出雲の国・松江藩。やりの名人で美男の評判が高い表小姓・笹野権三は、参勤交替で江戸詰めの茶道の師・浅香市之進の女房・おさゐに茶道の伝授を請う。ところが、その関係を同家中の川側伴之丞に不義密通と曲解され、権三とおさゐの悲劇の道行きが始まる。

「鑓の権三」は、篠田正浩監督が再び近松門左衛門の世界に挑んだ時代劇で、ベルリン映画祭銀熊賞に輝いた作品です。豪華絢爛な時代劇大作で、絶世の美男子を演じた郷ひろみのはまり役としても知られています。また、名カメラマン・宮川一夫が手掛けた映像美も特筆に値します。この作品は、視覚的な美しさと深いストーリーテリングが絶妙に組み合わさった、見ごたえのある一本です。