中でのリフレッシュ方法やオフの日の過ごし方を教えてください。
嵐:最近はアニメや映画をよく見ています。
1人でご飯を食べている時とか、お風呂に浸かっている時とか、暇があればずっと見ていて、ドラマを最終回まで一気に見ちゃって1日つぶれたなっていう日もあります(笑)。
でも作品を見るたびに新たな視点とか学びがあるので、それがすごく楽しくて!
ゲームをするのも好きだし、ジムで体を動かすのも好きです。
ー最近特に面白かった作品はなんですか。
嵐:今更感がありますがドラマ『家政婦のミタ』を見て、当時の視聴率にも驚きましたし、あれはすごい作品だなって思いました。
私は主人公が周りと変わっていたりとか、無敵な感じがする作品に惹かれやすくて、だから『家政婦のミタ』はすごくドンピシャで。
なんでもできるかっこいい姿とか、最後に自分の感情があふれるところとか、毎話毎話泣きながら見ていました(笑)。
ー面白いですよね!現在モデル、俳優として活躍されていますが、お仕事をするうえで大切にしていることはありますか。
嵐:新しいお仕事に挑戦する時ってすごく不安になってしまって、色々考えてしまうんですけど、失敗の経験も必ず自分に繋がるって信じています。
挑戦することに怖くなる気持ちもすごく分かるんですけど、過去のことが今に繋がっていると思うと、自信を持って挑めるんです。
座右の銘じゃないけど「継続は力なり」という言葉が好きで、ジムに通って体が絞られていく変化を見るのも達成感がありますし、それはお仕事にもあると思います。
恐れずになんでもトライしてみることは心がけていますし、周りに感謝しながら自分の精一杯を出し切ることを大事にしています。

ー素敵な言葉ですね。今年挑戦したいことはありますか。
嵐:どんどん映像作品に出演していきたいです。
今回の声優のお仕事を通して自分の知らなかった世界が広がったので、今までにやったことのない役も演じてみたいですし、もう一度アニメのお仕事ができるならぜひ挑戦してみたいです。
ー具体的にやってみたい役のイメージはありますか。
嵐:例えば、非現実的なアニメ作品の実写化とか、現実的ではない作品のキャラクターを演じてみたいです。そういうアニメや映画も好きなので、憧れている部分があって。
あとは、完全に自分とは違う性格の役とか、悪役もやってみたいです!
そうやって色々な役に挑戦してスキルアップしていけたらいいなと思います。
ー2026年以降、将来叶えたい夢や達成したい目標はありますか。
嵐:今はモデルのお仕事もやらせていただいていて、お芝居のお仕事もすごく楽しいです。
だから人によって私の印象が違うというか、「モデルの莉菜ちゃんだよね」って思う人もいれば「俳優の莉菜ちゃんじゃない?」っていう人もいると思います。でもそれが私にとって理想的な人物像なんです。
細かな夢はたくさんあるんですけど、長いスパンで言ったら人によって印象が違うような「何でもできる存在」「憧れてもらえるような人物」になりたいなって思っています。
嵐莉菜(あらしりな)プロフィール
2004年、埼玉県出身。
2020年からファッション誌『ViVi』の専属モデルに。
2022年の映画『マイスモールランド』では、映画初出演にして初主演を務め、新人賞を多数受賞。他の出演作はドラマ『ACMA:GAME アクマゲーム』(2024)や『ちはやふる-めぐり-』(2025)、映画『少年と犬』(2025)など。
●公式X @lina_arashi0503
●公式Instagram @lina_arashi
ヘアメイク:TSUKUSHI TOMITA(TRON)
ヘアリスト:内田理菜(UCHIDA RINA)
衣装クレジット:ワンピース¥86,900/コルコバード(フィルム)
問い合わせ先 フィルム(03-5413-4141)
撮影:フクダヤスタカ
