【中村俊介インタビュー】“イケオジ”と呼ぶにはまだ早い?若い世代も注目するイケメン俳優も来年50歳に

インタビュー
インタビューニュース

ドラマ『浅見光彦シリーズ』で16年もの間、主役の浅見光彦を演じた、俳優の中村俊介さん。185センチの長身を生かして、モデルから芸能界入り。

その後、映画やドラマに数多く出演し、ずっと第一線を走り続けてきた中村さんも、来年には芸能界デビュー30年の節目の年を迎えます。芸能界に入ったきっかけや代表作の裏話、若さを保つ秘訣を伺います。

「できることは何でもやりたい」精神で、モデルから役者の道へ

―中村さんは来年50歳。また、芸能界デビューからも30年という節目の年を迎えられますね。

中村俊介さん(以下、中村): あ、そうですよね(笑)。言われなければ気づかぬまま来年になっていました。たまに忘れるんですよ、自分の年を。

改めて言われると、時の流れを感じますね。まさか自分がこの仕事を、こんなにも長く続けられるとは思っていませんでした。

―芸能界に入ったきっかけは何だったのでしょうか。

中村:子どものときから芸能界に憧れみたいなものはありました。

高校生のとき、実家の群馬から東京に遊びに来たときに「モデルをやりませんか」とスカウトされたのですが、そのときはお断りしたんです。

ただ、よくよく考えてみると「あれ?なんか俺、すごいチャンスを逃したのかな」と…。

高校卒業後に就職したものの、「なにか違うんじゃないか」という思いから抜けられずにいたとき、父に「こんなところでくすぶってないで、何かやってみろ!」と言われました。そこで、雑誌のモデルオーディションに応募したら、グランプリに選ばれて…。

あのとき背中を押してくれた父には、今でも感謝しています。その頃から、「やってみないと何も始まらない」が自分の信条になりましたね。

―その2年後には、俳優としてスクリーンデビューされています。

中村:モデルのほかに、高校の時からバンドを組んでいたので、音楽という道もありました。でも、もっと違う表現の道があるんじゃないかと思っていたときに、映画『時をかける少女』(1997年公開)の話が舞い込みました。

いただいたのは、主人公の相手という大役。「どうしよう」しかなかったです。でも、『時をかける少女』(1983年公開)に出ていた原田知世さんの大ファンだったので、この話が来たのは何かの運命ではないか、と思って、お仕事をお受けしました。

―俳優としても順風満帆なスタートに見えますが、挫折はなかったんですか。

中村:『時をかける少女』では、監督の角川春樹さんにこってりと絞られました…。厳しかったです。

自分では一生懸命やっているつもりなのに怒られっぱなし。途中から何が正解なのか全然わからなくなって、“ああ、役者ってやっぱり簡単なものじゃないんだな”って、めげてばかりでした。

―そんな中村さんが、俳優を続けようと思われたのは。

中村:連続ドラマ『ドンウォリー!』(フジテレビ系)で共演したマッチさん(近藤真彦)が面倒見のいい方で、優しくて面白くてかっこよくて、大好きになって。いつも現場を盛り上げてくださったので、そこで芝居の楽しさ、現場の楽しさがわかりましたね。

あとは、ファンの方からのお手紙もすごく励みになりました。「面白かった」「かっこよかった」…いろんな声をいただきました。これはずっと僕の力になっています。

今もよくお手紙をいただくんです。昔からのファンの方だけでなく、最近はドラマやバラエティーで僕を知ってくれた若い世代の方が、僕を検索してブログに行きつき、「中村さんてこんなに面白い人だったんだ!親近感わく!」とお手紙をくださることも。

僕はSNSが苦手でやっていないので、ブログで素顔の僕を知ってもらえたんだと思うとありがたいですね。“かっこいい”と言われるより、“楽しい”“面白い”って言われたいほうなので、それも嬉しいです。

16年間演じた『浅見光彦シリーズ』は代表作。いつも初心に戻って演じていた

―中村さんにとって、これまでの仕事で印象に残っているのはどの役ですか。

中村:やはり16年間、39作品に出演した2時間ドラマの『浅見光彦シリーズ』です。

友達の親父が小説のファンで、「これ、俊ちゃんにぴったりの役だよね」って言ってくれていたので、いざ自分のところに話がきたときに「これはきっと運命だ」って思いました。

作者の内田康夫先生ともお話しし、浅見光彦を知れば知るほど、自分にも通ずるところがあるなと感じました。

しかし、浅見光彦は永遠の33歳。僕は当時27歳でしたから、“演じるにはまだ早いんじゃないの”と抵抗はありましたよ。それが33歳を通り越して、43歳になるまで演じることになったわけですからね(笑)。

―浅見光彦の役は、局をまたいで、いろいろな役者さんが演じられていますよね。人と比べられるプレッシャーはなかったのでしょうか。

中村:プレッシャーもなにも、僕の場合は浅見光彦を演じてきた榎木孝明さんが、そのまま光彦の兄の“浅見陽一郎”になったので、“前・光彦”を目の前にして演じるのはやりづらかったです(笑)。

でも、いろいろな俳優さんの演じる“浅見”があるのはわかっていたので、それにとらわれる必要はないなと思って、とにかく自分らしく、まっすぐに光彦を演じようと思いました。

―役作りで気を付けていることはあるのでしょうか。

中村:僕は、どんな役を演じるときも、台本を最初に読んで感じたインスピレーションを大事にしています。

例えば浅見光彦を演じる場合、長年やらせていただいた分、役に対する思い入れも強いですし、役が体になじんだ部分はありますが、それでも毎回、最初に抱いた直感を思い出しながら演じていました。

子どもだけでなくお年寄りにも話しかけられる、優しい「俊ちゃん」

―ずっと中村さんをテレビで見てきましたが、こうしてお話していても、雰囲気も体型も昔と変わらないですね。来年50歳だとは思えないです。

中村:昔と変わらないというのは、よく言われますね。浅見光彦という役のおかげもあると思います。

16年間、同じ年齢の役をずっとやらなければいけなかったので、外見が変わるわけにはいかなかったんです。

俳優というのは常に人に見られる仕事なので、年齢を重ねるごとに、糖質オフを心がけるとか、食生活には気を付けるようになりました。

あとは、子どもと遊ぶのが大好きだからかな。子どもたちから、元気と若さみたいなものをもらっているかもしれないです。

ちょっとでも時間があれば、甥っ子や甥っ子の友達と一緒に遊んでます。「俊ちゃんに会いたかった」なんて言われると嬉しくなっちゃって。

夏になったら虫取りにも行くし、川に泳ぎにも行くし、野球やったり、子どもたちと一緒に冒険に出かけたり…。

―中村さんと遊べる子どもたちがうらやましいです(笑)。そういえば、今も独身を貫いていらっしゃいますが、何か理由があるんですか?

中村:特に理由はないです(笑)。料理も作りますし、掃除も大好き。僕ならいい主夫になれると思うんですが(笑)。

―プライベートはどのように過ごしているんでしょうか。

中村:皆さんと変わらず、ゲームもしますし、本も読みます。あとは散歩かな。2時間かけて、10キロほどを歩きます。

毎回コースを変えて「ここにこんなお店があるんだ」とか「ちょっと歩道橋を上ってみるか」なんて感じで、気ままに楽しんでいます。

そういえば散歩中に、なぜかお年寄りに声をかけられることが多いんですよ、僕。1日に2回くらい助けを求められたこともあります。

おばあちゃんに、「自分の家に帰りたいんだけど、どこだろうか」って突然聞かれて、「ええと、おうちは何区の何町にあるんでしょうか?」って言いながら一緒に歩いてそこまで連れて行くなんてことも何度かありました。

おじいちゃん、おばあちゃんが好きだから、俳優になっていなかったら介護の仕事に就いていたかもしれないですし、子ども好きだから保育士になっていたかもしれませんね。今でも保育士はやってみたいです。

今の若い役者さんたちは楽しそう。自分も若いころに戻りたいと時々思う

―でもやっぱり、中村さんにとっての天職は“俳優”なんでしょうね。

中村:僕、人を楽しませるのが好きなんですよね。ドラマにはいろんなジャンルがあるし、テレビで誰でも見られる。役を通して、心を揺さぶるような何かを、見る人に伝えられたらいいなといつも思っているんです。

だから、「この役、ぜひ中村さんにやってもらいたい」と言われたら、どんなに小さな役でも大きな役でも、いい役でも悪役でも、拒まずやりたい。演じることが好きなんですよ。

医者だったり、探偵だったり、刑事だったり、先生だったり…。どんな人間にもなれるこんな職業、ないですからね。

―俳優になりたてのころは挫折続きだった中村さんが、今やベテランという立場で、若い俳優さんを見守る立場になっています。

中村:今の人たちは本当に自由だなって感じますね。なんか楽しそうでいいなと。

何かとコンプライアンスで、やれることが狭まっている時代なのに、若い人たちの演技には、なぜかとても“自由”を感じます。自分も若いときに戻りたい、なんて、ふと思うことも。

―最後に、2024年の抱負を聞かせてもらえますか。

中村:毎年、とにかく楽しく健康でいれたらいいなと思っていて、今年もそれを継続したいです。もう50か…(笑)。“イケオジ”と呼ばれるように頑張りたいです。

―ドラマではスマートな役が多い中村さんですが、素顔の中村さんはまるで少年のようで、とてもかわいらしく感じました。年を重ね、ますます仕事の幅も広がりそうですね。今日はありがとうございました。

中村俊介(なかむらしゅんすけ)プロフィール

群馬出身、1975年2月16日生まれ。雑誌『メンズクラブ』の読者モデルオーディションでグランプリを授賞し、1995年にモデルデビュー。映画『時をかける少女』(1997年)から俳優の道へ。ドラマ『熱血!周作がゆく』(テレビ朝日系)で初主演、映画『ROCKERS』(2003年)で初主演ほか、ドラマ『浅見光彦シリーズ』(フジテレビ系)、『山女日記3』(NHK プレミアムドラマ)、『ハンチョウ~神南署安積班~』(TBS系)など有名作品に出演多数。

●事務所「RUBBER SOUL」ブログ 
https://rubber-s.com/myboom/

タイトルとURLをコピーしました