モーニングにて連載中の漫画「バガボンド(VAGABOND)」のネタバレをまとめました。
最新ネタバレをまとめているので、ぜひチェックしてみてください。
バガボンド37巻のネタバレここから
「助けてくれ」
武蔵は、生まれて初めて他人に対し、心の底から頼みました。
壊滅的な飢餓に襲われた村人達を助けるため、小倉細川藩の長岡佐渡に、頭を下げる武蔵は、自身も以前の強固な肉体が見る影を無くすほどやせ細っていました。
「すぐに食料をかき集める。そのかわり武蔵お前は…」
長岡とのある約束を引き換えに、武蔵は村に食料を持ち帰り、残された22人の村人は何とか生き延びました。
「ツテがあったならもっと早く行きやがれ阿呆め…」
既に自身も限界間近だった秀作は、小言を言いながらも安堵します。
村人に、そして伊織に食料を分ける武蔵。
絶望的な状況から、村人たちは一命を取り留めたのでした。
その頃、長岡の宿泊する宿には沢庵の姿がありました。
長岡から武蔵の様子を聞き、驚きながらも嬉しそうな沢庵は、過去の武蔵の姿を教えます。
「殺せ」
「命に価値は無い」
そんな事を口にしていた武蔵が、今では人の為に人に頭を下げ、田んぼという命を育てている。
沢庵は、武蔵との再会を楽しみに、再び旅立つのでした。
生き延びた村人達にも変化が起こっていました。
秀作に頭を下げ、もう一度田んぼを教えてくれ、さらには秀作の田んぼを貸してくれ、広げさせてくれという男衆。
女衆は、木剣を手に「剣を教えて欲しい」と武蔵に言い寄っていました。
「強くなりたい」
戦う事が目的ではなく、強くなりたい、大切なものを自分で守りたいとする姿が、そこにはありました。
秀作の指導の下、種籾からのコメ作りを武蔵と村人は真剣に聞いていました。
気候を読み、田植えの時期を見極める秀作は、頃合いを見て田植えを始めます。
村人達に田植えを教えながら、ついに田んぼに稲が根を張りだすのでした。
時折、女衆に剣を教えながら、武蔵は人一倍真剣に田んぼに足を運びました。
武蔵に田んぼの事を教えながら秀作は「もう十分だ。ここを出て行け」と武蔵に言います。
「弱い者の見えておらぬ今のうちに出て行け。ここにいたら戦えなくなる」
秀作は、武蔵を認めているからこそ、武蔵に旅立つよう促しますが、武蔵は収穫までここにいると言います。
夏が近づき、暑さが増してからも、武蔵と秀作は田んぼで話を交していました。
冬の飢餓の影響か、秀作は日に日に衰えている様子で、ある日体調を崩します。
武蔵がこの地へ来てから一年近く。
武蔵の監視役に村に滞在していた豊佐衛門は、小倉に手紙を書いていました。
冬、武蔵が食料と引き換えに長岡と交わした約束、それは小倉細川藩への士官だったのです。
体調を崩した秀作でしたが、武蔵の手を借りながら田んぼを見つめ、武蔵に様々な事を教えます。
それは、稲や田んぼの事だけでなく、人そのもの、自然そのもののような教えでした。
秋、ついに米は収穫時間近となりました。
育った稲を見て、秀作は「有難い。足らぬものは何もない」と心に呟き、倒れてしまいます。
すぐに起きたつもりの秀作でしたが、村人たちは自分を通過して走っていきます。
振り向くと、そこには倒れた自分の肉体と、それを見て悲しみ涙を流す武蔵や村人達の姿がありました。
最期に、実った稲を見て、秀作はその人生を終えるのでした。
収穫を終えた稲穂を村の祠に、眠る秀作に備える村人達は、来年の種籾を手に「何があっても守り通す」と、誓いを立てます。
武蔵に、そして秀作に守られた村を、米を、自分たちで守ろうと、村人たちは自立します。
そして、武蔵は約束通り、小倉へ旅立つのでした。
【漫画】バガボンドを読んだ感想
他人の為に、生まれて初めて他人に頭を下げる武蔵は、「強さ」よりも「自分」よりも大切なものを、この村で得たようでした。
士官は自分の望まない道、しかしそれを引き換えにする事で村人が助かるのであれば、この時の武蔵には比べる理由はなかったのでしょうね。
伊織を、村人を、田んぼを守った武蔵。
秀作が口にした「弱い者の見えておらぬ今のうちに出て行け。ここにいたら戦えなくなる。」という言葉には、いろいろな意味が含まれていたのでしょうね。
村から孤立し、一人米を育ててきた秀作は、最後に全てを村に伝え、他界してしまいました。
長老であった九兵衛の願いを、秀作は全うしたのでしょうね。
最期は、村人に、武蔵に感謝しながら、そして嫌い合っていた村人達に涙を流されながら、土へ還りました。
「片脚は土の上においといてくれよ」
秀作は、武蔵に武士に戻って欲しいと思いながらも、ここで学んだ命を忘れて欲しくなかったのでしょうね。
【漫画】バガボンド38巻に向けての展望と考察
ついに、武蔵は小倉細川藩へ行く事になりました。
約一年、過ごしたこの村での生活は、人ではなく土と、稲と、自然との闘いでした。
命を覚え、自然を学んだ武蔵の剣は、また今までとは違う太刀を、違う意味を持って振られる事でしょう。
伊織も、武蔵と共に村を出ます。
城太郎とどっちが弟子だのの言い争いが、どこかで勃発しそうですね。
武蔵の向かう小倉には、小次郎が既に指南役としています。
氏家との指南役争いで小次郎の小倉編は終わっていますので、城内でのいざこざが、次巻から楽しめそうです。
沢庵は、旅立つ際に「次は小倉で。皆で会えるかな?」と言い残しています。
おつうや城太郎も小倉へ呼び、武蔵と再会させるのではないでしょうか。
武蔵の小倉編から、小次郎との巌流島までの戦いまで、まだ幾つかの物語が生まれそうですね。