闇の中で目を覚ます男。今、自分がいる時間や空間の境界線は曖昧だが、幼い日のある夏の記憶が鮮明に蘇り、彼の思考はそこに向かって流れていく。母が自分を置いて出て行った日、8ミリカメラを拾った彼は、近所のバレエ教室に通う少女と出会う。

「流れる」は湯浅弘章監督の手により描かれた人間ドラマです。人生で一番幸せだった時間とは何か、今感じている光は現実なのか幻覚なのかというテーマを探求します。人生の光と影、生と死、出会いと別れ、善と悪が作り出す“流れ”を独特の視点で表現しています。セリフが一切なく、幻想的なものとショッキングなものの温度差を通じて、視覚的にイメージを具現化しています。観る者に深い思索を促す作品です。