日本アカデミー賞を受賞し、大ヒットを記録した『映画 えんとつ町のプペル』の最新作となる『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』が3月27日に公開されます。
今回は、美しい歌声を持つ人に化けた植物・ナギ役を担当された小芝風花さんにインタビューしました。
アニメーションならではのキャラクターの可愛らしさや、冒険ファンタジー映画の物語の魅力についても伺いました。
『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』作品紹介
大切な親友のゴミ人間・プペルを失い、悲しみに暮れていた少年・ルビッチ。しかし、信じて待つことを諦め、前に進みだそうとしていた彼はある日、時を支配する異世界“千年砦”へと迷い込んでしまう。
時を刻まなくなった時計は処分されるこの世界で、壊れていないのに11時59分で止まっている不思議な時計台があった。ルビッチが元の世界に戻る唯一の方法は、「止まってしまった時計台を動かす」こと――。
新たな相棒・モフと共に時計台の謎を追うルビッチはやがて、100年間約束を信じて待ち続ける男・ガスに出会い、人に化けた植物ナギとの叶わぬ約束の物語を知る。
ルビッチがもう一度“信じる勇気”を取り戻したとき、ハロウィンの夜に奇跡が起こる。
『映画 えんとつ町のプペル~約束の時計台~』公式サイトより引用。
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お互いを思い合っているのが伝わってくる2人の関係性がすごく好き

ー今回演じられたナギというのはどのようなキャラクターでしょうか。
小芝風花さん(以下、小芝):ナギは人に化けてまで人間社会に飛び込みたいと思うような子なので、すごく好奇心が強くて自信もあって、自分の好きなことをやりたいという意志が強い女の子です。
今回の映画には2つの軸があって、プペルとルビッチのストーリーの他に、“千年砦”で100年間待ち続けている男・ガスとナギの物語も描かれています。
ナギが勝気な女の子だから2人の雰囲気が甘々にならないところとか、照れ隠しで喧嘩みたいなやりとりでも、お互いを思い合っているのが伝わってくる2人の関係性がすごく好きです。
ーアニメーション映画に声優として出演されるということで、「こんなお芝居をしよう」と意識されたことはありますか。
小芝:アニメーション作品には絵があるので、ストーリーの流れと描かれている表情を合わせるというところはよく意識しました。
今回ナギと一緒のシーンが多いガス役の吉原光夫さんとは一緒にアフレコをさせていただいて、すごくかっこいい大人な声だったので、私の声が子どもっぽく聞こえてしまうんじゃないかという不安もありました。
だから声のトーンを少し落とし気味にしようかなと思って現場に行ったら、製作総指揮の西野亮廣さんから「もっと元気よく」「明るく」と言われて。
ナギの天真爛漫さがよく伝わるような声でお芝居をしたんですけど、完成版を見てみたら子どもっぽくなりすぎていなかったので、西野さんにお任せして良かったと安心しました。
ー今作では共演者の方と一緒にアフレコされたんですね。
小芝:そうなんです。声優のお仕事はひとりで録ることが多かったので、今回一緒に現場でお芝居できるのは今までとは違っていて新鮮でした。
リアクションや相手のお芝居が見えやすかったですし、その掛け合いを受けて西野さんがお芝居の演技指導をしてくださるから、お芝居がしやすかったです。

ー西野さんからアドバイスがあったとのことで、現場でディスカッションをされることも多かったのでしょうか。
小芝:私と吉原さんで「こうしよう」と話し合うというよりも、2人のお芝居から生まれたものを西野さんが客観的に見て「こうしましょう」とか「このセリフはなくていいですね」とか、結構その場で作っていく感覚がありました。
その中で先ほどの「明るく」というのもそうですし、「だんだん感情が高まっていくよりも最初からピークな感じで」というようなアドバイスもいただきました。
演技について私はずっと「お芝居はキャッチボールだ」と教えられてきたので、最初から強くは決めこまず、臨機応変にその場で生まれたお芝居を大切にしました。
ーあまり役のイメージなどを固めすぎず、ということですね。撮影現場に入る前に準備したことはあまりなかったのでしょうか。
小芝:今回は、私にとって歌唱シーンが最大の課題でした。
収録の2ヶ月くらい前からボイストレーニングに通い、準備をしていました。
歌収録の直前に、今回の作品の音楽監修をされている富貴晴美さんにもレッスンをしていただきました。西野さんが作品の中で、音楽を使ってどう表現したいのかを知ってらっしゃる方なのでお願いをしました。
そこで色々教えていただいて本番を収録する流れでしたが、収録中は頭がいっぱいになってしまいそうだったので、とにかく教えていただいたことを実践しようと考えていました(笑)。
歌うシーンはガスとの出会いや関係性を象徴する大切な場面だったので、そういう素敵なシーンに挑戦させていただけて、とてもありがたく思っています。
「プペルワールド」の中核“信じる心”を別角度から描いた最新作の魅力

ー今作はヒットを記録した人気シリーズの最新作となりますが、出演が決まった時の心境を教えてください。
小芝:すごく嬉しかったです。
前作がすごく人気だったのでプレッシャーもあるにはあったんですけど、このお話をいただいて台本を読む前から「やりたい!!」って感じでした(笑)。
「プペルの第2作目に声かけてくれてるの?やりたい!」みたいな。すごく嬉しかったです。
ー台本を読んだ時の感想はどうでしたか。
小芝:どの世代の方が観ても胸に響いて、考えさせられる作品だなと思いました。
前作に続いて登場人物が個性的で魅力的ですし、見た目もかわいらしいので子どもも楽しめます。大人はストーリーにグッとくるし、こんな素敵な作品に呼んでいただけて嬉しいなという気持ちでした。
家族みんなやお友達同士、恋人同士でなど、本当に色々な方に届いてほしい作品だと思いました。
ー特に印象的だったシーンはどこでしたか。
小芝:ナギとしては、やはり100年間約束を信じて待ち続けているガスとの物語のゆくえは印象的でした。
あのシーンは台本を読んで泣いて、アフレコしながらも泣いて、完成した作品を観てもやっぱり泣きました(笑)。
相手を信じて待つガスの想いの強さや、あのガスの表情を見た時にいつも涙腺が…。
ぜひそこに注目していただけたらうれしいです。

ー「信じて待つ」というのはこの作品のキーワードになっていると思いますが、このテーマに関しての感想はありますか。
小芝:第1作目では「自分を信じる」というテーマがあって、今回は「相手を信じて待つ」だと思います。
「自分ひとりで頑張った方が楽」「裏切られるのが怖いからひとりで」と考えてしまうのではなく、相手に託す大切さやその勇気を「信じる」という身近な言葉から描かれているのが今作の魅力です。
「信じたい」と思える相手に出会えたこと自体が奇跡ですし、信じ続けた人にだけ訪れる奇跡にもすごく感動しました。奇跡を信じたくなる作品だと思います。
ー前作でお馴染みのキャラクターに加え、今作でルビッチの新たな相棒となる異世界ネコ・モフなど、新しいキャラクターも登場します。小芝さんのお気に入りキャラクターを教えてください。
小芝:本当にキャラクターがすごく可愛いですよね。
迷うけど、モフが好きです。ネコなのに二足歩行で、しかも毛皮を持ちながら走っている場面がすごく可愛い(笑)。
モフをはじめ、映画全体を通して可愛いシーンがところどころにあって、「ここのポストカードほしいな」とか「このモフ、アクスタにならないかな」ってグッズがほしくなりました!
そういう可愛いところは単純に見ていて楽しいし、芸人というキャリアを生かした西野さんならではの“間の取り方”やキャラクター構成の面白さが、絵の可愛さを引き立てているのかなと思います。
「今年は自分に向き合う1年に」飛躍を支えるセルフケア

ー小芝さんは俳優だけでなく声優のお仕事まで幅広く活躍されていますが、その中で心がけていることや大切にしている思いはありますか。
小芝:「なるべく楽しくいたい」という気持ちがあって、単純に私がその方が好きというのもあるんですけど、作品を撮影している時ってハードだから、スタッフさんたちと「大変だね」「しんどいね」って言いながら「でもなんだかんだ楽しいよね」ってチームワークを作れたらいいなと思っています。
作品の内容や役にもよりますが、特に私が主演を任せていただいた作品ではチーム感を大切にしようと心がけています。
ー人とお話することを重視されているのですか。
小芝:現場ではずっと喋っていて、「どこにいるかすぐ分かる笑い声してるね」って言われます(笑)。
普段は人見知りなんですけど、撮影現場は作品を作る仲間でひとつのチームだから撮影期間中はワンチームで頑張っていきたいという思いがあって。大変だからこそちょっとでも楽しくできたらいいなと思います。
ーお忙しい中でモチベーションを上げる方法やリラックス法はありますか。
小芝:私は今年に入って美容意識が上がっていまして、ひと手間かけてちゃんと美容に気を遣ってやってるぞ!っていう満足感が得られた時は、気分が上がります。
今年で29歳になる年で20代ラストイヤーが近づいているので、今年は自分に向き合う1年にしようと思って美容アイテムを色々試しています。最近、洗顔の泡立て器を買いました。
それを使うと泡がもちもちで気持ちが良くて、肌にやさしいのが分かるくらい(笑)。
そうやって自分に合うものを今年1年かけて色々な方向で見つけていきたいですし、それがモチベーションやリラックスになったらいいなと思います。
ー自分に向き合う年ということで、他にやってみたいことはありますか。
小芝:今年に入ってからジャーナリングを始めまして、これを続けていきたいです。
毎日書かなきゃとなるとそれが億劫になって続かないけど、例えば「どんな時に自分は落ち込むんだろう」とか、そういうタイミングごとに書き残すようにしています。
天気とか体重、体調とか「イライラしちゃった日の原因はなんだったんだ」というのを知りたくて、「前に落ち込んだ時は何があったんだっけ」とさかのぼれるように、情報集めをしていきたいです。
心の整理ができるから、手で書き込む時間はすごく大事なものになっています。
ージャーナリングを始めようと思ったきっかけはありますか。
小芝:今までは気分の落ち込みや体調不良も、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」みたいな感じで乗り越えて忘れてきたので、根本的な原因がわからなかったんです。
今年は自分に向き合う1年だから、自分の取扱説明書みたいな感じで傾向が分かるようになったらずっと“ご機嫌さん”でいられるんじゃないかなって思って。
曇った天気を見て「今日頭痛くなるな」って分かったら事前に頭痛薬を用意するとか、気分下がるからご褒美に大好きなご飯を買っておこうとか、自分の機嫌の取り方が分かるようになると思うので、今年1年通してこれをやってみます。

ーすごく良いと思います。ご飯がご褒美なんですね。
小芝:やっぱご飯かな。最近だとずっと妹から「ホテルのアフタヌーンティー連れてって」と言われていたので、いい感じのところを予約して家族で行ったりとか。
去年から言われていたけどなかなかタイミングが合わなかったので、イチゴシーズンの今だねって話をして予約しました(笑)。
ー確かに「ヌン活」とも言いますし、イチゴのスイーツって可愛いですよね。
小芝:そうそう!妹にいくつか候補を送ったりして、「ここね!予約取るね!」みたいな(笑)。
家族の中で、私は予約担当なんです。
去年やっと家族で沖縄旅行に行けたんですけど、その時も家族のリクエストを聞きながら、スケジュールを組み立てました(笑)。そういうのが大好きで、すごく楽しかったです。
ー今年はどこに旅行に行きたいとかありますか。
小芝:都会よりも自然豊かなところに行きたいという妹からの強い要望があったので、「石垣島どうですか?」って提案しました(笑)。
ーお忙しい中でも家族の時間やプライベートを大切にされている姿が伺えました。今後も色々な作品に出演されると思いますが、これから挑戦したいことはありますか。
小芝:私はドラマに出演させていただくことが多いので、映画や舞台、今回のような声のお仕事とか、お芝居の幅をもっと広げていきたいなと思っています。
舞台ならファンの方ともお会いできますし、直接ありがとうございますと言える機会にもなるので、今年はそういう“仕込み”をたくさんしたいです。
だから今年は準備の年。今は頭の方が忙しくなりそうなんですけど、今後を楽しみに待っていただけたらと思います!
ーこれまで若手俳優ながら精力的にお仕事を続けてこられた理由や思いを伺いたいです。
小芝:応援してくださる方がいるということがすごく支えになっています。このお仕事って見てくださる方がいて、初めて成立するお仕事ですし、作品の意味もなくなっちゃうと思います。
作品を待っていてくださった方の「この作品感動しました」とか「すごく背中を押されました」とか、そういう感想を見ると「やってよかった!」と思いますし、「次はこういう役、こういう作品で」とモチベーションに繋がっています。
だから、みなさんの声はすごくありがたいです。
小芝風花(こしばふうか)プロフィール
1997年生まれ、大阪府出身。
2011年「ガールズオーディション2011」でグランプリを獲得し、その翌年ドラマ『息もできない夏』でデビューを果たす。
最近の出演作は、NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺』(2025)、Amazon Originalドラマ『私の夫と結婚して』、TBS日曜劇場『19番目のカルテ』(2025)など。主演を務めるNHKBS時代劇「あきない世傳 金と銀3」が4月5日より放送開始。
●公式Instagram @fuka_koshiba_official
撮影:髙橋耀太
ヘアメイク:富永智子/Tomoko Tominaga
スタイリスト:MIZUKI IRI / 伊里瑞稀