今回は、株式会社FREEDiVE 通信事業の立ち上げから携わったDigital Communication事業本部 事業戦略・マーケティング統括(マネージャー)の富塚大海(とみづかおうみ)さんにインタビューしました。
富塚さんが語ったのは、株式会社FREEDiVEの通信事業におけるこれまでの歩みと今まで積み重ねてきたサービス同士を連動させて構築する「FREEDiVE経済圏」という新たなステージ。
1つのモバイルWi-Fiレンタルサービスから始まった事業は、お客様の生活に根付くライフラインのサポート事業へ。進化を続ける株式会社FREEDiVEの現在地や会社の姿を伺いました。
Wi-FiからeSIMへ。事業拡大の裏側とFREEDiVEの“これまで”

ー主に4つの通信事業を展開されていますが、それぞれのサービスが誕生した経緯を教えていただけますでしょうか。
富塚大海さん(以下、富塚):弊社の歴史も交えてお話させていただきますと、もともと弊社は広告代理店が祖業の会社だったのですが、2019年新型コロナウイルス(COVID-19)が流行したタイミングで、広告代理店事業の業績が一気に落ち込んでしまいました。
未曾有の感染拡大による外出自粛により、屋外広告の価値が再定義されるなか、落ち込む業績に対応するための手段(新規事業)として、弊社代表の今井が見つけ出したのがモバイルWi-Fiレンタルサービス「MUGEN WiFi」でした。
弊社の見通しでは完全に畑違いの新規事業ということもあり、いきなりの業績拡大は見込んでいなかったのですが、結果はサービス開始2か月目で4,000台近くの月販が発生しました。
なぜそれほど売れたのかと分析してみたところ、業界初の「30日間お試しモニター(当時は30日間お試し全額返金保証)」を実装したインパクトが強かったのを覚えています。私が1人目として入社したのも、この頃でした。
ー30日間のお試しモニターを行うと決めたきっかけは何かありますか。
富塚:FREEDiVEが大切にしている考え方のひとつに「徹底的にお客様の動向を分析する(Customer Science)」というものがあります。
当時、需要調査の一環としてTwitter(現X)を調査したところ、「Wi-Fi買うの怖い」「買ってもつながらなかったらどうしよう」という言葉を多く見かけたので、「じゃあお試しができたら良いのでは?」と思いサービス上での検証を行ったところ、お客様が不安視していたWi-Fiの需要と弊社の供給が噛み合い、MUGEN WiFiはその後業界ナンバーワン(WEBアフィリエイト市場)を取れるまでに一気に成長していきました。
(MUGEN WiFiのインタビューはこちらから)
ーその後「AiR-WiFi」というサービスをリリースされていますね。
富塚:MUGEN WiFiの成功体験を通して、業界ナンバーワンを取るメソッドが見つかりましたので、もうひとつサービスを作って業界1位、2位のシェアを抑えていくことができれば、より大きな事業基盤を作り、より多くのお客様に、より多くの価値を提供できるのではないかという仮説がありました。
また、MUGEN WiFiが新品のWiFi端末を出荷するレンタルサービスであったこともあり、当時のFREEDiVE社内にはお客様が解約した後のMUGEN WiFi端末が大量に滞留していました。
MUGEN WiFiが新品出荷を謳ったサービスである以上、一度返ってきた端末はどんなに綺麗でも出荷することができない。社内に端末が滞留すれば、通信原価が全社利益を圧迫する。通信原価が全社利益を圧迫すれば、新しい商品開発ができなくなり、お客様への価値提供がどんどん難しくなる。という負のループの入口に立っていたのを、覚えています。
契約期間の満了前に返却された端末は、クラウドSIMの回線がつながった状態なので、会社に置いておいたとしてもコストがかかってしまいます。どれだけMUGEN WiFiが売れていても、返却された端末が増えれば増えるほどコストがかかってしまうという状況に直面していました。
それであれば、新品同然と自信をもって提供できる新古品(リフレッシュ端末)を、シンプルに、安く、わかりやすいサービス形態で展開してしまおう。そう考えて生まれたのが、弊社にとって2つ目のWi-Fiレンタルブランド「AiR-WiFi」でした。
新古品やリフレッシュ品を提供させていただく代わりに、業界最安級の金額で契約期間の縛りもない。シンプルにサクっと使っていただけるWi-Fiを作りました。
AiR-WiFiを一緒に立ち上げた同期とは、市場認知を獲得するまでの半年ほどほとんど寝ずにアイデアを検証し続けていたのが思い出深い話ではありますが、そのシンプルさをお客様や媒体社様にも評価していただくことができ、このサービスもかなり伸びていきました。
(AiR-WiFiのインタビューはこちらから)
ーAiR-WiFiは会社とお客様、双方にとっての最適解になるようなサービスだったのですね。
富塚:そうですね。どちらのサービスも伸びていきましたが、2022年には社内下剋上のようなことが起きて、AiR-WiFiがWEBアフィリエイトの販路で販売数業界1位を獲得。MUGEN WiFiが続いて2位を獲得、というようなこともありました。
「MUGEN WiFi」と「AiR-WiFi」は、どちらも「クラウドSIM」と呼ばれる通信技術を採用しており、これは(簡単にお伝えしますと)お手持ちのモバイルWi-Fi端末の電源をつけていただくと、その時・その地点において最適と判断される通信回線をリアルタイムで取得する4大キャリアのどれかの回線を拾って勝手につながる、といったサービスです。利便性の高いクラウドSIMの市場で上位を独占できたのは、再現性のある良い事例だと思います。
また、これらの実績を活かして「クラウドSIMの次は、家で使えるホームルーターを含めたWiMAX回線の領域に進出してみよう」ということになり、そこから3つ目の通信事業となるWiMAX回線の「5G CONNECT」の企画が立ち上がっていきました。
(5G CONNECTのインタビューはこちらから)
ーすごい勢いで事業が拡大していますね!4つ目の「SkyeSiM」は3つのサービスと少し毛色が違う気がしますが、これはどのような経緯で誕生したのでしょうか。
富塚:しばらく「MUGEN WiFi」「AiR-WiFi」「5G CONNECT」の3つのサービスを中心に事業展開をしていましたが、段々と「アフターコロナ(withコロナ)」のご時世になったことで、日本人海外渡航者数も増加傾向に入っていきました。
そこに着目して立ち上げたのが、日本人海外渡航者向けの低価格×高品質eSIMブランド「SkyeSiM(スカイイーシム)」でした。
(SkyeSiMのインタビューはこちらから)
ー4つのサービスの比率や現状はどうなっていますか。
富塚:MUGEN WiFiが3、Air WiFiが4、5G CONNECTが3というような比率です。
SkyeSiMはeSIMサービスなので全く違う動きをしています。単品で販売することもできますし、弊社のWi-Fiサービスをご契約中のお客様に、月末のギガ不足対策として提供することもできますので、かなりバリエーションに富んだアプローチができるのがいいですね。
FREEDiVE流の分析方法とマネジメント

ー新しい事業を次々と展開されていますが、新規サービスとなるとプロモーションも難しいと思います。それでも4サービス全て軌道に乗せることができた秘訣はありますか。
富塚:会社の運営的にもプロモーションの費用と効果はすごく重要です。
弊社でも某有名タレント様を起用したCMを作ったことはありますが、CMは申し込みに至るまでに通って来たお客様の道のりが分かりにくく、売り上げへのインパクトが測りづらい施策です。キャスティングにご協力いただいた関係各所の皆様には大変お世話になりながらも、TVCMや屋外広告の効果を定量的に評価することの難しさに直面したのを覚えています。
TVCMをはじめとする「not WEB広告」アプローチがどれだけの効果があるかを予測できない以上、コストの採算が取れているかを判断するのが難しい。それよりだったら、高コストなCMよりも契約してくださったお客様がどのようなルートをたどったのか、というところを地道に観察していったほうが良いという方針になりました。これも1つの検証結果です。
ーどのような方法で分析されているのですか。
富塚:「このKWで検索をされたお客様は、その後このページをこの順番で回遊し、このボタンから購買に至った」でしたり、「この広告チャネル(例: Tiktok)から購買に至ったお客様の平均契約期間は他のチャネルよりも長くなる」などといったように、いくつかの条件下におけるお客様の行動を確認し、数値に当てはめてスコアリングしています。数値として可視化できるため、どの施策がどれだけの広告効果があったかを細かく分析することができるのが強みだと思います。
そうすることで、効果が期待できるプロモーション方法だけを選択し、市場の拡大に務めることができているのだと考えております。
ー数値化して分析していくというのは時間がかかり大変なことだと思いますが、これは大人数のチームでやられているのでしょうか。
富塚:いえ、2、3人ほどの少人数体制です。弊社内は基本的に少人数体制のチームが多く、社内で開発をするエンジニアチームも4名ほど。しかもそのうち3人は海外の方です。
少人数でもこれほどまで大きい事業に発展することができたのは、全員が自ら学び、自ら試し、自ら進む。自学自習面での柔軟性が高いという社風的なところもあると思います。
ー会社全体が新しい事業に挑戦することに積極的なのでしょうか。
富塚:そうですね。「何でもやっていいよ」というチャレンジのしやすさと、その後の軌道修正(トップダウンとボトムアップ)のバランスがすごく良いと思います。
私自身も2019年11月にアルバイトで入社した身ですが、代表直下でWi-Fiサービスの立ち上げから挑戦させていただいた後進にとってのモデルケースになっているのではないかと感じています。今の私は事業戦略を専門に考えるマネージャーですが、他に全社の管理を担っている統括マネージャーもいます。
私のような人間が事業推進にのめり込む一方で、全体を見てくれる別のマネージャーがいるからこそ、1つのチャレンジを単なる思いつきで終わらせずに、軌道修正しながら進んでいくことができるのだと感じています。
ーそのバランスが少数精鋭の体制ながらも業界トップの実績を出されたことに繋がっているのですね。
富塚:人材の社内教育的なところで言うと、弊社は人事評価で「スキル軸」と「人格軸」の2つを設けています。
スキルだけすごく成長していても、遅刻や欠席が多かったり、周囲の人間と協調ができず周りに迷惑をかけてしまうのはダメですし、逆にどれだけ性格面を磨いたとしても、ビジネスの現場で戦い成果を出すために一定のスキルは必要不可欠になります。
その二軸が重視されている会社の体制があることで、少人数ながら柔軟性を持って働くことができ、利益を最大化する動きが全員でできているんだと思います。
また、その過程で社内の収益基本観も整備を進めており、収益の本質は「ありがとう」の積み重ねから生まれた信頼、という言葉もあるくらいです。利益が立つ=お客様がお金を支払ってくださっているということですので、1円1円に本気になろうという価値観ですね。
ー社内教育もすごく充実しているのが伝わってきました。
富塚:あとは実践して学んでいくことも多いです。
「計画を立てて動いたけどこんな失敗が起きた」「これは続けた方が良い」というようなことを、今はひたすらまとめてナレッジ化していっているところです。
ーAIはよく活用されているのでしょうか。
富塚:そうですね。カスタマーサポートセンターで取ったログの音声解析は全部AIです。
FREEDiVEは本社が茨城県つくば市にあるのですが、うちに来てくれるインターン生のほとんどが筑波大学の学生で、彼らは大学の必修科目として自然言語や情報処理(AIの類似領域)を勉強している方が多いです。
「大学で習ったことをビジネスで試したいんですけどやっていいですか?」という自発的な申し出を多くいただけるので、目的・検証したい仮説・検証期間・撤退ラインを定めたうえで「じゃあいいよ」といったふうにメリハリを付けた取り入れを行っています。
ーそのあたりも柔軟性が感じられます。
富塚:ここ数年徐々に、業務改善を目的としたAIを導入していますが、そうでなくてももともとつくばオフィスでの作業ミス発生率はかなり低いです。
パートアルバイトの皆さんを見ても、茨城県つくば市(通称:研究学園都市/政府からスーパーシティ型国家戦略特区として指定されている)の土地柄なのか、すごく優秀な方ばかり。
「掛け算のように連動させていく」FREEDiVEの“これから”

ーチャレンジに意欲的な社風が伺えました。そのような会社だからこそ、今後目指す事業展開や挑戦してみたいことなどを教えてください。
富塚:これまでにMUGEN WiFi、AiR-AiFi、5G CONNECT、SkyeSiMと事業を展開してきましたが、今後はこれらのサービスを掛け算のように連動させていくことでFREEDiVE経済圏のようなものを作っていくことを目指したいです。
例えば、長く使うつもりはなく1ヶ月サクッと使えるWiFiを探しているお客様もいれば、急なリモートワークでモバイルWi-Fiよりもホームルーターが必要になるお客様もいます。あとは、「海外出張をするからeSIMください」というお客様も。
そういったWi-FiのニーズをまるっとFREEDiVEで囲い込むことができれば、FREEDiVE経済圏が成り立つと思います。
会社の基盤となっているWi-Fi事業を手堅く固めていくと同時に、弊社のWi-Fiサービス内をお客様が相互に行き来できる環境にしていきたいです。
その一環で早速取り組んでいるのが、チャージWiFiの「ギガプリモ」というサービスです。
ーギガプリモについて、サービス概要を教えてください。
富塚:買い切り型のWi-Fiで、端末とギガのセットで販売しています。
端末はお客様のものになるため返却も不要で、ギガが足りなくなったら追加購入でチャージする仕組みです。
他社さんでは端末とギガのセットで20,000円弱で売られているところもありますが、ギガプリモは一番高額なプランでも8,888円(税込)で売っているためダントツで安いです。
リフレッシュ品をお渡ししているので新品の端末ではないのですが、FREEDiVEではAiR-WiFiの中で長らくリフレッシュ端末を扱っていたことで品質管理の技術も上達しまして、ある程度の端末であれば品質判断含め、新品同様の端末をお客様に提供できるほどの技術があります。
ーギガプリモというサービスを始めたきっかけはありますか。
富塚:AiR-WiFiを立ち上げたきっかけと似ていますが、端末はキレイでバッテリーも膨張していない、まだ使える端末が会社に3,000台近く置いてあったからです。
返却から2、3年経った端末がずっと眠っていたのですが、これらの端末はすでに回線の契約が切れていたため、会社に置いておくこと自体にコストはかかっていませんでした。
そんな中でチャージできる仕組みが整ったので、買い切り型のチャージWiFiとして売ってみようと始めました。
ー先ほどお話していただいた「FREEDiVE経済圏」について伺います。この実現を目指して実際にやられている取り組みはありますか。
富塚:ちょうどMUGEN WiFiでゴールデンウィークキャンペーンをやっていまして、これは「MUGEN WiFi × SkyeSiM」です。
MUGEN WiFiを申し込んでMUGEN WiFi PREMIUM CLUBに入会していただくと、ゴールデンウィーク期間中に使えるSkyeSiMの専用クーポンが受け取れます。
ーこれまでのお話を伺って、次々と新事業を展開された裏には、チャレンジに意欲的な社員や柔軟性の高い社風があったと、腑に落ちました。
富塚:ありがとうございます。「FREEDiVE」という会社名は、「FREE」(自由)と「DIVERSITY」(多様性)を意味していて、そのカルチャーは社員のみなさんへ引き継がれていると感じています。
Wi-Fi事業から派生したライフラインのサポートとイノベーション
ーサービス同士の掛け算をしていくということで、今後さらに幅が広がっていきますね。
富塚:そうですね。その一方、掛け算をするなら引き算も必要になっていくと思います。
サービス同士の掛け算によってお客様の選択肢が増える分、サービスごとのプランは削っていく必要も出てくるかなと。
プランが増えすぎてしまうと、それに比例してお客様も「何を選んだらいいのか」が分かりにくくなるため、利用者の少ないプランは取り下げる必要がありますが、人気はなくてもそのプランを利用しているお客様もいらっしゃるので、そのケアをどうするかも考えなくてはなりません。
ユーザーファーストの理念でサービスを運営しているからこそ、ここは会社の中で大事に進めていきたい部分です。
ー「FREEDiVE経済圏」を目指す思いを教えてください。
富塚:会社の戦略的にFREEDiVE経済圏の構築を急ぎたいというのもありますが、なによりお客様に損をさせるのは絶対に違うなと思います。
「うちのサービスを契約してくれたら大丈夫だよ」と言えるような、多様なニーズに対応できる環境を作っていきたいです。
Wi-Fi事業の基盤から派生した事業として、現在電気やガス、水道も全部支援するライフラインサポートのサービスも準備中です。国内向けの事業を展開していくと同時に、eSIM領域の拡大にも引き続き取り組んでいきます。
ーeSIMの今後の展望はどのような想定でしょうか。
富塚:現在、eSIM事業は音声SIMを作っているところです。音声SIMができれば、月額サブスクリプション型のeSIMも展開できるようになるため、現段階としてはこれも見据えています。
SkyeSiMは国内プランもあるため、国内外両方のeSIM市場を狙っていきたいと考えています。今後が楽しみですね。
ー新事業も立ち上げつつ、ワールドワイドな事業展開も視野に入れられているのですね。
富塚:はい。これまでの事業を通してナレッジが蓄積してきたため、将来的にはこれらを使ってデータマーケティングやコンサルの領域にも入っていけたらと思います。
やりたいことが全部できる自由度の高い会社ですが、やりたいことをすべて並べたうえで、「どれを実現したらお客様に一番喜んでもらえるか」という軸は忘れません。
逆にこの軸さえぶらさなければ、弊社の目指す“ライフステージイノベーション”、つまりライフステージやライフスタイルの改善に寄与するサービスを提供できると考えています。
ただWi-Fiを売る業者ではなく、お客様の生活そのものを支援していけたら。そういう会社になりたいと思っています。
ー本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
