昭和31年。大阪安治川河口付近にある食堂の息子・信雄は少年・喜一に出会う。喜一は、対岸に繋がれているみすぼらしい舟に住んでいた。ある夜、信雄は喜一の家に誘われ、蟹の巣に火をつけて遊んでいる時、ふと衝撃の光景を目の当たりにする。

「泥の河」は、宮本輝の同名小説を映画化した作品です。社会の底辺で生きる人々の生活を、子供の視点から丁寧に描いています。監督は小栗康平で、これが彼のデビュー作となります。物語は、健気な子供が大人の複雑で厳しい世界を覗き見てしまう様子を描き出しており、その描写は観る者に直視できないほどの強烈な印象を与えます。しかし、その中でも友情や思いやり、感謝の大切さを伝えており、観る者に深い感動を与えます。