映画『フェイクアウト!』三浦獠太と浅川梨奈。予測不能なクライムサスペンスに挑んだ2人の意外な横顔 

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壮絶な騙し合いとどんでん返しが連続するクライム・エンターテインメント『フェイクアウト!』。

本作で映画初主演を務める三浦獠太さんと、ゴスロリ姿のキーパーソンを演じる浅川梨奈さんにインタビュー。

メインキャストでありながら、共演したのは1シーンのみというお2人。お互いの印象や撮影中のエピソード、全てがネタバレにつながるという映画の魅力について伺います。
 

映画『フェイクアウト!』作品紹介

©2025 Colossus Pictures LLC

近年の目覚ましい技術革新により、社会のインフラになりつつあるAIを題材としたクライム・エンターテインメント!とてつもなく精度の高いAI株価予想プログラムを巡るカネと欲望が、壮絶な騙し合いを引き起こす。知らぬ間に背負わされてしまった借金返済のために、騙し合いの渦に巻き込まれてしまった純朴な青年が行きつく先は…。

物語の視点が変わるごとに、今まで見えていた現実が全く違うものであることに気づく。本作を観た後は、もう誰も信用できない⁉
 
 IT企業の警備員として働く高島誠人(三浦獠太)は、父親が残した多額の借金を知らぬ間に相続し、返済に追われていた。恋人の清美へのプロポーズを控えた誠人は、「勤め先の機密データを持ち出せば100万円を払う」という知人の桝井からの依頼を受けることに。だが、そのデータが超高精度の≪AI株価予想プログラム≫だと気づくと、報酬の増額を要求する。これに激怒した桝井は誠人の妹・由衣を誘拐し、データとの交換を迫る。誠人は妹を助けるため、指定された場所へ向かうが、そこには桝井の遺体が転がっていた…。

そこで、《誠人がデータを持ち出す前》に時間が巻き戻る。すると、誠人の知らないところで、さまざまな企みや罠、駆け引き、裏切りが繰り広げられていた。時間が巻き戻され、物語の視点が変わるごとに、誠人を取り巻く人物たちの思惑や本性が明らかになっていく…。果たして誠人は、この騙し合いの渦から抜け出せるのか?

6月20日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
 (※映画『フェイクアウト!』公式サイトより引用)

フェイクアウトの配信サービス・あらすじ・キャスト・作品概要|ユーウォッチ
IT企業の警備員をする高島誠人は、父親の残した借金の返済に追われていた。知人の桝井から、勤め先の機密データを持ち出せば100万円払うという依頼を受ける。しかしそれは、超高精度のAI株価予...

●X @fakeout_movie

「三浦さんは撮影の合間にもサウナに行って可愛らしかった」(浅川)

今回の作品はスピード感があって、予測のできない展開にドキドキしっぱなしでした。まずはお2人がこの映画に出演を決められたきっかけから聞かせてください

三浦獠太さん(以下、三浦):僕は、撮影の始まる半年ほど前にお話をいただきました。クライム・サスペンスと聞いていて、とりあえず脚本を読んだものの、時系列が行ったり来たりするので、最初は話がイメージできなくて。何回も読み直してようやく、“なるほど、ここがこうなるんだ”と理解できたんです。

僕は主演という立場ではあるんですが、主演らしくないというか…。周りで起きてるいることにどんどん巻き込まれていくだけで、想像していたヒーローの要素がある主演とは違う。出演している皆さんが主役っぽいんです。

浅川梨奈さん(以下、浅川):私は、最初お話しいただいた時に「ゴスロリ服を着てもらいます」っていわれてびっくりしました。脚本を読ませていただいても、私の役のどこにゴスロリの要素があるのか、理解が追い付かなかったんです。

でも、その違和感が逆に面白いと感じたので、やらせていただきたいって。

©2025 Colossus Pictures LLC

ゴスロリファッション、お似合いでした!

浅川:監督がゴスロリにこだわっているそうで、“なんでやねん”とは思いましたが(笑)。ギャップという意味ではユニークな設定なので面白かったです。

ただ、あの姿で撮影の合間に街中を歩くことが、本当に恥ずかしかった(笑)。

―お2人の共演エピソードが伺いたいなと思っているんですが…。

三浦:実は僕たち、共演シーンは1シーンしかないんです。撮影で一緒になったのはたった1日、3〜4時間程度。

浅川さんとお会いするのは、今回の取材までも結構月日が空いてしまって…。浅川さんの第一印象は“ロリータ服が似合う方”という感じでした。

浅川:三浦さんの第一印象は寡黙で真面目な方だなあと。挨拶する前に、すでにもう撮影現場の病室に入られていたので、くだけたお話をする時間もなくて。

あ、そうだ。三浦さん、撮影の合間に「ちょっとサウナ行ってきていいですか」って言って、サウナに行ったのを見て可愛らしい方だなと。

―え、撮影中に?

三浦:恥ずかしい(笑)。たまたま撮影時間に長い空き時間があったので、撮影場所近くのサウナに行ってきたんです。

―サウナ、そんなにお好きなんですか?

三浦:サウナはほぼ毎日行っています。サウナに行っていないと眠れないんです。

浅川:逆に、そんなに毎日整えるべきものなんですか?(笑)

三浦:いや、なんていうか…。僕にとっては歯を磨くのと同じ感覚なんです。

―そんな頻度でサウナに行くなら、いっそのことご自宅にサウナを作ったらいいんじゃないかという気がしますけど…。

三浦:家にあったほうが絶対安いと思います。でもまとまったお金がないので、今はちょっと(笑)。

―浅川さんは、三浦さんのサウナばりにハマっているものはあるんですか?

浅川:私はディズニーですね。ディズニーランドに週3日から4日は行きます。

―それもすごいペースお2人の“好きなものに対する情熱”にびっくりです(笑)。

各キャストとの撮影はほんの1~2日。慌ただしい中での共演エピソード

―では、お互いのシーンは、完成した作品を見て初めて知ったわけですね。それぞれの演技を見ていかがでしたか?

三浦:浅川さん、かっこいいなと思いました。浅川さんの方が主演なんじゃないかと思うほどに。

「こっちの役、やりたい!」って思ったけれど、僕自身、高島と同じくポンコツなので、多分できないなあ。

―三浦さんの役は、ポンコツではありつつも、結構大胆。やる時にはやる男という印象でしたよ。

©2025 Colossus Pictures LLC

三浦:高島は、こうなりたいという理想はありつつ、結局うまくいっていないキャラクター。きっと、浅川さん演じるゆいのようになりたかったと思うんです。

そういった意味では、浅川さん演じるゆいにうらやましさを持ちながら演じるのは、高島としてもアリだと思いました。

浅川:私は、三浦さんの役、気持ちいいくらい情けなくて可愛らしくて面白いなって思いました。自分の役とは正反対!

病室の三浦さんしか知らないから、映画で初めて警備員姿をはじめ、知らない三浦さんが見られて面白かったです。でもなんか、これ以上はネタバレになってしまうので話せない…。

三浦:特に、浅川さんの役はネタバレになっちゃうんですよね(笑)。難しいですよね。

では、ご自身の役との共通点や違いを教えていただいても?

三浦:高島とはあんまり共通点がない方が嬉しいんですけれど…(笑)でも同じ状況になったら僕もきっと高島のようになる気がします。

かっこつけたいし、自分の力でいろいろ解決したいけれど、うまくいかない高島の行動は、僕にとっても妥当だなと。

浅川:私は割と自分の素に近い感じでやらせてもらっていたので、すごく演じやすかったです。喋り方や声のトーンとかも結構、素でやってました。

ゆいほど、あんなに思い切りは良くないし、根本的な内面は似てないけれど。

そうなんですね。それぞれ撮影現場で印象に残っているエピソードはありますか

浅川:私は登場シーンが矢柴(俊博)さんとずっと一緒だったんですけれど、矢柴さん、本当に面白い方でした。唐突にわけのわからないアドリブを入れてきたりとかするんですよ。

それを受けとめて進めながら、元の脚本に戻していく作業が面白くて。矢柴さんは、こっちが受け取りやすいアドリブの入れ方をしてくださるので、撮影中は、愉快で楽しくてずっと笑っていました。

―三浦さんはいかがですか?

三浦:僕は、警備員の格好をして、セキュリティーがかかっている場所に入っていくシーンが印象深かったです。立ち入れないところにどんどん入っていくなんて、普段することのない特別なシチュエーション。

アクション映画にも近い感じだったので、アドレナリンを出しながら演じられました。

―高島はプレッシャーのかかる場面なのに、抜け目なくデータを確認し盗み出す。ポンコツの割には意外と冷静なんですよね。

三浦:データを盗む一連のシーンは、監督から「かっこよく」という指示をいただきました。監督はいろいろなシーンで「かっこよく」とおっしゃるのですが、台本を読んで、“高島のかっこよさは一体どこにあるんだろう”とずっと探し続けました(笑)。

ただ、高島のもともとのポンコツさとかっこよさが合わさることで、絶妙にイケてないかっこよさになって、自分に若干酔いしれながら演じました。それが楽しかったですね。

―冒頭からNON STYLEの石田さんとの絡みも面白かったです。

三浦:石田さんはずっと石田さんのままでした。お芝居中もそうじゃない時も常に“石田さんスイッチ”を入れてくださって、すごく話しやすかったです。

―どんなお話をされたんですか?

三浦:僕、石田さんの舞台がすごく好きだったので、その話をたくさんしました。

今回の撮影では、共演した皆さんとは基本的に1日ずつとか2日ずつ…、短期間しか撮影をご一緒できなかったんです。仲良くなる前に、大体撮影が終わってしまったし、僕も人見知りなので、あまり自分からは話しかけられなかったんですが…。

その中で、石田さんは、今回の現場で一番コミュニケーションを取らせていただきました。

―三浦さんが人見知りな感じは、こうして取材していても全然感じられないですけれど…。

浅川:いやいや三浦さん、現場でも、めっちゃ人見知りな感じはありましたよ(笑)。

三浦:こういう取材の時は頑張っているんです(笑)。だから誰に対しても、仲良くなるのに時間は必要なんですけれど、石田さんのほうからたくさん話しかけてくださり、すごく話しやすくて楽しかったです。

「時間を巻き戻せるなら、芸能界に入る前に戻る」(浅川)「僕はサッカーをやっていた中学時代に」(三浦)

―今回の作品は、時間を巻き戻して見せていくという意外性のあるストーリーでした。時系列がランダムに変わっていくのは、演じていて難しいのではないかと感じたのですが。

三浦:時間の巻き戻しについては、僕は、途中から考えるのをやめました。監督ともお話ししたんですが、高島はお金が欲しいという目的があるから、それオンリーでいいと。

映画は順撮りではないので、時系列を考えようとすると、さらに混乱して変な情報になってしまう。なので何も考えずに、ただまっすぐに演じました。

浅川:私も今回は何も考えないようにやらせていただきました。私たち役者より編集が大変だよね。絶対に。

三浦:そうですね。大変なのは監督だったと思います。

―今回の映画にちなんで、もし自分の時間を巻き戻せるとしたら、いつに戻りたいですか?

浅川:私はね、芸能を始める前。13歳から芸能界にいるんですが、もし芸能界で生きていなかったらどういう人生を歩んでいたのかっていうのがすごく気になります。

普通に中学生活、高校生活を送って、大学進学するなり就職するなり…。この仕事を選んでいなかった場合、どういう人生を生きてたのかな。この仕事が嫌というわけではなくシンプルな興味として、仕事を始める前に戻ってみたいかもしれないです。

三浦:うーん、難しいですね。

僕、中学生くらいの時にサッカーをやっていたので、その時にもっと練習しとけばよかったなっていうのはたまに思います。でも、あまり過去に戻りたいと思ったことはないかな。

強いていうなら、先日受けたオーディションに戻りたい(笑)。この仕事やっていると僕は本当に毎日反省ばかりなので…。

浅川さんは、ああすればよかった、こうすればよかったって思いませんか?

浅川:ううん、私は寝たら忘れちゃう。

三浦:僕はずっと考えちゃいます。

浅川:えらい、仕事熱心で素敵です。

三浦:いやいや、忘れたほうがいいんです。その時できたことが、その瞬間のベストだったって思えたらいいんですけど、うじうじしちゃうタイプなので…。

これからは、未来だけ見て生きていきたいと思います(笑)。

なるほど(笑)。2人は役者として着実にキャリアを重ねていらっしゃいますが、これまでを振り返って、役者として成長したなという部分があれば教えてください。

三浦:昔より、ちょっとずつ緊張しなくなってきたのは成長かな。ただ、緊張した方が作品のためには良いと僕は思っているので、その塩梅がちょうど良くなってきてるんじゃないかと思います。

芝居をするバランスや緊張感が、うまくとれるようになってきたんじゃないかなと感じますね。

なるほど。浅川さんはいかがですか?

浅川:なんだろう。今まで、あまり前向きに捉えることができないことは、避けてしまいがちだったんですけれど…。

それを少しずつ挑戦してみようかなと思えるようになったのは成長かもしれない。行動に移せるようになってきたなと思います。

―ちなみに三浦さんお父様は、サッカーのキングカズですが、今回の映画出演に対して何か声をかけられたりは?

三浦:全然ないです(笑)主演と聞いて、「しっかりできるのかね」「頑張って」って言ってくれたくらいです。

―そうなんですね(笑)。では最後に、今回の映画の見どころを教えてください。

三浦:サスペンス感満載のエンターテイメント作品として仕上がっているので、気軽にぜひ見て欲しいなと思います。いろいろ考えすぎず、ただただ楽しんでもらえたらと。

年齢問わず、いろいろな人の心に、楽しかった思い出の1つとして、この映画が存在できたらいいなと思っています。

浅川:ここを見て欲しい、みたいなことをいってしまうと、その全てがネタバレになってしまうという、なかなかない作品で…。こういう取材やPRが難しい映画だなと思いながら、今、話してはいるんですけど…(笑)。

ちょっと目を離した、ストーリーがわからなくなってしまうかもしれない複雑さがあるけれど、ちゃんと見てると本当にスッキリできるエンタメ作品!ぜひ気軽に見に来てもらいたいですね。

三浦獠太(みうらりょうた)プロフィール

1997年9月5日生まれ、東京都出身。ドラマ『東京貧困女子。―貧困なんて他人事だと思ってた―』(2023年・WOWOW)、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』(2023年)、『オクラ〜迷宮入り事件捜査〜』(2024年)、『119エマージェンシーコール』(2025年)、大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(2025年)、『阿修羅のごとく』(2025年・Netflix)、映画『赤羽骨子のボディガード』(2024年)、『フロントライン』(2025年、公開中)、『アオショー!』(2025年9月公開予定)ほか出演多数。父はサッカー選手の三浦知良、母はタレントの三浦りさ子、弟はプロ格闘家の三浦孝太。
 

●Instagram @ryota_miura_official

三浦獠太 公式FCサイト

浅川梨奈(あさかわなな)プロフィール

1999年4月3日生まれ、埼玉県出身。代表作に映画「人狼ゲーム マッドランド」(長編映画初主演)、映画「かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~」、CX「親愛なる僕へ殺意をこめて」、NTV「大病院占拠」、映画「おとななじみ」、ytv「帰ってきたらいっぱいして。」など。 24年7月期NTV「どうか私より不幸でいて下さい」ではW主演を務め、本年3月に公演された舞台『きたやじ オン・ザ・ロード〜いざ、出立!!篇〜』ではヒロインを務め、主演映画「49日の真実」が本年7月に公開予定。趣味はアニメ、マンガ、ディズニー。
 
 ●Instagram @asakawa_nana

●X @ASAKAWA_NANA__7

浅川梨奈オフィシャルファンクラブ「Team N.」

取材・文:小澤彩

撮影:高島耀太
 

浅川梨奈さん:

ヘアメイク/石川ユウキ

スタイリスト/高橋美咲