2026年2月6日公開の映画『ほどなく、お別れです』は、葬祭プランナーが故人と遺族に寄り添いながら、悔いの残らない葬儀を模索する姿を描き、誰もが経験する「死」と向き合うヒューマンドラマです。
本作にて、久保田宏之役を演じた渡邊圭祐(わたなべ けいすけ)さんにインタビュー。作品の魅力や演技への取り組み、共演者の志田未来さんや目黒蓮さんとのやりとりなどを語っていただきました。
映画「ほどなく、お別れです」作品紹介
就職活動が失敗続きで困っていた清水美空(浜辺美波)には、「亡くなった人の声を聴くことができる能力」があり、彼女の秘密に気付いた漆原礼二(目黒蓮)にスカウトされ、その才能を生かせる葬祭プランナーになることを決意。
葬儀会社「坂東会館」の葬祭プランナーとして、妊婦の妻を亡くした夫、幼い娘を失った夫婦、離れて暮らす最愛の人を看取れなかった男など、さまざまな人と向き合うことに…。
美空は、仕事に対して厳しい姿勢を貫く葬祭プランナーの漆原の指導に心が折れそうになりながらも、徐々に信頼感を得るようになっていく。
(※映画「ほどなく、お別れです」公式サイトより引用)
2026年2月6日公開
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今作で初めての父親役「父性が生まれた」

ー今回で2回目のインタビューとなるのですが、前回が「恋愛禁止」の郷田肇さん役の時だったので、顔つきが全く違うように感じました。
今作で演じられた久保田宏之さんの魅力や人となりをお伺いできればと思います。
渡邊圭祐さん(以下、渡邊):そうですね。
今回演じた久保田宏之は、娘の比奈ちゃんを亡くした悲しみもあるんですけど、それと同時に憔悴しきった妻の理恵をどう支えていいか分からない、そういう思いも抱えている人物だと思います。
「父」として「旦那」として、というこの2つの間で揺れ動く振る舞いをすごく深く考えながら演じていました。
映画ではお葬式までの時間はあまり語られていないのですが、すごく妻想いで、妻愛にあふれていて、娘愛にもあふれてるそんな男性だと思っていました。
ー揺れ動く振る舞い、というのは妻への愛と娘への愛から来ているのですか?
渡邊:そうですね、そうだと思っています。
衣装合わせの段階から三木孝浩監督とも、「娘の死とどう向き合う人物なのか」という話をしていました。
自分の中でのイメージですが、久保田家では父の宏之が主に働いていて、母の理恵も仕事はしているものの、比奈と一緒に過ごす時間は理恵の方が多かったんじゃないかと思います。
最初に台本を読んだ時も、僕は娘と多くの時間を過ごしてきた妻の方にぐっと感情が入りました。
もちろん宏之も悲しんではいますが、「これからもっと妻を支えてあげなきゃ」と思っているくらい、家族の父親としてすごくいい人なんだろうなというお話を監督としました。

ー三木監督とのお話から役を作り上げていきましたか?
渡邊:そうですね。
役作りをしながら「この人にとって耐えられないのはどんなことなんだろう」って思った時に、もちろん娘が亡くなったことは悲しいけど、奥さんが悲しんでいることが悲しいだろう、と気づきました。
登場人物が全員悲しんでいるから、感情の動きは見えやすかったです。
ストーリーを追っていくにつれて受動的に感情が動いていきました。
ー初めての父親役はどうでしたか?
渡邊:父性が生まれましたね(笑)。
さすがに生まれちゃいました。
ーそれは役の子を見てでしょうか、それとも役作りとしてでしょうか?
渡邊:両方だと思います。
子役の方と現場で接する機会はこれまでもあったんですけど、”自分の子”という見方をしていなかったので、今回は父性が生まれました。
「自分の子、やっぱり可愛いな」という感じはありました。
ー家族の役ですが、3人で撮影中は何かお話はされていましたか?
渡邊:志田さんと比奈ちゃん役の子役が、好きなアイドルが一緒だそうでとても仲良くなってました。
僕はその話題には詳しくないので、話には入れず2人を眺めていたんですけど、なんか嫉妬しちゃいました(笑)。
ー一般的にそういう家庭は多いと思います。
渡邊:そうですね。
でもやっぱり悲しいと思いました。
子供ができたら仕事辞めようかなとも思いました。
そんなことは、きっとないですけど(笑)。
言葉じゃない所にグッと来る映画

―漆原さんの「ほどなく、お別れです」という言葉に心を動かされたとお話しされていましたが、その言葉をどのように受け止めましたか?
渡邊:最初に作品タイトルとして聞いたときは、ポスターの青色も相まって少し明るい響きに感じましたが、活字で読むとただ悲しい言葉にしか思えませんでした。
ただ、撮影現場で実際にその言葉を聞いたときには、同じ言葉なのに温かさを感じたのが印象的でした。
葬儀場に入ってからのシーンは、劇中で妻・理恵と初めて横に並ぶ瞬間でもあり、前向きな変化を象徴する場面でした。
そのときに語られる「ほどなく、お別れです」という漆原さんの言葉は、作品全体の中でも特に強く印象に残っています。
―ほかにも、作品の中で強く印象に残っているシーンやエピソードはありますか?
渡邊:久保田家のエピソードに登場する、カンガルーのぬいぐるみのルーちゃんや、折り紙で作った金メダルが印象に残っていますね。
ほかにも、心に刺さるワードも多く出てきましたし、それを受けて涙ながらに言葉を発する志田さんの様子も強く胸に残りました。
最初に台本を読んだ時は北村匠海さんと古川琴音さんが演じた柳沢夫妻の物語にもグッときました。この作品は、言葉そのものよりも、表情や沈黙、深い悲しみの中にある感情に強く心を動かされる映画だと思います。
ー原作を読んだ方でも、久保田夫婦の話が一番グッときたとおっしゃってる方も結構多かったのですが、この作品の魅力、難しさについて教えていただきたいです。
渡邊:どの作品でも、役を演じる前に多くの想像をしますが、今回は特に志田さんの存在が大きかったと感じています。
シリアスな題材なので、演じていく上での難しさもすごくありました。同じ境遇の方がいらっしゃった時に、「そんなふうには感じられない」と思うような人もきっといると思います。
失ったという悲しみをゼロにすることはできなくても、その悲しみの大きさを少しでも和らげることはできるのではないか。そこをどう表現するか、ずっと悩んでいました。
そんな中で、志田さんの演じるエネルギーがすごくありがたく、そのエネルギーに引っ張られるようにして、父親という役を最後まで演じ切ることができたと思っています。
観る人にとっては、つらいと感じる場面も多い作品だと思いますが、それと同じくらい、心が明るくなる瞬間もたくさんある映画です。
ただ単純にハッピーになる物語ではなく、しっかりと涙を流した上で、「この結末でよかった」と思える不思議な魅力がある。それが『ほどなく、お別れです』という映画だと感じています。
人見知りはしないタイプの渡邊さん「居酒屋で隣の人に話しかける」

ー今回、映画『わたしの幸せな結婚』(2023年)以来、2回目となる目黒蓮さんとの共演ですが、撮影を通して目黒さんとはどんな会話をされましたか?
渡邊:実のある会話はしてないです(笑)。
それでも、一番話しかけに行っていた気はします。
目黒蓮さんは撮影の間も集中している人なので、話かけられそうな時には積極的に話しかけましたし、逆に話に来てくれたこともありました。
スタッフさんからも言われたんですが、「目黒くんがあんなに共演者の方と楽しそうに喋ってるの初めて見ました」と言われました。
―以前『女神降臨』で綱啓永さんにお話を聞いた際、渡邊さんは「コミュニケーション力がすごい」と話していました。どの現場でも、共演者の方とはよくお話しされているでしょうか?
『女神降臨』綱啓永さんインタビューは↓
渡邊:そうですね。いろんな現場で共演者の方々とコミュニケーションをとりますね。
せっかくなら仲良くなりたいなと思っています(笑)。
コミュニケーション力については、一人で居酒屋に飲みに行っても隣の人と話すこともあります。

ーすごいですね!どんな話をすることが多いですか?
渡邊:あまり覚えてないです。
本当に実のない会話をするのがすごい得意なんです(笑)。
話題に出たキーワードだけ覚えていることはあり、それを会話の時にきゅっとつなげて「この前こう言ってましたよね」というような会話の仕方が好きなんです。
「おもしろいことを話そう」というより、「この人はどんな人なんだろう」ということに興味があって、知りたいだけなんです。だから、質問そのものにあまり意味はありません。
たとえば、スマホに犬の写真を挟んでいたら、「犬好きなんだ」「猫派じゃないんですね」「実家の犬ですか?」といった雑談をします。会話の中身は正直あまり覚えていないことも多いですが、次に会ったときには「犬好きって言ってましたよね」と思い出す。そこから、また自然に会話が広がっていきます。
ー人見知りはしないタイプですか?
渡邊:しないですね。
特に仕事場では、自分から話しかけるようにしています。
俳優は待つのも仕事とよく言われますが、待機の時間もせっかくなら楽しい時間にしたくて。
ー誰にでも声をかけるわけではない?
渡邊:作品について考えていそうな雰囲気のときは、話しかけないです。そうじゃないときは、自然と話しかけちゃいますね。
コミュニケーションというか、話す事が好きなんですね。
これから「いろんなことを楽しみたい」と語る渡邊圭祐さん

ー今後、映画の単独主演が決定して、神戸で撮影されたカレンダーも発売されて、3月にはイベントもあると思うんですが、今後のやりたいことなどはありますか?
渡邊:なにごとも楽しんでいたいです。
たくさんの役を演じさせてもらえるように、いろんなことを楽しみたいなと思います。
ー最近買ってよかったもの、やってよかったものはありますか?
渡邊:最近買ってよかったものは、去年の秋頃に買ったお掃除ロボットですね。
とても楽です。家にいない今でも、家で働いてくれています(笑)。
ー今は多忙だと思うんですが、リフレッシュ方法はありますか?
渡邊:地元に帰ることですかね。
ありがたいことに、最近は仙台でお仕事させていただく機会が多く、そのついでに地元に帰っています。
ー地元に帰ったらいつも何をしていますか?
渡邊:友達と飲むことが多いです。
そうやって過ごす中で、25歳くらいまでの自分のペースに戻れた感覚がありました。
―どんな感覚だったのでしょうか?
渡邊:「あ、俺もっと生意気だったな」って思い出したんです(笑)。
現場で「いい子ですね」とか「すごいちゃんとした方ですね」とか言っていただくことが多いんですけど、そんなことはないんです。
―「いい子」って誉め言葉じゃないんですね。
渡邊:そうです。演出家の方に「生意気というか、わがままでいいよ。すごく遠慮してるでしょ」って言われたことがあって。
遠慮しているつもりはなかったんですけど、空気を読んで一歩引いてしまう瞬間が確かにあったな、と。
なので、「いい子だよね」は評価としておもしろくない、褒め言葉じゃないって思ったんです。
むしろ、もっと生意気でいいんじゃないかって思うようになりました。もっとガツガツやっていいんだって思いましたし、仙台に帰ったことで、その言葉の意味にちゃんと気づけた気がします。やんちゃに頑張ろうって思いました。
ーありがとうございました。

渡邊圭祐(わたなべ けいすけ)プロフィール
1993年11月21日生まれ、宮城県出身。主な出演作は、映画「わたしの幸せな結婚」(2023)、「八犬伝」(2024)、大河ドラマ「光る君へ」(NHK/2024)、「財閥復讐〜兄嫁になった元嫁へ〜」(テレビ東京系/2025)、「まどか26歳、研修医やってます!」(TBS系/2025)。今後の出演作に3月20日釧路先行公開の主演映画「2126年、海の星をさがして」、4月29日公開の映画「SAKAMOTO DAYS」が控えている。趣味はロックフェス・読書・映画鑑賞。趣味はロックフェス・読書・映画鑑賞。
●Instagram @keisuke_watanabe_official
●X @w_keisuke93
撮影:髙橋耀太
ヘアメイク/秋月庸佑
スタイリスト/岡本健太郎