矢本悠馬が演じる映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』の白石由竹。半年以上の体作りで名シーンに挑む

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2026年3月13日(金)公開の映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』は「ゴールデンカムイ」実写化シリーズの映画第2弾。

今回は、シリーズを通して白石由竹(しらいしよしたけ)役を演じている矢本悠馬さんにインタビューしました。

実力派俳優が勢揃いした撮影現場の裏話やファンからの期待が集まる名シーンについて伺いました。

映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』作品紹介

「不死身の杉元」の異名を持つ日露戦争から帰還した元兵士・杉元佐一(山﨑賢人)は、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った男「のっぺら坊」は、捕まる直前に金塊を隠し、網走監獄に収監後、そのありかを記した刺青を24人の囚人の身体に彫り、彼らを脱獄させた。刺青は24人全員で一つの記号になるという。

そんな折り、杉元は、アイヌの少女・アシㇼパ(山田杏奈)と出会う。アシㇼパの父は金塊強奪犯に殺されており、事件の真相を知るため、杉元と行動を共にすることに。

同じく金塊を狙うのは、日露戦争を命懸けで戦うも報われなかった師団員のために北海道征服を目論む大日本帝国陸軍第七師団の鶴見中尉(玉木宏)。そして、もう一人、戊辰戦争で戦死したはずの新撰組「鬼の副長」こと土方歳三(舘ひろし)。

それぞれの使命を果たすため、杉元VS.鶴見率いる第七師団VS.土方歳三による三つ巴の刺青囚人争奪戦が勃発!闘いが苛烈を極める中、「のっぺら坊」がアシㇼパの父・ウイルクであるという証言が…。真偽を確かめるため、杉元はアシㇼパとともに網走監獄へ向かう。

誰が敵で、誰が味方か・・・⁉様々な思惑が交錯する中、ついに、闘いの舞台はすべての謎を知る「のっぺら坊」が収監された、決戦の地・鉄壁の要塞“網走監獄”へ——。

映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』公式サイトより引用。

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実写化ならではの芝居。いち視聴者として「見たい白石」を演じる

ー今作は「ゴールデンカムイ」実写化シリーズの映画第2弾。矢本さんはシリーズを通して白石由竹役を演じられていますが、白石とはどんな人物でしょうか。

矢本悠馬さん(以下:矢本):「ゴールデンカムイ」は色々な集団やキャラクターが金塊を争奪していく旅の物語で、白石は杉元と共に旅する人物です。

みんな金塊を手に入れる目的や野望が明確にある中で、白石だけはただお金が欲しいからという理由で行動しています。いい加減な気持ちとまではいかないけど、あまり強い思いもなくチャランポランしている感じが僕は結構気に入っていて(笑)。

白石の無責任な感じは愛されるチャームポイントだなと思っています。

ー「白石がすごく原作通りだ」とファンの方から評判が高く人気もあります。役作りで意識したところや大切にした思いはありますか。

矢本:もちろん原作へのリスペクトを持っていますし、僕もゴールデンカムイファンのひとりだから、「白石が実写化されるならこうだったらいいな」という思いを大切にしています。

漫画が原作の実写化って「これはイメージと違うな」という感想はやっぱりどうしてもあって、ゴールデンカムイのいち視聴者として「実写で見たい白石ってこれなんだよな」というイメージが僕の中にもありましたし、それを芝居で体現しようと思いました。

僕と同じようなキャラクターの解釈やイメージで白石を見て、喜んでくれたら嬉しいです。

ー原作が漫画だとキャラクターのビジュアルも決まっていますし、そこを含めてお芝居をされるのが難しそうだなと思います。

矢本:そうですね。読んでいる方たちそれぞれにキャラクターのイメージがあると思いますし、それは人それぞれの感想です。

だから自分が演じるってなったら、正直自分の感覚や直感でやるしかないところもあって。でも元々この作品が好きで漫画も読んでいたから、白石を演じるうえで何か特別な役作りをする必要はなかったです。

ーご自身も作品のファンで漫画を読んでいたから演じるためのイメージが既にできていたのですね。

矢本:これは職業のクセというか、作品を読んでいると「僕ならこう演じてみたい」と役に投影させながら読む時があって、それで役作りができあがっているような感じだったので「このぐらいのイメージでやるか」くらいの軽い気持ちで現場へ行きました。

ゴールデンカムイの白石は、そのやり方が偶然にもぴったりハマった感じがします。

原作リスペクトはしているけど、原作と全く同じように演じようとは思っていなかったし、自分が「こうしたい」と思う白石を演じたら、僕と同じ感性で漫画を読んでいてくれた方々が多かったのか、多くの方々に受け入れてもらえる白石になったのかなと思います。

ー白石を演じるうえでのこだわりや工夫はありますか。

矢本:最初はセリフも完璧に覚えてすごく真面目に撮影していたんですけど、白石はいい加減で無責任な男なので、「真面目過ぎない方が白石の芝居もうまくいくんじゃないか」って思って。あえてセリフを覚えていかないとか、何のシーンを撮るかを把握しすぎないようにしたこともありました。

「僕たち以上にスタッフさんは頑張った」世界観を作り出す撮影現場の裏話

ー網走監獄襲撃編は作品の中でも大きなエピソードだと思いますが、今回の台本を読んだ時の感想を教えていただけますか。

矢本:「とうとうここまで来たか」という思いもありましたし、網走監獄のエピソードは個人的にも好きだったので、単純に楽しみでした。

あとは、どうやって撮影するんだろう、お金大丈夫かなとか(笑)。

ー確かに規模が大きく広大な場面も多いと思いますが、アクションシーンなどはどう撮影されたのでしょうか。

矢本:実際に撮影現場に網走監獄や駆逐艦があるわけではないので、グリーンバックで撮影することも多かったです。

スタッフさんたちのアイディアと工夫と、網走監獄がない状態でも想像しながらお芝居をする俳優の集中力がかけ合わさって映像ができていったんだと思います。

だから、現場での作業は意外と地味というか。でもその作業の羅列が映像になった時にあんなに迫力があるものになるんだとびっくりしましたし、ホッともしました。

ー映像の迫力も実写映画の見どころですよね。

矢本:同じセットやロケ場所を使いまわしても違う場所のように見せる工夫が凝らされていて、本当はあんな壮大な場所ではないけど映像からはCGの感じもしないから、映画を見た人は「本当に僕たちはあの場にいる」と錯覚するんじゃないかというくらいのクオリティなので本当にすごいなと思います!

一連の映像になるとあんなにスペクタクルなものになるんだなと驚きました。

ー作品の世界観に入り込める映像になっているのですね。映画のストーリーについての感想はありますか。

矢本:今まで通りアクションもコメディもあって、今回はさらにグルメや恋愛の要素も色々入っているんですけど、それら全部がちゃんとまとまってエンターテインメントに仕上がっています。

とっちらかりそうなほどたくさんの要素が詰まったストーリーですし、出演者も多いから「目立たなくなってしまう人もいるんじゃないか」とも思ったけど、みんな目立っていて面白い。どのシーンも飽きることなくどんどん物語が展開していくから、上映時間があっという間でした。

いい意味で日本の作品じゃないような映像だし、ストーリー全体を通してすごくクオリティが高い作品なので、たくさんの人に見てもらいたいなと思います。

ー先ほど出演者の多さについてのお話がありましたが、現場全体の雰囲気はどうでしたか。

矢本:前作みたいに笑いが絶えない現場というよりは、いい意味で緊張感のある現場でした。

バラバラに撮ることも多く、共演シーンでも相手が目の前にいないということもあったし、同じシーンでも期間を空けて撮るということもあったので、その撮影スケジュールの難しさゆえ集中している時間が長かったです。

撮影しているシーンごとの繋がりを意識していないと「今どこ撮ってるんだっけ」って分からなくなってしまうので、集中力を高めてやっていました。

ー撮影期間はどれくらいだったのですか。

矢本:4か月くらいだったと思います。

1日1日はゆとりのあるスケジュールだったんですけど、山とか雪とか風とか自然を相手にしたロケーションは複雑でしたし、撮影が難しいシチュエーションも多くて…。

夜のシーンでは照明の調節にも時間がかかるので、余裕は持っていたつもりでもハードなスケジュールでした。

ー前作は真冬に川に入っていた過酷なシーンもありましたね。

矢本:今回はそれはないからいけるかなとか思っていたんですけど、服を着ていても寒い時は寒いし、普通に大変でした(笑)。

だからみんな衣装の中に温かいインナーを三重、四重にして着ていたんですけど、全員体が仕上がっているので、特定のシーンで急に着ぶくれして変に見えるということもなく衣装はずっと綺麗に着れていたと思います。

ー今回もそれほどの寒い天候の中で撮影されていたんですか。

矢本:栃木で撮影していて、雪は降らないと聞いていたのに1日目からずっと雪が降っていました。夏のシーンだったのに(笑)。

スタッフさんたちは雪を水で溶かして、その濡れた土が渇くまで撮影ができないという二重苦だったから、僕たち以上にスタッフさんは大変だったと思います。

俳優としての成長が感じられて、自分で自分を抱きしめてやりたい

ー白石は杉たちと共にしているため、接点の多い杉(山崎賢人)やアシㇼパ(山田杏奈)、キロランケ(池内博之)と共にするシーンが多かったですか。

矢本:そうですね。でも杉元とアシㇼパと白石の3人だけのシーンはなかったので、賢人も杏奈ちゃんも寂しそうでした。

この3人のシーンがなかったから、逆にコメント撮りで3人集まるとスタッフさんたちが盛り上がっていましたね。「これぞゴールデンカムイだ」「これを待っていたんだ」って(笑)。

ー撮影現場では共演者の方と何かお話されましたか。

矢本:男性キャストが集まった時は、筋トレと食トレの話しかしていないです(笑)。

今作では体を見せる場面もあったので、体を作る必要がありました。

撮影期間の間、出演者みんな鍛えた体をキープしなきゃいけなかったので、「昨日どこ鍛えた?」「ここ結構良い感じになってきた」みたいな話ばっかりでした(笑)。

お互いの食事のメニューやサプリについての話で、芝居の話は一切ないです。筋肉の話ばかりでした(笑)。

ーひたすら筋肉のお話だったのですね(笑)。その会話をした男性キャストのメンバーはどなたですか。

矢本:現場で一緒にいることが多かった賢人と大谷亮平さんと池内さんと、あと郷敦も。

会話はずーっと筋肉の話でしたが、夜に撮影することも多かったので、現場では寝ていることもよくありました。

筋トレに疲れて寝て、起きたら「昨日どこ鍛えた?」「俺ここ」って言ってまた寝るみたいな。起きていても腹減っちゃうんで(笑)。

ー今回から参加される俳優さんもいらっしゃいますが、今までのお話を聞くと会うこともあまりなかったでしょうか。

矢本:現場ではすれ違うくらい。一緒に芝居したシーンはあまりなかったかな。

だから、前作から出ている出演者は延長線上という感じですが、新キャストの第七師団のメンバーは結構キャラを膨らませている感じがしました。

第七師団の方は盛り上がっていたけどこっち側は寝ていたし、お互いに会わないから現場の雰囲気や作品のテイストは少し違うところもあるかもしれません。

でもそれが杉元一行と第七師団のグループの違いとして映像から感じられるところもありますし、会話が弾んだ流れで芝居をしてそうなくらい、向こうは元気そうでした。

今回の劇場版の物語は、杉元一行は複雑でシリアスになってきている中で、その対比になるかのように第七師団は楽しそうな雰囲気で撮影されていました。

ー第七師団のビジュアルについて、感想はありますか。

矢本:衣装とメイクがすごいですよね。鯉登音之進(中川大志)の眉毛とか意味わかんないけど、大志が男前すぎて着こなせているのが本当にすごい(笑)。

宇佐美時重(稲葉友)の両頬のほくろもそうで、特徴的なビジュアルでも自分のものにできているなと思いました。

ー今作でのお芝居を振り返って、上手くいったポイントやシーンはありますか。

矢本:ナレーションベースの説明台詞は印象深いです。

説明台詞は見ている人を飽きさせないようにしなきゃいけないし、でも情報を伝えるために特別変なことはせず淡々としゃべることも必要だから難しいんですけど、今回の自分は納得のいく仕上がりでした。

俳優としての成長が感じられて、「こんなに長い説明台詞をうまくできるようになったんだな」と自分で自分を抱きしめてやりたいです。

白石としてちゃんと喋っている感じがありつつ、ちゃんと全部の情報が聞き取れたから自分にびっくりしました。

ー説明台詞の場面は、矢本さんのお芝居の技が光ったワンシーンにもなっているのですね。

矢本:僕は今まで白石のような、コメディなキャラクターや「おふざけキャラ」みたいな役をいただくことが多かったです。

今まで培ってきた経験を全部白石に込めて芝居ができたからこそ、上手くいったのかなと思います。

だから逆に今後は「普通」を極めてみたいというか。普通に恋愛をするとか、日常でみんなが抱えているようなストレスや闇を持っている役とか、等身大でナチュラルな芝居もやってみたいです。

ーそのお芝居をされる矢本さん、見てみたいです。映画の公開を楽しみに待つファンの方へ向けて、今作の魅力やメッセージをお願いします。

矢本:今作もゴールデンカムイのあの絶妙な空気感は色濃く出ていると思います。

キャラクターが濃いけど、その濃さが嘘っぽくないしわざとらしくないところもこの実写版の魅力です。

アクションのかっこよさはもちろん、面白いシーンもいっぱいあります。

今作でファン待望の“あのシーン”は、撮影現場全体がワクワクしたイベントみたいな空気感で撮影できましたし、「真面目にふざけた」ところなので、ファンの方にも喜んでいただけるような最高のシーンです。

映画全体を通して「シリアス」と「コメディ」が交互に展開していくので、僕が何かを言わずともグッと作品の世界に没入して最後まで楽しめると思います。期待していてください!

矢本悠馬(やもとゆうま)プロフィール

1990年生まれ、京都府出身。

映画『ぼくんち』(2003)でスクリーンデビュー。

主な出演作は、映画『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』(2024)や映画『愚か者の身分』『新解釈・幕末伝』(2025)など。

NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』や舞台『キャッシュ・オン・デリバリー』などにも出演。

●公式X @yuma_yamoto

●公式Instagram @yuma_yamoto.official

撮影:フクダタカヤス

ヘアメイク:高橋将氣

スタイリスト:丸山晃

【衣装クレジット】
ジャケット¥121,000(NICENESS/イーライト)
シャツ¥77,000(HEUGN/イデアス)
パンツ¥39,600(The DUFFER N NEPHEWS/イーライト)
シューズ参考価格¥28,600(キッズ ラブ ゲイト/株式会社 フェイス)
その他スタイリスト私物
【問い合わせ先】
・イーライト☎︎03-6712-7034
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