7月12日から始まる、ドラマ『錦糸町パラダイス~渋谷から一本~』(テレ東系)。このドラマのメインキャストである柄本時生さん、賀来賢人さん、落合モトキさん、岡田将生さんの4人は、気心知れた10年来の俳優仲間です。コロナ禍をきっかけに「劇団年一(ねんいち)」を結成し、いつか一緒に芝居をやろうと夢を語っていた4人。今回、柄本さんがテレビ局に企画を持ち込み、制作が始まり、豪華キャストが総勢50人以上登場する人間ドラマ群像劇に仕上がりました。今回は、メインキャストの1人である落合モトキさんに、このドラマと仲間への思いを伺いました。
ドラマ24『錦糸町パラダイス~渋谷から一本~』(テレ東系)作品紹介
錦糸町の一角に、『整理整頓』というハウスクリーニング店があった。社員は、社長の大助(賀来賢人)、車椅子の裕ちゃん(柄本時生)、そして後輩の一平(落合モトキ)の幼馴染の3人。彼らが掃除するのは、それぞれ事情を抱えた場所ばかり……。そんな錦糸町では最近、不思議な出来事が起きていた。街角にポツンと貼られた二次元コードを読み込むと、街で起きた過去の未解決事件や不祥事の真相につながるという。その告発を行っているのは蒼(岡田将生)だった。
『整理整頓』の3人が掃除をするのは、蒼が暴いた事件の加害者や被害者の家が多く、気づかぬうちに、蒼が暴いた事件と関わっていくのか。錦糸町を舞台に、掃除屋『整理整頓』の3人とルポライターの蒼を中心に、総勢50人以上の人生模様が映し出される群像劇。2024年7月12日(金)深夜24時12分スタート。
(※ドラマ24『錦糸町パラダイス~渋谷から一本~』より引用)
20代前半は毎日のように会っていたトキオちゃん、かっくん、マサキ
―今日は、ドラマ『錦糸町パラダイス~渋谷から一本~』のハウスクリーニングスタッフ役に合わせて、ビビッドなツナギで来てくださってありがとうございます。
このドラマは、気心知れた俳優仲間4人で結成された“劇団年一(ねんいち)”が中心になっているとお聞きしました。4人とはどんな関係性なのか、まずは教えてください。
落合モトキさん(以下、落合):トキオちゃん(柄本時生さん)、かっくん(賀来賢人さん)、マサキ(岡田将生さん)とは、それぞれ別の仕事で出会って、プライベートでも会いたくなって、20歳過ぎくらいから4人で飯食う会ができて、そのまま毎晩一緒にいるようになって…。
同年代ということもありますが、みんな共通認識でお互いをリスペクトしていて、興味もあって、居心地がよくて。そんな感じで、自然と4人がいつも集まるようになっていた仲間同士です。
仕事が終わるといつもの飲み屋に足が向き、気が付くといつの間にか4人揃っている。ろくでもない話ばかりしていましたね(笑)。「最近、この子が好きですわ」みたいな話もあれば、「いつか4人で仕事できたらいいよね」なんて話まで。
今思えば、仕事でヘマをしたり、緊張しているときでも、いつもの店で待っていてくれる3人がいると思って頑張れたところがあったかもしれないですね。僕も全然大した言葉をかけれていないけど、その場にみんながいてくれるだけでよかった。
―いい関係だったんですね。柄本さん、賀来さん、岡田さんとはそれぞれ、どの作品で知り合われたんですか?
落合:トキオちゃんとは、僕が13歳のときにドラマ『4TEEN』(WOWOW)で共演しました。トキオちゃんはこのドラマが初めての現場だったみたいで、本人も緊張していたんじゃないでしょうか。
僕は子どものころから芸能界にいたから、大人の顔色をうかがいながら現場に入っていたけれど、トキオちゃんは純粋に現場を楽しんでいたと思います。その後、高校生になってから知人を通じて再会することになって。そこから頻繁に会うようになりました。本当にいい役者さんになっていました。
かっくんと出会ったのは10代最後のころにドラマ『ごくせん』で。マサキとはドラマ『生徒諸君』で出会いました。
コロナ禍を機に“劇団年一”を結成。「いつかみんなで芝居を」の夢が叶った
―そんな4人で“劇団年一”を結成することになったのは。
落合:コロナ禍の緊急事態宣言後、朝起きたら4人のグループラインができていて、通話が始まっていて。「何、どうしたの?」と聞いたら「いや~、“劇団年一”っていうのを作ろうかなって思うんだけど、どうかな」みたいな感じでかっくんとトキオちゃんが話していました。
“年一”という名前は、“このメンバーで年1回お芝居したいね”、というところから。
ちょうど仕事が止まって時間もあったし、面白そうだからやってみようか、と。
その後、2020年5月にリモートで、劇団年一のお芝居を配信しました。それが、『肌の記録』(脚本・演出:加藤拓也)です。
配信までは、13~17時まで2週間、みんなで毎日ちゃんと稽古しました。「じゃあ13時にZoomのこの部屋に入ってね」と約束し、13時に一斉にログインしてお芝居する。「ごめんなさい、セリフ出てこない」「明日も13時によろしくお願いします」なんて言って、また翌日になって。
ずっと自宅にいて、外と遮断されていた時期だったから「ああ、いろんな現場が止まっているんだな」と感じたけれど、そんな期間をうまく使って、腐らずに原稿や台本に向き合えたのは3人のおかげ。
僕自身、「こんな企画をやろうとしているんだけど、世に発信してもいいかな」と初めて事務所に企画を提出できたのもこの作品だったし、4人で始めた企画をちゃんと外に発信できたのは楽しかったです。
―それが今回のドラマにつながるわけですね。
落合:『肌の記録』以来、また何かやりたいねとは言いながら何もできずに5年経ちました。そんな中、今回トキオちゃんが企画をテレビ東京さんに持っていってくれて、ドラマが実現しました。その間もプライベートではちょくちょく集まっているんですが、仕事で集まったのは今回のドラマが初めてです。「いつかみんなで何か芝居をやろう」と言っていたのが実現して、本当に嬉しくて。
―“劇団年一”の4人でのお仕事、いかがでした?
落合:仕事として真剣に台本を覚えて4人で芝居をするっていう経験がなかったので、なんか気恥ずかしかったです。そして、ご飯食べに行って飲み屋でおしゃべりしているときは、あっという間に時間が過ぎていたけれど、こうして仕事をしてみて改めて、「みんな、ちゃんと仕事してるんだな」と気づかされました(笑)。
みんな、楽しいだけでやっているわけではないな。一人ひとり、しっかり“役者”なんだ、と。考えてみれば当たり前のことなんですが、それをこの仲間から再認識させてもらいました。
トキオちゃんなんて20年前から知っているから、「ああ、大人になったな」って。自分のことはわからなかったけれど、みんなの姿を見て、改めて自分自身も大人になったんだと感じたりして。
―4人はそれぞれ、この劇団の中でどんなポジションなんですか。
落合: 4人の中で表に立ってくれる、窓口になってくれるのはかっくんだなっていうのがあって、4人の中のエースはマサキだなっていうのがあって。トキオちゃんはその船だなという感じ。僕は、その間に入っている感じ。仲介役、ムードメーカー的な立ち位置だね、と4人で話していました。
今回のドラマではトキオちゃんがプロデューサーになってくれました。
―今回のドラマの見どころを教えていただけますか。
落合:舞台は錦糸町のハウスクリーニング店で、かっくんは社長、トキオちゃん、僕はその店のスタッフ。マサキはルポライター役。
毎回10人ほど、総勢50人以上登場するハウスクリーニングの依頼者が、まあクセがあって(笑)。
放送前には言えないのですが、出てくださる役者さんがかなりすごい方々ばかりで、まず出演してもらえるのか、スケジュールが取れるのか…。こんなに風呂敷広げちゃって大丈夫?と不安もあったのですが…(笑)。とにかくすごいドラマになっているので、誰が出るのか、毎週楽しみにしていただけたらと。
また、ハウスクリーニング店の3人の空気感はきっと、 “こういうドラマ、なんか懐かしい”と感じてもらえるのではないかと思います。
―まさに4人の立ち位置が、ドラマの配役にも投影されていますね!
落合:そうですね。僕も素のまんまの僕で演じちゃっていいのかな?と思いながら現場に入っていました(笑)。
子役から始めて芸歴27年。変わってきた俳優としての矜持と、これから
―落合さんは、子どものころから芸能界でお仕事をされていますが、昔と比べて仕事に向かう姿勢は変わってきていますか。
落合:変わってきましたね。昔は、オーディション受けて、受かって、現場行って、みたいな感じでしたが、今は“生活していくためにはちゃんとしないといけない”というのが一番にありますね。あとは、いろいろな人と共演したいなという気持ちもありつつ、「もう一度共演したいな」という人も増えてきています。後輩も増えましたし。
小さい頃から役者をやっていて、お父さん役、お母さん役をやってくださっていた方と、20年経って共演できたりするのも、感慨深く感じますね。映画『極道めし』で共演できた勝村政信さんは、昔、ぼくのお父さん役をやってくださったのに、大人になって囚人の役でご一緒しているとか(笑)。
「ああ、自分自身、こんなに長い時間、役者の世界にいるんだな」と思いますよね。
―それは確かに、時の流れを感じますね!
落合:演じることは、20年前も今も、変わらず楽しいのですが、30代になると作品に対する責任を感じるようにもなりました。
昔は、自分の演技だけ良かったらいい、というだけだったんですが、今は、やるからには作品自体を良くしたいし、ゲストで呼ばれてもいい回にしたい。そう考えるようになりました。
―なるほど。今まで出演された作品で、記憶に残っている作品はありますか。
落合:中学生のときに出演した『4TEEN』は、同年代の仲間と仕事ができて楽しかったですね。あとは、井筒和幸監督の映画『ヒーローショー』です。
井筒監督には本当によく怒られましたが、一番記憶に残っているのは「もっと新鮮さを出しなさい」というアドバイスですね。僕たち役者は、テストで何度もセリフを言って、リハーサルでも同じセリフを言っている。でも、そのセリフをカメラの前で言うのは本番が初めてなんだから、演技にもっと新鮮さを出しなさい、と。当時もなるほどと思いましたし、今も常に新鮮さを持ちながら演じようと心がけています。
―落合さんにとって、役者の楽しさとは。
落合:そうですね、一生懸命作ったものを、世の中に評価されたときがやっぱり嬉しいんですよね。
昔出演した映画『桐島、部活やめるってよ』は、撮っている時も楽しかったし、作品見て“すごいな”って思ったし、それが世に出て評価されて、日本アカデミー賞をはじめ、多くの賞を受賞して…。あれを味わっちゃったら、それはもう役者を辞められなくなるよな、って思います。
あとは、今回の『錦糸町パラダイス~渋谷から一本~』みたいに、20代で「いつかみんなで一緒の作品に出ようよ」と言っていた若造の夢が、30代のいい大人になって叶うこと(笑)。夢がかなったことも嬉しいですし、12日から放送されてどんな評価になるのかっていうところも楽しみです。
ただ…プロデューサーのトキオちゃんだけは「なんでせっかくのドラマの裏番組にパリオリンピックが被ってるんだ!!」って言ってます(笑)。放送時間の夜中の12時は、まさにヨーロッパで大きな競技の決勝戦が被ってしまう時間なので、「もうやべえよ」って(笑)。トキオちゃんに言われて初めて気が付いて。彼はしっかり“プロデューサー”してる、すごく考えてるなって思いました。
きっと、視聴率はついてきてくれる、と僕は期待しています。
― “劇団年一”では、今後どのような活動をしていくか、4人で話し合っているのでしょうか。
落合:こんなにインパクトのあるドラマを1回やっちゃったら、同じような作品はできないかもしれないよね、とは話しています。だから、ドラマの次は舞台になるか何になるか…。でもどんな作品になるにせよ、次に4人でお芝居ができるチャンスがあったらいつでも対応できるように、今から備えておこうと思っています。
―最後に、落合さんご自身の今後の展望についても教えてください。
落合:そうですね、定期的に、みんなに忘れられる前に役者として作品に出演できればいいなと(笑)。
今回、トキオちゃんを見ていて、プロデューサーは本当に大変そうで…。自分はずっとプレイヤーでいたいと思ったので、このまま役者の仕事をやっていくんだろうな。毎回毎回、いただいたお仕事をしっかりやっていけたらと。
あとは、ラジオが好きなので、ラジオ番組をやりたいなというのがひとつ、夢としてあります。そしていつか、僕のラジオ番組に3人を呼びたいですね(笑)。
落合モトキ(おちあい もとき)プロフィール
1990年7月11日生まれ、東京都出身。中学時代に出演したテレビドラマ『4TEEN』(2004年・WOWOW)で、俳優としてやっていくことを決意する。近年の主な出演作として連続テレビ小説『らんまん』(2023年)、「やわ男とカタ子」(2023年)、『彼女と彼氏の明るい未来』(2024年)、「筋トレサラリーマン中山筋太郎」(2024)、「Gメン」(2023年)『鯨の骨』(2023年)、「不死身ラヴァーズ」(2024)、舞台「サンソンールイ16世の首を刎ねた男―」(2023年)『あのよこのよ』(2024年)ほか出演多数。趣味はバスケ、ギター、音楽鑑賞、邦画鑑賞。
●インスタグラム @motoki_ochiai
●オフィシャルファンクラブ『芽ネギシャリ小で。』
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取材・文:小澤彩