田園に死す

青森県の下北半島で母とふたり暮らしをする少年は、恐山の霊媒に会いにいき、死んだ父を口寄せしてもらうことが唯一の楽しみだった。ある日、村にサーカス団がやってきて、少年は団員からよその街の様子を聞く。村を出たくなった少年は憧れの女性を誘い…。

「田園に死す」は、寺山修司が自身の同名歌集を映画化した作品です。主人公は美化された少年時代の記憶を胸に抱きつつ、過去の現実と向き合います。寺山自身の自伝的な物語が鮮烈かつ儚く描かれており、接してきた女性に対するトラウマを抱え続ける男性の姿が斬新な構成で表現されています。過去と現実、理想と現実の間で揺れ動く主人公の心情が深く描かれている作品です。