『さっちゃん、僕は。』で純朴なヒロインを演じる新人女優・中山ひなの。サッカーの道を諦めて芝居の道へ進んだ彼女の現在地

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過激なシーンが話題のドラマ『さっちゃん、僕は。』でヒロインのさっちゃんを演じている、女優の中山ひなのさん。童顔で151cmという小柄な中山さんは、素朴で可愛らしいさっちゃんのイメージそのまんま!

相手役の木村慧人さんと、素敵な身長差カップルを演じています。佐賀出身、福岡でお芝居の勉強をし、上京して女優としてのスタートを切ったばかりの中山さん。今回のドラマへの意気込みと、女優としての未来像を伺いました。

役作りのために、普段からさっちゃんを意識して受信力を高めた

『さっちゃん、僕は。』作品紹介

TBSドラマストリーム『さっちゃん、僕は。』(TBS系・火曜深夜11:56~※一部地域をのぞく。放送時間は変更になる場合があります)

過激な内容で話題になった漫画『さっちゃん、僕は。』(朝賀庵/集英社ジャンプコミックス刊)がついに実写化。

大学進学のために地方から上京した片桐京介(FANTASTICS・木村慧人)は、“さっちゃん”(中山ひなの)と遠距離恋愛中。だが、ひょんなことがキッカケで知り合ったアパートの隣人の人妻(石川恋)と肉体関係を持ってしまう。インモラルな展開の連続で、2人の女性に対する京介の向き合い方に全く共感できないが、それが逆にクセになる・・・背徳的三角関係だ。

本当の愛がわからない男・京介が選ぶのは地元の彼女か、都会の人妻か。不倫で始まる、破滅的な恋の結末とは・・・!Netflixにて先行配信中。

(※『さっちゃん、僕は。』公式サイトより引用)

さっちゃん、僕は。
片桐京介(木村慧人)は大学進学のため、地元を離れ一人東京で暮らしている。地元には、中学時代から付き合っている彼女の小山内早智(中山ひなの)と遠距離恋愛中で平穏な...
©『さっちゃん、僕は。』製作委員会

―『さっちゃん、僕は。』、毎回ハラハラしながら見ています。遠距離恋愛中の彼・京くんが、あまりに濃厚なラブシーンを演じられるし、このあとの怖い展開がなんとなく感じられて、目が離せないです (笑)。

中山ひなのさん(以下、中山):結構攻めてますよね、濃いですよね(笑)。

―まずは地上波でヒロインという大きな役を射止められましたが、このドラマに出演された経緯を教えていただけますか。

中山:この作品はオーディションを受けて、選んでいただきました。

まず原作の漫画を読んだのですが、話のテンポがよくて読みやすく、すごく面白くて。

さっちゃんは今までに演じたことのないような可愛らしい役で、どうしてもやってみたいなと思ったので、オーディションの時から“さっちゃん”のスイッチを入れていきました。

実際現場に入ってからも、「雰囲気がさっちゃんぽいよね」って監督さんやスタッフの方に言っていただき、「ああ、私の考えたさっちゃんっぽさは正解だったんだな」、と答え合わせできた感じで。

―役作りはどのようにやられたんでしょうか。

中山:私はいつも、自分の中に、役との共通点を見つけていくんです。役と自分の共通点が1%でも見つかれば、そこをどんどん濃く、パーセンテージを上げていきます。

さっちゃんは、きっと小さなことに幸せを見つけるタイプだと思ったので、撮影中は普段より“受信力”を高めるように意識していました。

きっとさっちゃんはちょっとしたことに一喜一憂するなと思ったので、例えば、道に生えている小さなお花を見て可愛いと思ったり、壁の模様がスマイルマークに見えると思ったり…。本当にちっちゃいことを受信して感動することを心がけましたね。

―確かに、さっちゃんはきっとそんな感じですね(笑)!ちなみに中山さんは、さっちゃんと似ている点はありますか?

中山:まず私自身、佐賀県の田舎出身なので、さっちゃんの境遇と似てますね。あとは方向音痴なところとか、SNSの使い方がよくわかっていない機械音痴なところとかも、似てるかも…!

―ドラマの前半、京くんに体を許そうと、さっちゃんが意を決して服を脱いで裸になるシーンがありましたよね。あの場面、演じるのに抵抗はなかったですか?

中山:原作のマンガにもその描写がありますし、オーディションを受けた日の夜に「脱ぐシーンがありますが大丈夫ですか?」という確認のお電話をいただいていたので、そこは全然大丈夫でした。カメラのアングルも工夫して撮ってくださっていますし、そこまで抵抗はなかったです。

―彼氏の京くんは、遠距離をいいことに都会で浮気を重ねていますが、もしあんな男性が中山さんの彼氏だったらどうしますか。

中山:私だったらすぐ振ります(笑)。ドキドキより安心感を求めるタイプなので(笑)。

出演者が梅干し好きという共通点。 撮影の合間に梅のお菓子の交換会が

©『さっちゃん、僕は。』製作委員会

―撮影現場の雰囲気はどんな感じなのでしょうか。

中山:和気あいあいとしていました。

ドラマの現場って、初日からすぐに友達役とか恋人役になりきらなくてはいけないものですが、とにかく本当にみんな仲良くて。

キービジュアルの撮影のときに少し時間があったので、木村慧人さんとお話をしていたんですね。木村さんに「好きなものは?」と聞かれて「梅干しです」と答えたら、木村さんも梅干しが好きだという話になって。さらに紫乃さん役の石川恋さんも梅干し好きだというので、そこから現場で梅干し関連のものを交換し合うようになりました(笑)。

木村さんからは梅干しのお菓子をもらい、石川さんからは高級な個包装の高そうな梅干しをもらい、私も梅干しのお菓子をお返しして(笑)。

梅味のおしゃぶり昆布とか、干し梅とか…、撮影の合間に、本当にいろんなジャンルのものを交換し合っていました。

―そうなんですね(笑)!実生活では仲の良い共演者同士なのに、ドラマでは一触即発…。あの3人は、今後どうなってしまうんでしょう。

中山:純粋だったさっちゃんがどう変化していくのか、ぜひ見ていただきたいですね。

今後の見どころとしては、さっちゃんの変貌ぶり、そして京くんのさっちゃんへの愛情の変化や、紫乃さん含めた登場人物全員の隠されていた物語…。どんどん深くなっていくので、楽しみにしていただきたいです。

6年間やったサッカーを辞めて芝居の道へ。レッスンのため福岡に通った

―ここからは中山さんご自身について質問させてください。中山さんが女優になろうと思われたのはいつだったのでしょうか。

中山:最初に女優になりたいと思ったのは、中学1年のときですね。

私、小2から中1までサッカーをやっていまして、クラブチームに入って、なでしこジャパンを目指して頑張っていたのですが、怪我でサッカーを休まなくてはならない期間があったんです。その時、田舎に住んでいるので、他にすることもなくてテレビばかり見ているうちに、芸能界への憧れが膨らみました。

まずは一歩踏み出してみようかと、お芝居の稽古を受け始めたら、これが楽しくて、サッカーを辞め、そこからずっとお芝居を続けているという感じです。

中2のときに、たまたま受けた舞台のオーディションに受かってしまって、お芝居がますます好きになりました。でも、佐賀だと活動できる場所が少ないので、福岡までお芝居のレッスンに通っていました。

当時は女優になりたいというよりも、とにかくお芝居がしたい、芝居を通して自分の新しい気持ちに出会いたいから福岡に行く。そんな感じでした。

―中山さんにとって、演じることの魅力とは。

中山:やっぱり自分の人生で感じたことのない感情に出会ったり、仕事を通していろんな年代の方に出会うことだったり…。いろんな経験ができるところですね。

役を通していろいろなジャンルの仕事ができるし、いろんな考え方や性格、髪型、衣装…自分が選ばなかった人生を体験できる。そこが魅力的だなって思います。

実は私、オーディションを受けること自体が好きなんです。初めての人と演技するのもすごく好き。もちろん緊張はするんですけど、緊張することで逆に安心するんですよね。ここまで、ちゃんと準備してきた自分に自信があるというか。

福岡でちゃんとお芝居に真摯に向き合った自分がいるから、こうして緊張するんだなって思えるから。オーディションでいただけた今回の役も、本当にありがたいです。

―2018年の舞台デビューから6年。この間に、悩んだりぶつかったりしたことはあったのでしょうか。

中山:それこそ福岡にいたときは、オーディション自体が少ないので、オーディションを受けたくても受けられないもどかしさはありました。レッスンはできても、キャリアにつながるようなお仕事ができない。だから、高校を卒業してすぐに上京しちゃいました。

東京でオーディションを受けられるようになって、逆に不安がなくなりスッキリして。もちろん、緊張のせいでうまくできなかったときは悔しいですが、それも一個の経験だよなと思いますし、いつかこれも役作りで生かせるかなと思うので、落ち込むことはほぼないですね。寝たら忘れるタイプなので(笑)。

このあたりは、サッカー経験で培ったメンタルかもしれないです。気持ちをすぐに立て直さなきゃいけないし、自分自身を鼓舞することができる。そのあたりが強いかも!

コンプレックスだった童顔・低身長を乗り越え、いろいろな役に挑戦したい

―中山さんが、女優としてやっていく上で大切にしていることとは。

中山:「あくび、笑顔、不機嫌」…この伝染する3つのもののうち、笑顔だけ大事にしています。一人の人間として、現場を明るくできる俳優でありたいなと思いますし、メリハリをつけて“やるときはやる!”。楽しむときは全力で楽しむことをいつも心がけています。

―なるほど、中山さんらしさを感じます!今後、どんな女優になりたいですか。

中山:今まで、自分が童顔で低身長(151cm)なことがコンプレックスだったんですが、今回のさっちゃん役は、低身長だったからこそ捕まえられた役のような気がしているんです。

これは自分の武器なんだなと思えるようになったので、童顔・低身長という特徴を生かした役もやりつつ、今後はいろんな役を演じてみたいです。

ひとつひとつの作品は、誰かに届けたいものがあるから作られていると思うので、作品に込められた思いをしっかり届けられる役者になりたい。脚本を読んで、作品の中での自分の役割をしっかり理解できるようにもなりたいし、現場で監督のアドバイスをしっかり咀嚼して対応できる役者になりたいです。

私は山田杏奈さんに憧れていて。彼女のお芝居がすごく好きなんです。目と声が素敵。瞳の中に、温度の高い青い炎がぼーっと燃えている気がしていて、私もそんな女優さんになれたらなぁと。

―かごしま平和映画祭で主演女優賞を受賞されていますよね。

中山:いつか日本アカデミー賞を受賞したい、カンヌ国際映画祭に行きたいなんて夢はありますが、賞はすべて、作品に真摯に向き合った先にあるものだろうなと思います。

いろんな作品に出て、それが人の心に刺さって、皆さんの心が動いて賞につながると思っているので、その結果が何かの受賞につながれば、すごくうれしいですね。

―これから挑戦したい役や、作品のジャンルがあれば。

中山:いつか、ミステリー作品に出てみたいです。社会派のリアリティのある作品や、シュールなコメディーにも出てみたい。

さっちゃん役は、役に合わせて少し声のトーンを上げて演じているので、素のままの声で演じる役をやってみたいですね。ちょっと生意気な女の子もやってみたいかな(笑)。

―佐賀にいるご家族やご友人も、中山さんの活躍を応援してくれていることと思います。

中山:応援してくれる人しかいないです。家族も友達もそうですし、それこそ小学校、中学校、高校の先生とかもめちゃくちゃ応援してくれていて、私は恵まれているなと思っています。

『さっちゃん、僕は。』に出演が決まったとき、実家の母も喜んでくれて、原作の漫画を購入して読んでくれまして。「なんかハラハラして読んだよ」と言っていました。「そうだよね(笑)」って答えたんですが、その後、ドラマが始まったらNetflixに加入して、私の出演する場面を見て楽しんでくれています。

今回、地上波で、さらに自分の役名“さっちゃん”がタイトルに入っている作品に出演させていただけて、本当に運がいいと思っていて。今まで暗めの女の子役が多かったのですが、今回は純粋で明るくて献身的な役なので、新しい私を見せられたんじゃないかなと思っています。

中山ひなの(なかやま ひなの)プロフィール

2004年10月29日生まれ、佐賀県出身。TBSドラマストリーム「さっちゃん、僕は。」で連続ドラマ初出演となる。舞台『迷子の二人』(2018年)で主演を務めデビューを果たした新人女優。KBC九州朝日放送「福岡恋愛白書17 おはようマドンナ」(2022年)に出演。

短編映画「あめとひなた」(2021年)では、かごしま平和映画祭で主演女優賞を受賞するなど演技力に注目が集まる。

●X @nakayama_hinano
●インスタグラム @nakayama_hinano

取材・文:小澤彩

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