第18回札幌国際短編映画祭にお邪魔してきたので、映画祭概要や受賞作品などをご紹介します。
今年の映画祭は2023年11月23日~11月26日の4日間にわたり開催。初日の23日は受賞アワードが開催され、各賞の受賞式が行われました。
劇場上映は4日間のみになりますが、期間限定のオンライン上映でも鑑賞可能です。
札幌から発信される世界の短編映画祭
札幌国際短編映画祭は、2006年から行われている映画の祭典で、毎年秋に札幌市内で開催されています。
対象となる作品は30分以下で制作された最新ショートフィルムで、今年は世界97の国と地域から、2600作品を超える応募がありました。
18回目の開催となる今年は「平和への願い」をテーマとしています。
実際のウクライナ難民が出演している作品、小さな村で暮らす人々の生活を写したドキュメンタリーなどウクライナの作品が2作品ノミネートされました。
その他、クルド人問題を背景とした作品やミャンマーを応援するプロジェクト、有名俳優が出演する短編映画など、様々な作品が上映されます。
第18回札幌国際短編映画祭の審査員
第18回札幌国際短編映画祭の国際審査員は、テクノ・アーティストでDJのケンイシイさん、『ロードオブザリング』などで知られるWeta Workshopでフィルム・エディターとして活躍してきたベッツィ・バウアーさん、ブロードキャスターとして活躍しているピーター・バラカンさんの3名です。
また、「ファミリー&チルドレン・プログラム」では、上映作品の中から子供たちが審査をして作品を選出しています。
受賞アワードに参加した子供たちは、今回の審査で楽しかったことや難しかったことなどを話していました。
受賞作品をご紹介
グランプリは『赤いスーツケース』
グランプリを受賞したのは、サイラス・ネシュバ監督の『赤いスーツケース』で、女性の権利と抑圧をテーマに描かれた作品。
米国アカデミー賞にノミネートされた作品で、日本初公開の映画(ジャパン・プレミア)です。
主演のナウェル・エヴァドさんは最優秀女優賞を受賞しました。
国際空港に一人降り立ったイランの少女は怯え、人生の岐路に立たされた。決意の後、ヒジャブを脱いだ。
https://sapporoshortfest.jp/page_update_jp/award-announcement/
最優秀国内作品賞は『ささくれ』
最優秀国内作品賞を受賞したのは、大金康平監督の『ささくれ』。
俳優の里内伽奈さんがプロデュース・脚本・主演の3役を務めた作品です。
お笑い芸人であり、俳優であり、映画監督でもある板尾創路さんが共演しています。
婚約破棄により実家に出戻った瑞季は、母の冷たい視線もよそに自堕落な生活を送っていた。そんなある日、かつて瑞季と母を残して去った父から結婚祝いが届く。煮え切らない感情が募るなか、無用の祝儀を突き返すべく、瑞季は父の暮らす町を訪れる。
https://sapporoshortfest.jp/page_update_jp/award-announcement/
受賞作品・受賞者を一挙ご紹介
●審査員特別賞
『シンコピィ/失神』
脚本・監督・出演・振付助手・編集:ライナス・フォン・シュトゥンベルク
「審査員特別賞」と「最優秀脚本賞」のW受賞をした『シンコピィ/失神』は、学生作品とのこと。
監督のライナス・フォン・シュトゥンベルクさんは脚本も務め、作品に出演もしています。
●最優秀女優賞
ナウェル・エヴァド│Nawelle Evad
作品名:赤いスーツケース │ THE RED SUITCASE
監督:サイラス・ネシュバ
●最優秀男優賞
エリック・K・ブーリアン
作品名:メイキング・ベイビーズ:子作りラプソディ
監督:エリック・K・ブーリアン
●最優秀アニメーション賞
パパとのりょこう
監督:モール・イスラエリ
●最優秀ドキュメンタリー賞
イカ釣り漁船団の真実
監督:エド・ウー、ウィル・N・ミラー
●最優秀コンテンポラリー・エクスペリメンタル賞
PLSTC-プラスチック | PLSTC
監督:ラエン・サンチェス
●最優秀ノンダイアログ賞
すわって。なにもさわらないで
監督:フレデリック・シーゲル
●最優秀学生監督賞
ダウッド・アブドゥラ | Daood Alabdulaa
作品名:蜃気楼 | FATA MORGANA
監督:ダウッド・アブドゥラ
●最優秀脚本賞
シンコピィ/失神 | SYNCOPE
脚本・監督・出演・振付助手・編集:ライナス・フォン・シュトゥンベルク
●最優秀編集賞
隣人アブディ
監督・撮影・録音・編集・VFX:ダウエ・ディクストラ
最優秀編集賞に選ばれた『隣人アブディ』では、監督を務めたオランダ出身の映像作家、ダウエ・ディクストラさんが最優秀監督賞を受賞しました。
●最優秀作曲賞
ゴースト | GHOSTS
音楽: RONE | music by RONE
監督:(ラ)オルド
●最優秀ミニショート賞
引き裂かれても
監督:アンジェイ・ハブリス
ウクライナの作品「引き裂かれても」は、戦争で傷ついた人々の心の傷をテーマにした作品で、実際の難民の方が多数出演しています。
●最優秀撮影賞
花と、想う | EAT FLOWERS
撮影:リバー・フィンレー、ジョン・シェリー
監督:リバー・オータム・フィンレー
●最優秀美術賞
でんちのおかあさん
アートディレクター:カン・インスク
監督:ジョン・スンベ
●最優秀子役賞
エラヌル・キリッチ
作品名:聞いたことのない話
監督:ラマザン・キリッチ
●最優秀子役賞
イリヤ・マシェイエキ
作品名:ザ・ウィナー
監督:アリ・キーバン
●審査員特別表彰 by ケンイシイ
ニンジンは待ってくれない
監督:まちだリな
●審査員特別表彰 by ピーター・バラカン
生きる者のエレジー
ジャパン・プレミア
日本初公開の作品を対象としたコンペティション部門「ジャパン・プレミア」からは3作品がノミネート。
国際映画祭での多数の上映経験をもつ泉原 昭人監督の「カワウソ」がジャパン・プレミア・アワードを受賞しました。
ある日、少女がニホンカワウソと出会います。彼らは心を通わせようとしますが、なかなかうまくはいきません。なぜなら、ニホンカワウソはすでに絶滅していて、少女と現実には交流ができないのです。彼らは別々の空間に存在しているのでした。
https://sapporoshortfest.jp/page_update_jp/award-announcement/
- カワウソ│泉原 昭人
- か3なり│小田切 瑞穂
- THE HOMING│石原 ひなた
北海道セレクション・プログラム
北海道出身の監督や北海道にゆかりのある作品を集めた「北海道セレクション・プログラム」では8作品が入選しました。
札幌市内のTVメディア6社による「北海道メディアアワード」を受賞したのは、三宇ユウキさんの『PARKING(パーキング)』。
また、株式会社アミノアップの選出による「北海道監督賞」は、『ストラクチャー』の成田 琉夢さんが受賞しました。
- 氷河期サウナ | 吉田有佑
- PARKING | 三宇ユウキ
- Siesha「背中」| コマドリ舎
- アベンド | 高橋 佑輔
- 雨中で踊る | 金川 空
- エン・デンジャード | 平峰 忠人
- 逡巡 | 吉田史矢
- ストラクチャー | 成田 琉夢
映画祭開催概要とチケット購入方法
開催概要
- 名称:第18回 札幌国際短編映画祭(通称:SAPPOROショートフェスト 2023)
- 主催/運営:NoMaps実行委員会/映画祭運営部門
- 開催期間:2023年11月23日(木/祝)~26日(日)
- 会場:サツゲキ(札幌市中央区南2条西5丁目 狸小路5丁目)
オンライン(Vimeo)
上映プログラム
- ナショナル・プログラム:国内作品のコンペティション
- ジャパン・プレミア:日本初公開作品のコンペティション〈ジャパンプレミア部門賞対象〉
- ジャパン・パノラマプログラムA:実験的・多様な作品〈ノンコンペ〉
- ジャパン・パノラマプログラムB : スター・ショート〈ノンコンペ〉
- 北海道セレクション:北海道にゆかりのある作品〈特別賞対象〉
- 北海道セレクション・STUDENT(上映終了):北海道の学生作品〈ノンコンペ〉
- Docs for SDGs Docs for SDGs +MicroDocs:SDGsをテーマとしたドキュメンタリー〈MicroDocs部門コンペ〉
- ファミリー&チルドレン:お子様と楽しく見られる世界のショートアニメ *料金が異なります
- I-A:#A級映画祭・見ごたえプログラム
- I-B:#考えさせられるプログラム
- I-C:#世界を知る・珠玉のドキュメンタリー・プログラム
- I-D:#ワクワクハラハラ・プログラム
- I-E:#大人のちょっとラブコメ・プログラム
- 酔っ払いプログラム(12月8日開催予定)
- アワードA:今年の受賞作品の中から選出
- アワードB:今年の受賞作品の中から選出
チケット購入について
※劇場上映は終了しました。
- 1プログラム券 前売:1,300円(数量限定)/当日券:1,500円
- アワードプログラム券 前売:1,500円(数量限定)/当日券:1,800円
- ファミリー&チルドレン:前売/当日 一人500円(座席を使用しない幼児の場合は無料)
- 料金:2,000円
- チケット販売期間:2023年12月8日(金)~12月22日(金)