映画『ウィキッド 永遠の約束』で前作に続き、フィエロ役の日本語吹き替えを担当した海宝直人さんにインタビューしました。
実写映画『ウィキッド』の最終章となった今作の魅力を語っていただきました。
映画『ウィキッド 永遠の約束』は2026年3月6日(金)公開です。
映画『ウィキッド 永遠の約束』作品紹介
オズの国に隠された真実を知り、それぞれの道を進むことになったエルファバとグリンダ。
“悪い魔女”として悪名を着せられ民衆の敵となったエルファバは、言葉を奪われた動物たちの自由のために戦い続けていた。一方“善い魔女”となったグリンダは、希望の象徴として名声と人気を手にするも、その心にはエルファバとの決別が深い影を落としていた。
和解を試みるもその願いは届かず、ふたりの溝はさらに深まっていく。さらに、突如現れた“カンザスから来た少女”によって、オズの国の運命も大きく動き出す。
世界に暗雲が立ち込める中、ふたりの魔女はもう一度、かけがえのないかつての友と向き合わなければならない。
自分自身と、世界そのものを———永遠に変えるために。
映画『ウィキッド 永遠の約束』公式サイトより引用
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新たに見えたフィエロの一面。誠実さに向き合った変化が魅力

ー前作『ウィキッド ふたりの魔女』の時にも取材をさせていただきました。前回の映画が公開されて、反響はどうでしたか。
海宝直人さん(以下、海宝):字幕版も日本語吹替版も、それぞれの魅力を楽しんでくださったんじゃないかと思います。
あの「ウィキッド」がついに映画になるということで、やっぱり喜んでいただけた印象です。
ー今回も海宝さんはフィエロを演じられましたが、続編で新たに見えたフィエロの魅力はなんですか。
海宝:続編のフィエロは、エルファバの生き方にものすごく影響を受けているなと思います。
「自分の信念や正しいと思うことを自分の命を懸けてでもやり遂げる」というエルファバの生き方に大きな影響を受けて変化していっているところが、今回のフィエロの魅力です。
最初の「サンク・グッドネス/アイ・クドント・ビー・ハピアー」のシーンからすでに、彼が誠実に生きようとしているんだなという変化が伝わってくると思います。
物語の最後には、実際に自分自身も命を懸けて大事な人を守ろうとしますし、映画『ウィキッド 永遠の約束』での彼の変化がすごくパワフルです。
ー今回フィエロを演じるにあたって、どのような役作りをしましたか。
海宝:最初に具体的なイメージを固めるという感じではなく、実際にやりながら調節していきました。
例えば、冒頭のグリンダとのシーンでは、そのニュアンスについて、日本版の制作監督とたくさん話し合いをしました。
監督が「偉そうに上から説教する感じにはしたくない」ということで、グリンダへの愛情や誠実さが滲むお芝居にしましょう、と。
そうやって少しずつ掴んでいきました。
ーなるほど。話し合いを通してフィエロ像を作っていかれたのですね。
海宝:前作で色々なディレクションをもらっていたから、監督の持っていきたい方向性は少しずつ掴めていました。
冒頭の調整をした後は結構スムーズに収録は進んでいって、当初の予定より数時間巻きで終わりました。
実写映画『ウィキッド』の最終章。いちおしのシーンは?

ーウィキッドはミュージカルなので、作中の歌も非常に魅力的です。海宝さんが特に気に入っている歌はどれですか。
海宝:本作のために書き下ろされた新曲の2曲は注目度も高いですし、僕にとっても印象的でした。
特に、グリンダが歌う「ザ・ガール・イン・ザ・バブル」というオリジナル曲は、グリンダという人物をものすごく掘り下げているなと感動しました。
グリンダは、エルファバと並んでもう一人の主人公ですから、彼女の痛い思いがよく伝わってくる楽曲になっています。
ー『ウィキッド 永遠の約束』全体を通して、印象深いシーンやセリフはありますか。
海宝:終盤のエルファバとフィエロのシーンで、「なんて美しいんだろう」と衝撃を受けました。
あのシーンは言葉のやりとりが多いわけじゃなくて、お互いの目で通じ合いながら。でも、ちょっと皮肉めいた冗談も言い合っているから、本当に2人の根底で思いが通じ合っているなと感じました。
2人の短めのやりとりの中での呼吸と、その目線が見事に物語っているなと思いましたし、本当にグッときたからこそ、大事に演じさせていただいたシーンです。
ー他の出演者さんが当てられている声が入った本編を見た感想はどうでしたか。
海宝:それぞれのキャラクターが、それぞれの俳優さんの顔に見えてくるくらい役にハマっているなと思いました。
ー前作からおよそ1年が経っての今回の映画ですが、その見どころをお聞きしたいです。
海宝:前作をご覧になった方は、約1年という長い期間を待っていると思いますけど、ようやくその続きが映画館で見られます!
『ウィキッド』の結末に向かって、前回からさらにそれぞれのキャラクターの深い心情にアプローチしていく物語の展開になっているので、そこを楽しんでいただけたら嬉しいです。
前回ももちろん魅力的でしたけど、今作は今作で本当にパッションが溢れる楽曲が粒ぞろいですし、息つく暇もないくらいのドラマチックな展開、それぞれのキャラクターたちの選択を見守っていくような続編になっているので、そこが魅力です。

ー前作のインタビュー時は、映画ならではのスケール感についてお話していただきました。今回の映画ではそこはどうですか。
海宝:シリアスになっていく展開でスケール感もありながら、すごくパーソナルなそれぞれの心情が深く描かれています。
本人たちは真剣なんだけど、傍から見るとちょっと笑っちゃうような人間味が散りばめられているから、そういう部分も『ウィキッド』を一級のエンターテイメントにしているものなんだろうなと。
そういうニュアンスも舞台版からすくい上げて素敵な映画に仕上がっているから、映画ならではのスケール感と人間同士のミクロな心の動き、そのバランスが素晴らしい作品です。
ー海宝さんが特に共感した場面はどこでしたか。
海宝:ウィキッドという作品は“選択の物語”だと思っていて、それぞれが何を選択し、最終的にその選択の結果を受けて“どう生きていくのか”というテーマがあると思っています。
最初に台本を読んだ時から、そういうテーマを2部作の実写映画としてすごく繊細に丁寧に描き出してくださったんだなと、いちミュージカルファンとして感じていました。
グリンダの「辛い選択をしたうえで、その代償を背負って生きていかなきゃいけない」「もう二度と会えないかもしれないけど、人生で一度でも心の底から通じ合えた人がいた」というところが、何にも勝る価値なんだろうなと胸に響きました。
ラストには、どこか爽やかさを感じられる。これがウィキッドのマジックだなと改めて思います。
ー公開が楽しみです。映画の公開へ向けてメッセージをお願いします。
海宝:まずは、この1年という長い幕間をよくぞ耐えました(笑)。
ぜひこれは映画館の大きな美しい画面で、いい音で体感していただきたいですし、だからこそ見えてくるキャラクターたちの繊細な心の機微と彼らの辿る結末があります。
確実に皆さんの胸に響く、心を打つものになっていると思いますので、何回でもご覧になっていただければと思います。
キャリアを重ねた現在の胸の内。「気を遣いすぎずちゃんと伝える」

ー海宝さんご自身のことも伺いたいです。1月から2月にかけてミュージカルに出演されていましたが、お忙しい中でのリフレッシュ方法はありますか。
海宝:やっぱり睡眠は必要ですし、大切にしたいです。あとはお風呂に入るのもすごく好きなので、ちゃんと湯船に浸かって自分の体を温めてから寝るというのは大事だと思います。
ーミュージカルを中心に、今回のような声優のお仕事もされていますが、お仕事をする上で心がけていることはありますか。
海宝:自分の思ったことや感じたことを変に気を遣いすぎずちゃんと伝えるということを、最近は特に意識しています。
自分が正しいとかどうではなくて、「こう思うんだよね」「こうするのはどうかな」というディスカッションを当たり前にやって、みんなで良いものを作っていくというのをもっと大事にしたくて。
建設的にしっかりと自分自身の思いや意見を口に出して伝えていくことを大切にしていきたいと思っています。
ーそう考えるようになったきっかけはありますか。
海宝:色々な先輩とご一緒して経験を重ねていくにつれて、ディスカッションを通じて作品がより良くなっていくことを実際に何度も目の当たりにしたので、「やっぱりディスカッションって大事なことだな」と強く思うようになりました。
特に、『ISSA in Paris』はオリジナルミュージカル作品だったので、話し合いの重要性やディスカッションを通してより良くなっていくことを体感できました。
問題提起した結果、それをみんなで揉んで、「確かにこの方法があるよね」「こういう表現があるよね」って第三の道が見つかってより良くなっていくから、色々な作品を重ねてきた今、そういうのが必要だなというのを改めて感じています。
ーお仕事をしている上での喜びや、やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか。
海宝:出演した作品でお客様に何か思いが伝わって、それが活力になったり、何か考えるきっかけになったりするならば、それが僕としては一番の喜びです。
ー今後目指していく目標を教えてください。
海宝:最近は改めて「長く愛されるオリジナル作品を作る一部に携わっていきたい」と強く思うようになりました。
作品として育ち、いずれは世界に通用する作品づくりに携わっていけたらいいなと思っています。

海宝直人(かいほうなおと)プロフィール
1988年生まれ。
7歳の時、劇団四季『美女と野獣』チップ役でデビュー。
その後『ライオンキング』の初代ヤングシンバ役に抜てきされる。子役時代を経て、『レ・ミゼラブル』マリウス役や劇団四季『アラジン』アラジン役など舞台を中心に出演。
近年の出演作に、『ファンレター』や『この世界の片隅に』『ミス・サイゴン』などがあり、第46回菊田一夫演劇賞、第13回岩谷時子賞奨励賞受賞の経験を持つ。
2025年には『海宝直人舞台芸能活動30周年コンサート“ever”』を開催し、2026年1月から2月にかけて、全国3都市で行われるミュージカル『ISSA in Paris』に出演している。
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●公式Instagram @naoto_kaiho
撮影:フクダヤスタカ