洗骨───。今はほとんど見なくなったその風習だが、沖縄諸島の西に位置する粟国島などには残っているとされる。粟国島の西側に位置する「あの世」に風葬された死者は、肉がなくなり、骨だけになった頃に、縁深き者たちの手により骨をきれいに洗ってもらうことで、晴れて「この世」と別れを告げることになる。(C)『洗骨』製作委員会

「洗骨」は、沖縄諸島の粟国島での風習を描いた作品。主人公の新城信綱の妻、恵美子が亡くなり、息子の剛と娘の優子が島に駆け付け葬儀を済ませる。4年後、洗骨のため再び親族が集まる。洗骨とは、遺体を風葬し、数年後に白骨化した骨を海水で洗い清め、死者との命の繋がりを確認し改めてあの世へ送り出す風習。信綱は妻の死を受け入れられず、酒浸りの生活を送る中、臨月の優子と剛が訪れる。家族の葛藤や成長を描きつつ、洗骨の日には恵美子の骨を皆で洗い、再び埋葬する。その場で優子の出産が始まり、新たな命が誕生する。