『子宮恋愛』で松井愛莉が悩み抜いて演じた大人の愛。「私に演じられるのかと不安でした。」

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タイトルが目を引く新ドラマ『子宮恋愛』。SNSで話題となった人気マンガの実写化であるこの作品は、モラハラや愛のないセックス、不倫など、大人の愛がテーマです。

「出演をギリギリまで悩んだ」という主演の松井愛莉さんに、ドラマへの思いや撮影の裏側、結婚に対する考え方の変化などを伺いました。

ドラマ『子宮恋愛』作品紹介

「私の子宮が恋をした。」衝撃のラブストーリーついに実写ドラマ化!

私の子宮が恋をした。だけどそれは、夫とは別の人でした。

苫田まき(松井愛莉)は、ハウスメーカーの営業事務として働く29歳。仕事をテキパキとこなして同僚からも信頼されるまきだが、自分の気持ちを主張できない性格で、結婚して6年が経つ夫・苫田恭一(沢村玲(ONE N’ ONLY))にも本音が言えない日々に悩んでいた。
ある日、上司からの失礼な質問に愛想笑いしかできないまきを見ていた会社の同僚・山手旭(大貫勇輔)から、「見ていてイライラする」と言われてしまう。だが、冷たく突き放したと思えば、体調を気遣う優しさも見せる山手の距離感に戸惑うまきだが、山手から突然キスされてしまい――!本能的に恋をしてしまった山手と、既婚者としての立場の間でまきの心は大きく揺れ動く。
一方、まきにそっけない態度をとる夫は、まきの憧れの先輩・寄島みゆみ(吉本実憂)と――?
ホルモンバランスも理想の夫婦像も崩れてしまったまきの婚外恋愛の行方は――?
読売テレビ(関西)2025年4月10日(木)夜0:59~、FBS福岡放送 4月12日(土)夜0:55~放送開始。

『子宮恋愛』公式サイトより引用

子宮恋愛
苫田まき(松井愛莉)は、ハウスメーカーで営業事務として働く29歳。結婚して6年になる、夫・苫田恭一(沢村玲)との生活は冷めていて、日々の繰り返しに虚しさを感じていた。そんなある日、自由奔放な...

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自分に演じられるか不安で、ギリギリまで出演を悩んだ

「子宮恋愛」、タイトルが目を引く今回のドラマは、婚外恋愛というテーマを扱っています。この作品に出演しようと決めたきっかけを教えてください。

松井愛莉さん(以下、松井):実はこの作品に出演するか、かなり悩みました。タイトルのインパクトもすごかったですし、恋愛ものに出演することも久々。しかも婚外恋愛がテーマで、ラブシーンもある。当初は、私に演じられるのかと不安でした。

私が演じた主人公のまきは感情を表に出さない性格なので、表情の演技も難しそうだと思いました。

「子宮で恋愛する」…、多分本能で相手を欲するっていうことですよね。私自身、まだ今一つ感覚的にはわからなくて(笑)。演じてみて、大人の恋愛って難しいなと思いました。

今まではラブコメが多かったので、きちんとした大人の恋愛ドラマは、私にとってのチャレンジではあったかな。撮影が終わった今になってみると、素直に“やって良かったな”と思います。

やって良かったと思えたのはなぜですか。

松井:とにかく撮影現場が楽しかったんです。

あとは、まきが昔の自分にそっくりで、すごく共感できたから。自分に近いタイプの役は今までもあったのですが、「言いたいことがあるのに言えない…」みたいなまきの性格が、仕事を始めた頃から20代前半までの自分と重なる部分が多かったんです。

役作りの際は、昔の自分の記憶を探り寄せる作業をしていました。「あの頃、こういうことを思っていたよな」とか、「本音が言えなくて辛いのに笑ってしまう、それってすごくわかる」って。だからこそ、苦しむまきを演じていて、結構心がつらくなったりもしました(笑)。

今の松井さんは、昔と変わりましたか?

松井:自分としてはかなり変わったと思っています。まだ思っていることをハッキリ言葉にするのは苦手ですけれど、前より気持ちがオープンになりました。

主人公のまきは夫といまひとつ上手くいっていない。モラハラ気質な夫との関係を悩む中で、同僚の男性に本能的に惹かれていくという複雑で重い内容ですが、撮影はつらくなかったですか?

松井:確かに内容は重いのですが、現場でつらい気持ちのまま演じ続けていると、自分の心も落ちていく気がするので、カットがかかったら気持ちを切り替えるようにしていました。

「子宮恋愛」というタイトルから、大人の恋愛の雰囲気ですが、台本を読むと、実はすごく深い人間ドラマですよね。

松井:そうなんです。タイトルのインパクトで「ドロドロしている不倫もの」みたいに思われがちですが、実は本当にしっかりした人間ドラマで、それぞれのキャラクターの成長物語だなと思います。

それぞれ違うタイプの人間が集まっているので、台本を読んでいると本当に面白くて。一人ひとりキャラは違うけれど、みんな何かに悩んでもがいている。

そんな心の内を隠して生きている人もいれば、逆に大っぴらにして自分を強く見せている人もいるし、まきみたいに本音を言えない自分にもどかしさを抱えながらも「周りに迷惑をかけない方がいいや」みたいに自分の殻に閉じこもるタイプもいて…。

みんな表面だけでは分からない内面がある。人間って深いなあというのを改めて考えさせられました。

私が演じる主人公をはじめ、登場人物の成長を見守ってもらえたら嬉しいなと思います。いろいろな人に見てもらいたいですが…結婚していない人がこのドラマを見たらどう思うんだろう。内容が内容だけに、結婚するのが嫌にならないかな(笑)。

個性豊かな共演者に囲まれて楽しかった撮影期間

共演者の皆さんとは、現場でどのように過ごされていたんでしょうか?

松井:撮影中は皆さんと楽しくコミュニケーションできました。

山手役の大貫勇輔さんとは、いろいろなお話をしました。役についても話し合いましたし、大貫さんは舞台やミュージカルをやってらっしゃるので、そのことを教えていただいたり…初めてお会いした時は「品がある方だなあ」と思ったんですよ。ダンスをしているから姿勢もよくて、「私も現場でちゃんとしなくちゃ」と思わされました。

年齢も上なので、「私が相手役で大丈夫かな?」と不安はあったのですが、いざ撮影に入ると、お茶目な面も持っている。すごく面白くて、つかみどころのない方だなと思いました。本当に初めて会うタイプの方でしたね。

そして、割と役柄の“山手”っぽいんです!山手はブラジル育ちの日本人でオープンな性格。一方、大貫さんも海外経験があるし、照れもせず、さらっとみんなのことを褒められる。「うわ、なんか山手っぽい!」って思って見ていました(笑)。

夫の恭一を演じた沢村さんはいかがでしたか?

松井:沢村くんは同い年で、最初の印象はこれまた真面目な人だろうなぁと思いました。というのは、初めてお会いした読み合わせの時、沢村くんの話し方が私に対してプレゼンをしているみたいな話し方で! (笑)

「なんでだろう?」と思ったら、言葉を丁寧に選んで話されているからだと分かりました。「どうしよう、大貫さんと沢村くん、真面目な人に挟まれて私、演技できるかな…」と不安だったのですが、蓋を開けてみたら、沢村くんはすごく変な人でした(笑)。

変な人とは ?(笑)

松井:一人で喋っていたり、ものまねしたり、急に変顔をしてきたり。でも、同い年だからちょっとほっとできる存在でもあったり。寄島先輩 (まきの憧れの先輩) 役の (吉本) 実憂ちゃんも同い年だったので、こんなに同世代が集まる事ってなかなかないから、新鮮で楽しかったです。

吉本さんはどんな方なんでしょう?

松井:実憂ちゃん自身は、人懐っこくて小動物みたいで本当に可愛いんです!ただ役柄としては、信頼している先輩なのに、実はまきの悩みに直接関わっている人。ドラマでは徐々に微妙な空気感になっていきますが…。

実憂ちゃんとのシーン自体はつらいことの方が多かったですが、カメラが回っていない時は割と和気あいあいとしていて、美容の話なんかをしていました。

実生活でも結婚したいし子どもも欲しいけれど、ハードルは上がった

印象に残っているシーンがあればぜひ教えてください。

松井:まきが山手に「主人は (お酒を) そんなに飲まない人なので」と言ったとき、山手が「ね、その“主人”っていうの、やめたら? だって、苫田さんが苫田さんの人生の“主人”公でしょ」っていう場面があるんです。このセリフに、私自身、ハッとしました。

今の時代、結婚生活に悩んでいる人、子育てで忙しい人…いろいろな人がいると思うのですが、「もうちょっと自分にわがままでもいいんじゃないか」、「もうちょっと自分を甘やかしてもいいんじゃないか」と思っていただけたらいいかもしれないと思わされたシーンでした。

このドラマを通して、いろいろな見方があると思います。「この人のキャラクターは嫌いだけど憎めない」とか、4人の主要人物の誰に共感するかも、本当に人それぞれだと思うし。見ている人がどのキャラクターに感情を持っていかれるかは、結構気になるところではあります。

ちなみに、松井さんは誰に共感されました?

松井:共感で言うと、やっぱりまきかな。でも愛せるのは割と、まきを裏切っている恭一かもしれない。まきの立場から見ると許せない人ですけれど、実は恭一は「もの凄く一途な人」でもあるわけで。

今回、寄島先輩もまきも「女性であることがしんどい部分がある」と言いますが、ご自身は女性であることをしんどいと思うことはありますか?

松井:ありますね。私は結婚していないし子どももいないですが、子どもを産むのも女性だし、授乳するのも女性だし、生理でお腹が痛くなるのも女性。考えてみると、1ヶ月のうちに調子がいい時って本当に10日間くらいしかない気がして! 「女性って大変だな」と思いながら生きています。

そんな女性の大変さも含めて、ご自身のつらい時期をどう乗り切っていますか?

松井:落ち込む時は落ち込んで、その後は割り切る。あとは自分で食べたいものを食べてテンションを上げるようにしています。

何よりもストレスが大敵だと思っているので、自分なりにどこかで発散したり、美味しいものを食べる。気分転換に旅行に行くでもいいですし…。自分なりの気分転換の方法を見つけて、ストレスをできるだけ溜めないようにしています。

松井さんは12年前、ゼクシィのCMに出られていたときは「25歳で結婚して子どもを持ちたい」とおっしゃっていましたが、今は結婚についてどう考えられていますか?

松井:20代の頃はすごく結婚に憧れがあって、早く結婚して、早く子どもを産みたいなって思っていました。もちろん今も結婚はしたいですし、子どもも欲しいです。でも全然焦ってなくて。

それこそ、自分も年齢を重ねてきて「結婚が当事者の問題だけではない」ということも分かってきているし、「子どもが欲しいか欲しくないかも含めて価値観が合わないと結婚はできない」と思うようになりました。

そんなことを考えていたら結婚はできないだろうし、勢いは必要なんだと思うけれど、やはり昔より結婚のハードルもだいぶ上がっていますね。このドラマに出会って、一層結婚や人生について、しっかり考えるようにもなりました。

では、松井さんにとっての理想の夫婦像は。

松井:何でしょう…。お互いあまり干渉せず、尊敬できるところを尊敬し合って、楽しく過ごせたらいいなと思います。

親の教えを胸に、常に新しい役にチャレンジし続けたい

ここからは、素顔の松井さんについても教えてください。オフの日は何をしているんですか?

松井:私は田舎育ちで自然が大好きなので、休みがあったら自然の多い公園に行ったりしてリフレッシュしています。

あとは「今日はお酒を飲むぞ!」って決めたらお酒を飲んだりとか、「今日は頑張ったから甘いもの食べよう」とか、お風呂にゆっくり浸かるとか…。日常の中に小さな喜びを見つけるようにしています。

今年で芸能生活16年ですね。仕事をする上で大切にしている考え方があれば教えてください。

松井:ずっと親に言われてきた「挨拶はちゃんとする」と、「初心を忘れるな」という言葉は、いつも心に留めています。

また、芸能活動を始めたばかりのときや、仕事がつらくなって親に電話したとき、「今こうして仕事ができることをありがたいと思いなさい」と言われたことがあって。それ以来、常に感謝の気持ちを忘れないようにしています。

あとは、今回の役のように常に新しい作品、新しい役に巡り合えたら、チャレンジすること!ですね。

松井さんにとって、女優のやりがいとは。

松井:この仕事は、すべてがやりがいですね。

難しい役、私に理解できない役は、その人の感情を理解しようと自分の中でいろいろ考えたりするんです。女優という仕事をやっていないと、そこまで人の考えを深く考えることはなかったと思うので、それはやっぱり面白いですね。演じきれたときには本当に「やって良かった」と思えます。

役を通じて、自分とは違う考え方、いろいろな感情に出会えることが、いつも新鮮で楽しいです。

今後、演じてみたい役柄などはありますか?

松井:やってみたい役は、殺し屋とか(笑)。なんか爽快なコメディも久々にやってみたいなと思います。大人になると、新しい一歩を踏み出すのが怖くなってくるんですよ。なので、その感情をはねのけて、いつまでもチャレンジ精神を持ってやっていきたいです。

松井愛莉(まつい あいり)プロフィール

1996年12月26日生まれ、福島県出身。結婚情報誌「ゼクシィ」6代目CMガールに抜擢され、それ以降、モデル、女優と幅広く活躍。
近年の出演作はTBS「西園寺さんは家事をしない」、読売テレビ「シークレット同盟」(主演)、関西テレビ「ブルーバースデー」(主演) 、舞台「Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~」など。

●X @airi_staff

●Instagram @airi1226_official

ヘアメイク:相場清志(eif)
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取材・文:小澤彩
撮影:髙橋耀太