【北川都喜子インタビュー】海外作品『One Night in Tokyo』で初主演。2月に結婚し公私ともに充実の日々

インタビュー
インタビューニュース

カリフォルニア州の CINEQUEST 映画祭(2024年3月8日開催)で、上演作品250作の中からスポットライト7作品に選ばれた『One Night in Tokyo』(ジョシュア・ウッドコック監督作品)。

東京を舞台に撮影されたこの映画に、モデル出身の女優・北川都喜子さんが主演しています。日本で開催される秋の国際映画祭にも出品を希望している、この映画の見どころや裏話、気になるプライベートを聞きました。

『One Night in Tokyo』映画概要

日本に住む遠距離恋愛中の恋人に会いに来た、アメリカ人のサム。しかし2人は日本に到着してすぐに別れることになり、彼は勢いで翌日の帰国便を予約する。出発時間まで東京で過ごすことになったサム。

その夜、予定ではサムと恋人ともう一人の友達と3人で飲みに行く予定だったが、2人が別れることになったため気まずくなり、飲み会はお流れ。その日本人の恋人である彩夏が、なぜか成り行きでサムのアテンド役を引き受けることになった。

日本語が話せないアメリカ人男性と、英語が話せない日本人女性。育った環境も文化も、言葉も違う2人が、一晩のうちにさまざまな出来事を通じてお互いを理解し、人間的に成長していく…。人生のターニングポイントに立ったときの心の葛藤や、国境を越えた友情が描き出される。

リアルな東京を舞台に、バックボーンの違う男女が一晩で人生観を変えていく

―『One Night in Tokyo』は、文字通り、東京での一夜が描かれていますが、この映画のテーマを教えてください。

北川都喜子(以下、北川): みなさん誰しも、人生の危機とかターニングポイントに直面することがあると思います。そんな瞬間、自分と向き合って自分はどうあるべきか、ということを考えさせてくれるような作品です。

きっと人それぞれ、考え方のパターンや自分の殻を持って生きていると思うのですが、それを一旦取っ払ってみると、実は今送っている人生よりもっと豊かで充実した人生が送れる可能性があるかもしれなくて。

この映画を見て、新しい自分を発見するとか、今の自分を変えてもいいのかもしれない、みたいな気づきを得てもらえるんじゃないかなと思います。

数日前にカリフォルニアの CINEQUEST 映画祭から帰ってきたばかりなんですが、ワールドプレミアには若い人だけでなく年配の人もたくさん見に来てくださり、「すごく共感した」って言ってくれました。

ある人は泣きながら私のところにやってきて「私も過去に似たような経験があって、涙が止まらなかった」と。いろいろな人に見てもらいたい気持ちはあったのですが、そんな風に受け取ってくださる方もいらっしゃるんだというのが新しい発見でした。

―海外作品の中で、東京がどう描かれるのかも見どころのひとつだと思います。北川さんにとって、特に印象に残っているシーンを教えてください。

北川:私が一番好きなのは、神社のシーンですね。神社って日本人の中ですごく大切な場所。彩夏がサムを神社に連れて行く意味はなんなんだろう、ってすごく考えました。

サムが「何のために手を合わせるのか、どんな願い事をしたのか」って彩夏に聞くと、彩夏が「神社はお願い事じゃなくて、未来に感謝を伝えにくる場所なんだよ」って答えるんです。

未来に感謝ができる人って、自分のことを信じている人だよな、と思ったらすごく素敵だなと思って。なにより「未来を信じることが、日々の力になる」っていう彩夏の考え方が好き。だから撮影後の今も、落ち込んだ時に彩夏のセリフを思い返すようにしています。

初の主演作が海外作品に。主役に決まるまでの経緯

―そもそも初の主演作が海外作品というのがすごいです。この作品の主役に抜擢されたきっかけは何だったのでしょう。

北川:最初に相手役(サム)のレザさんの主演(W主演)が決まっていました。ジョシュア監督は「この『One Night in Tokyo』のサムと彩夏は、“chemistry(2人の相互作用や相性)”がすごく大事」と考えて女優を探していたものの、彩夏役にはまる人がいなくて、選考が長引いたと聞いています。

監督がレザさんに「相性のいい子がいたら紹介して」と言って、彼が推薦した何人かのうちの1人が私でした。レザさんとは、CM撮影や演技のワークショップで顔を合わせていたご縁があったので。

―海外作品のオーディションって想像がつきません。

北川:ここ数年、海外のオーディションを集中して受けているんですが、自宅で自分を撮影して送る“セルフテープオーディション”が多くて、今回もその形でした。

受けている役がどんな役なのかは、台本の枚数やシーンからなんとなく分かるものなんですが、この『One Night in Tokyo』のオーディション用に渡された台本は2シーンくらい、ほんの4ページで。

それを読んでも、彩夏という子の映画の中でのポジションが全くわからなかったんですよね。オーディションでは「たぶん脇役だろうな」と思って受けていたのに、決まってからすべての台本を渡されて初めて「主演だよ」って言っていただいたという(笑)。

―もちろん撮影チームも外国人ばかりですよね。撮影中、コミュニケーションの大変さはなかったですか。

北川:それが全然!撮影チームはみんなバイリンガル。私も日本語と英語を交えてコミュニケーションをとっていました。モデル時代に香港やシンガポール、台湾などに行くこともあって、現地では英語でコミュニケーションをとりながらお仕事をしていたので、その意味でも意思疎通の不安はなかったですね。

こちらがどれだけ片言の英語だろうと、伝えようという思いが強ければ、分かり合える瞬間は必ず訪れるものだと分かっているので。英語の発音についてはまだまだですが(笑)。

シアトル在住の監督とオンラインミーティングを重ねて役作り

―彩夏は、トラウマを抱えながらも自分をしっかり持っている女性です。どうやって役作りをしていったのでしょうか。

北川:シアトル在住のジョシュア監督とは、撮影に入るまで、週3日、毎回1~2時間かけて、オンラインミーティングをして役について話し合っていました。

彩夏のバックグラウンドや、彼女ならこんなときどう動くか、といったこと…。「リアルな東京を描きたい」という監督の言葉があったので、当初の台本ではすべて標準語だった彩夏の言葉を、ときどき関西弁を交えた標準語で演じてはどうかと提案したのも私です。

東京には地方出身者も多く、私自身、大阪出身です。普段はよそ行きの自分を見せようと標準語で話すけれど、期せずして感情が動くときって、突然標準語から関西弁に切り替わってしまう。

日本の人にしか伝わらないかもしれないけれど、そんな、言葉を通して人と人の距離感が縮まる瞬間を、映画を見ている方が気づいてくれたら面白いだろうなと思って。監督は快く受け入れてくださったので、英語の台本の彩夏のセリフをすべて標準語と関西弁に直していきました。

どんな役を演じるときもそうですが、私は作品の中で自己主張するのではなく、監督の伝えたいことを伝えるための“ひとつのパーツ”になることを心がけています。今回は特に日本とアメリカの文化が交じり合う作品だったので、彩夏の些細な行動ひとつひとつを確認し合いながら、監督と一緒に「彩夏」を作り上げていきました。

あと、めったにないことだと思うんですが、映画の音楽の試作を作曲家の方に事前に聞かせてもらえることができたんです。これはすごくラッキーでした。音楽をヒントにして、作品の世界観を答え合わせできたのもありがたかったです。

今年の2月に結婚したばかり。映画の台本を読んで、演技のヒントをくれた夫

―ちなみにプライベートでは、2月にご結婚されたそうですね。お相手はどんな方ですか?

北川:夫はニカラグアと日本のハーフです。お父様の仕事について各国を転々として育った人で、国際感覚がとても豊か。私も自由奔放な性格で、日本という枠にこだわらない人の方が一緒にいて楽しいので、気が合いました。

“映えない”料理しか作れない私と反対で、彼は料理が得意な人。「料理は俺がやる!」って、いろいろ作ってくれてます(笑)。なんか、でこぼこしたお互いの得意と不得意を支え合って、二人三脚で暮らしています。

実は今回の映画でも、夫にたくさん助けてもらいました。彼は英語の台本を読みこんで、ネイティブの視点で、その国の文化から来る些細な行動の由来とか、「この発言は、たぶんこういう意味だよ」というヒントをくれました。

―最後に、これからの活動の目標や決意を教えてください。

北川:秋に開催される日本の映画祭に『One Night in Tokyo』の出品を希望しているので、それが叶えば嬉しいなと思っていて。今回のこの映画の主演をきっかけに、どんどん映画関係の人脈を広げたいなと思っています。

これからやってみたい役は、作品の中で成長したり、転落したりといろいろ人生に変化がある役かな。新しい作品にどんどん使ってもらえるような役者になりたいですね。

今はプライベートも仕事も境界がないような生活を送っているので、来るチャンスをひとつひとつ、確実に積み上げていけるように、一瞬一瞬を大事にしていきたいと思います。

―『One Night in Tokyo』の日本での公開が楽しみです。今日はありがとうございました。

北川都喜子(きたがわときこ)プロフィール

大阪出身、1986年12月2日生まれ。2007年よりモデル活動を開始。2011年度三愛水着イメージガールに就任。日本、香港、台湾、シンガポールでモデルとして活動しつつ、女優としても活躍。主な出演作に『ファーストペンギン!』(日本テレビ系・6話・9話)、『私の年下王子さま~Winter Lovers~』(Abema TV)、『ヨソで言わんとい亭』(テレビ東京系)、舞台『海街 diary』ほか。CM にも多数出演。2023年8月にYouTube『北川都喜子のTOKI Channel!』を開設。

●Instagram https://www.instagram.com/tokiko_kitagawa/
●X https://twitter.com/Tokiko_Kitagawa
●YouTube https://www.youtube.com/@Tokiko_Kitagawa

タイトルとURLをコピーしました