ランジュ氏の犯罪

アメデ・ランジュは小さな町工場で働くかたわら、仕事の合間に冒険小説を書いている。金と女にだらしない社長のバタラは、経営が傾くとランジュをだまして彼の小説を無断で出版する。小説はベストセラーとなるが、バタラは行方をくらましてしまう。

「ランジュ氏の犯罪」は、主人公ランジュがなぜ犯罪に至ったのかを回想録形式で描いたサスペンス作品です。フランスを代表する監督、ジャン・ルノワールによるフィルムノワールで、社長の下衆さに辟易する中でのランジュの心情を巧みに描き出しています。後半部分では作風が一変し、見事なラストシーンへと導かれます。ルノワール監督の手腕が光る作品で、テンポ良く展開するストーリーと緻密な人物描写が魅力です。