森七菜「じゅじゅをかわいそうな子にしない」。映画『炎上』で貫いた覚悟と演技

目次

長久允監督とタッグを組み、サンダンス映画祭へ

ー長久監督の第一印象はどうでしたか。

森:はじめてお会いした時は、熱量がすごい監督だなと思いました。そのような監督に選んでもらえたことが嬉しかったです。

監督は今回の映画化までに5年もの時間をかけて取材を重ねてこられた方なので、その熱い思いを聞いて、一層「じゅじゅをどう演じるか」ということに向き合って撮影に臨みました。

ー撮影現場では、長久監督と話し合いをされることも多かったのでしょうか。

森:当日撮影方法が変更になることもあったので、それに合わせた動きについては話し合いをしました。でもじゅじゅの気持ちの部分は任せてもらうことが多かったです。

動きをつける部分もあれば、ビジュアルの撮影っぽいカットもあったので、振り返ってみるとなんだか不思議な撮影でした。

ー長久監督ならではの感性が光る演出や印象的なシーンについて教えてください。

森:キラキラのアスファルトが映っているシーンは、完成した映像を見て「こんな星空に見えるんだ」と驚きました。「あれ、こんなカットあったっけ」って思ったくらい(笑)。

あとは、ナレーションでの口調や友達との喋り方、軽く肩を叩くスキンシップなど、普通の10代の子として描かれるじゅじゅのキャラクターの遊びの部分やその表現についてのディレクションも印象深いです。

ーサンダンス映画祭にも参加されていましたが、映画の完成後に監督とお話はされましたか。

森:しました。でも、作品の感想みたいなものはあまり言えていなくて…。

最初に見た時は自分の反省点をわーっと言う感じになってしまって、この前のサンダンス映画祭で監督の隣で見た時は、なぜか急にすごく辛くなって泣いてしまいました。

撮影中は辛いとか全く思っていなかったんですけど、実は辛かったんだなと思い返してしまってすごく涙が出てきて。

別に自分の芝居を見て泣いているわけじゃないんですけど、監督にそう思われていると思うとなんか恥ずかしくなってしまって、映画祭の時はちゃんと喋れていないんです…。

ーサンダンス映画祭で涙が出てきたというのは、第三者視点から作品を受け取れたからなのでしょうか。

森:そうだと思います。第三者として作品を受け取った自分と、自分が演じてきたじゅじゅの目線が混ざっていて、改めて作品を見るとじゅじゅが受け取ってきた言葉や影響に、ちゃんと悲しくなったのかもしれません。

撮影中は、じゅじゅとして現場にいてお芝居をしていたので、辛くてもヘラヘラしながらできちゃうみたいな部分もありました。だからサンダンス映画祭での体験は不思議で、初めての感覚でした。

撮影現場・歌舞伎町で触れたリアル「この出来事が勉強になりました」

ー映画の舞台となっている歌舞伎町で実際に撮影をされていて、受けた刺激や感じたことなどはありますか。

森:歌舞伎町では、喋りかけられることが多かったです。歌舞伎町に住んでいる少年に「俺が本物だー」って言われたり…。

でも、“そこにいる人たちが、そこにいることに誇りを持っている”ということが一貫していて、この出来事が「こういうマインドか」と勉強になりました。

ーその体験が、実際にじゅじゅとしてのお芝居に役立ったのですね。

森:じゅじゅにとって「大きな声を出す」というのは感情の高まりがトップに達した時にしかできないので、彼らの行動が直接じゅじゅのお芝居になったわけではないかもしれません。

でもプライドを持ってそこに生きているという思いや独特の強さみたいなものは、言葉で説明されるよりもずっと説得力がありました。

ただニュースで見るよりも実際の状況やディティールが分かりましたし、現地に生きる彼らに触れて、映画の物語やキャラクターに対する解像度が上がったと思います。

ー実際に歌舞伎町に行ってみて、新たに気づいたことはありましたか。

森:第三者として今までニュースを通して知っていたことと全く違うということは少なかったです。

ただ現場に行った後は、大人の思う“守る”と、じゅじゅ達が思う“守られる”は全然違っているんだと、その基準が変わったような気がします。

そのうえでどうかお互いが幸せなちょうどいい場所が見つかったらいいなということを思いながら、撮影をしていきました。

ーリアルな空気感を肌で感じられたからこそ、イメージできたものがあったのかもしれません。現場の雰囲気はどうでしたか。

森:不思議な雰囲気でした。ピリピリもしていないけど、ゆるゆるなわけでもなくて。

この映画に似つかわしくないくらいのフラットな感じでした。今回がお芝居初めての子もいましたし、みんな手探りなはずなのにすごく安定した空気感で撮影できました。

私は今回の映画で受けのお芝居が多かったので、座長としてみんなを引っ張っていかなきゃという気持ちが必要なかったのはラッキーでした。今回の作品でみんなとご一緒できてありがたかったです。

ー共演者の方には同年代の方も多くいらっしゃったかと思います。撮影の休憩中にお話しされたことなどはありますか。

森:何か話しましたけど、本当に他愛もない話で、多分全員何も覚えていないような話ばかりでした(笑)。

でも映画内のキャラクターたちもそういう何気ない時間を歌舞伎町で過ごしていて、その中に悲劇があるような物語だから、共演者のみんなとは映画とリンクしたような良い時間の使い方ができたんじゃないかなと思います。

次ページ:森さんのプライベートについてお聞きしました! 「自分の選択を信じて生きています!」

1 2 3
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事の監修者

ユーウォッチを運営する株式会社GEARの代表です。通信(Wi-Fi・光回線)からVODまで幅広い分野に精通し、ユーザー目線で分かりやすく正確な情報発信を心がけています。

目次