とうもろこしの島

1992年以降、ジョージアとアブハジアは激しい戦争状態にあった。間に流れるエングリ川の両岸で兵士がにらみ合う中、アブハジア人の老人と孫娘は中州の小島でとうもろこしを育てていた。ある日、この小島に傷を負った若いジョージア兵が逃げ込み…。

「とうもろこしの島」は、戦争の不条理と愚かさを痛烈に描き出す作品です。物語は、深い森と大河の流れの中で、とうもろこしを黙々と育てる老人と孫娘の日常を描きます。ときおり聞こえる銃声が、平穏な日常と戦争の存在を対比させ、戦争は何のために行い、誰が行うものなのかという問いを投げかけます。大自然のめぐりと人間の営みを対比させながら、戦争の意味を深く問う作品です。