破れ太鼓

家族に対して支配的、何かあればすぐに怒鳴り散らして手を上げる典型的な頑固親父の軍平。一代で財をなした自分を当然家族は尊敬していると思い込んでいるが、長男は軍平の会社を辞めようと目論み、長女は軍平の進める縁談をよそに別の男と付き合っていた。

「破れ太鼓」は、名匠・木下恵介監督が阪東妻三郎を主役に迎えて制作した傑作喜劇です。阪東妻三郎は、昭和の典型的な頑固親父を見事に演じています。彼のキャラクターは、戦後の自由を享受する家族に反旗を翻され、それまでの横暴ぶりがうそのように落ち込む姿が描かれています。その姿は切なさと愛おしさを感じさせ、観る者の心を引きつけます。この作品は、時代劇のスーパースターと名匠のコラボレーションによる、見逃せない一作と言えるでしょう。