戦犯容疑を逃れ、師事していた代議士・鬼塚の郷里「相生町」に疎開した犬丸順吉。鬼塚の紹介で、町の長者の家に食客として住むことになった彼は、長者をはじめ、饅頭食いの越智善助や鰻獲りの名人田鍋拙雲など、個性豊かな男たちに手厚くもてなされるが…。

「てんやわんや」は、愛媛県宇和島市へ疎開した男が、風変わりな人々との出会いや騒動に巻き込まれる風刺喜劇です。原作は『悦ちゃん』の獅子文六が疎開先での日々を描いた新聞連載小説で、詳細に描かれた南予地方の文化や風土が興味深い一方で、宝塚歌劇団出身の淡島千景の映画デビュー作でもあります。戦時中の日本を舞台に、人々の生活や心情をユーモラスに描き出しています。