テニスプレーヤーのガイは、列車の中でブルーノという見知らぬ乗客に声をかけられる。男は、ガイが妻と不仲で上院議員の娘と結婚したいことなど、ガイの私生活を驚くほど知っており、ガイの妻を殺す代わりに自分の父親を殺してくれと交換殺人を持ちかける。

「見知らぬ乗客」は、交換殺人を持ちかけられた男の恐怖と動揺を描いたヒッチコックの代表作です。『太陽がいっぱい』の著者、パトリシア・ハイスミスの処女作を原作とし、ヒッチコックが卓越した演出術で映画化した傑作です。犯罪への欲望や人間の持つ二面性を鋭く描き出しています。円熟期のヒッチコックが描く、人間の闇と混乱した心情が見どころとなっています。