noteでは短編小説を公開。文字を書くことは、感情を保存しておく方法のひとつ。

ーたくさん本を読んでいて、noteで短編小説を公開するなど、言葉に造詣(ぞうけい)が深い庄司さん。そんな庄司さんだからこそ心に残ったセリフやシーンはありますか?
庄司:初めて聞かれる質問だなぁ…。嬉しいです、ありがとうございます。
黒木(啓介)という役がありまして、アルコ&ピースの平子(祐希)さんが演じてらっしゃるんですけど。平子さんが「すずめーぃっ」って呼ぶ、その言い方。それだけで黒木っていう人物の温かさが伝わるし、二人の関係性がよく見えるんです。
名前を呼ぶセリフだけでキャラクターの造形をガンって見せられるんだっていう衝撃。まだまだ僕にはあんな風にできないと痛感させられました。
印象に残っているシーンは、雀と慶司が意見を強くぶつけ合う場面。慶司が雀に対して、「年上だから、上司だから」というようなことを言ってしまうんです。
それってふたりが向き合ってきた問題だけど、直接言葉にするのってけっこう失礼だし、雀も気にしてることだからあまり言ってこなかったことなんです。
でも、感情的になって思わずぶつけてしまう。だから僕としてもすごく印象に残っているし、それを受け取ったときの風間さんの張りついたような顔が脳裏に強く焼き付いています。

ー言葉を紡ぐことは、今後も続けていかれるのでしょうか?
庄司:続けていけたらなと願っています。電子かリアルかはまだわからないですが、書籍化できたらいいなという野望をひそかにずっと抱いていて。
実は、うちの母も一時期ものを書く仕事をしていたんです。母が言ってたのが、「技術は後天的に身につけるものだから、稚拙かどうか、駄文かどうかは一旦置いておく。でもその瞬間にしか書けないことがある」って。
僕が20歳の時に思ってたことを25歳の僕が今鮮明に思い出せるかというと、残念ながら無理なんです。当時思っていた、ハッピーなこと、悲しいこと、悔しいことを今書いたり、表現するのはおそらく難しい。
リアルタイムで文字化しておくと、汚い文章だなとか、構成がぐちゃぐちゃだなとか、である調が途中からですます調に変わってるなとかはありつつ(笑)、その瞬間に感じていたことが如実に現れていいな、と思うわけです。
だから、2、3年前に書いた文章は下手くそだなって思うけど、その当時思ってたことがありありと残っていて、それはそれで気に入っているんです。
そういった意味で、僕の場合はその時の感情を保存しておく方法のひとつが文字を書くことだったっていう気がしますね。
その方法が写真の人もいれば絵や歌の人もいるだろうし、もっと別の形で残したり、単純に残さない人もいると思いますが、僕は文字です。
ー同じ立場の人間(編集者・ライター)として、とても刺さりました。書いたものの反応を読むのもまたおもしろいですよね。
庄司:面白いですよね。僕の場合、noteのコメント欄を開放していて。自分が書いたものを、意図していなかった方向で解釈して受け取ってくださる方がいたりするんです。
でもそれは受け取る人の自由で正解も不正解もないから、すごく面白いなぁと。
興味がある方はぜひ読んでみてほしいんですが、九段理江さんという作家さんがいて。AIに5%書いてもらった小説「東京都同情塔」で芥川賞を受賞して話題になった方なんですが、今度は95%をAIに書いてもらうという企画をやっていて、とても面白かったです。
ー表現方法として、演技や文章、外国語などたくさんのチャンネルをもっていて、すごくいいですね。
庄司:ちなみに、どんなチャンネルを新しく持ったらより強い人間になれそうでしょうか、私は(笑)。教えてください!
ー絵でしょうか。文章を読む人が減っている時代で、文字を読まない人の感情を動かす方法は、やっぱり絵かなと。視覚的なものってきっといいと思います。
庄司:絵かぁ。大丈夫かな。僕。
中学も高校も、美術の筆記は90点台だったのに、絵が下手くそすぎて成績は一生3だったんですよ。
絶対4か5を満たしてる点数なのに、と思って、一回先生のところへ「どういうことですか!」っていったら、「ごめん。お前の絵には3以上はあげられない」って(笑)。
ー大丈夫です、それは美術の先生の考え方なので!(笑)棒人間でもいいと思います。
庄司:そうか、救われました(笑)。
noteのヘッダーのところとか、描いてみます。
いま、京王線沿いの風景写真ばっかりなんですよ(笑)。僕、大学が小田急線沿線だったから、綺麗な景色がどこにあるか、なんとなく知ってるんです。
庄司さんが『30までにしたいこと』は…