2004年のロシア、エカテリンブルク。インフルエンザが流行し、罹患したペトロフは高熱にうなされていた。ペトロフは高熱によって妄想と現実の間を行ったり来たりし、やがてその妄想はまだ国がソビエトだった彼の子供時代、1976年の記憶へと回帰し…。

「インフル病みのペトロフ家」は、ポスト・ソビエト時代を描いたヒット小説をロシアの鬼才・セレブレンニコフが映画化した作品です。物語は2004年のロシアと1976年のソ連を舞台に、主人公の意識が行き来します。狂気や悲しみ、郷愁といった多彩な感情を刺激する迷宮的な構成や、空間と時間を超える18分間の長回しショットは圧巻です。この作品は、過去と現在、現実と幻想が交錯する独特の世界観を描き出しています。